二周年記念 Occurrens atque vale
21時に投稿する予定がそれでも足りず22時になってしまいました。投稿する詐欺をして申し訳ありませんでした。
これは、いつのことだろう……。
人間が数千、数万……もしかしたら数億もの一生を終える程の、果てしなく長い時間。
何千年……いや何万年? ……いや、もっと昔のことだ、ずっとずっと昔のこと……。
これは、ゼローグとセシリアの、出会いの物語……。
……全てを失った……。
……これは出会いの物語であり、死の物語でもある……。
……これは出会いと別れの物語……。
変えることのできない、死の運命の物語。
*****
「退屈だな……」
我は豪華な装飾が施された椅子に座り頬杖をつく。
「では、退屈しのぎに人間を滅ぼされてわ?」
跪き従者が言う。
「人間共を滅ぼしたところで退屈しのぎにはならんさ……スッキリはするだろうが――」
我は従者に言う。
すると突如、黒いマントに身を包む仮面をした人物が現れる。
「――ちょいと、失礼」
仮面の人物は我の頭に手を伸ばし言う。
「ぐぁぁぁあっがぁぁぁああ……ッ! ……貴様は……一体、何者……」
仮面の人物の手を離そうと足掻くが、何故か力が出なかったのだ。
これは一体どういうことなんだ……ッ!
「知る必要などない……」
俺の頭から手を離し男は言う。
そこで、俺の意識はプツリと途絶えた……。
*****
「…………うっ……。ここは、俺は……」
上半身を起こし俺は言う。
「良かった、目が覚めたのですね。私の事が分かりますか?」
その女性は身を乗り出し聞いてくる。
「お前は……フィーか……。俺は一体、どうしたというのだ?」
頭に手をやり俺は言う。
「……疲れが溜まっていたのでしょう。暫くお休みになってください」
フィーは心配そうな表情をしつつも言う。
「そうか……だが、何もしないというのは性に合わんな」
一度ベッドに横になり俺は言う。
「……気分転換に散歩でもしようか」
続けて俺は言う。
「その身体では……」
心配げにフィーは言う。
「平気だ、少し散歩してくるだけだ」
身体を起こし俺は言う。
「ですが……」
未だ不安そうな顔のフィー。
「心配するな直ぐに戻ってくるさ」
フィーの頭を優しく撫でて俺は言う。
ベッドから降りて人間界に向かった。
人間にバレない様に髪の色を黒に変化させる。流石に銀色じゃ目立つからな。
人間界に到着すると遠方の大きな都市が目についた。
「……ここは、人間が暮らす国だったな」
王都入り口の前に来て俺は言う。
「入らないんですか?」
すると、背後から声をかけられた。
振り向くとそこには一人の女性がいた。
「誰だ? お前は」
俺はその女性に聞く。
ウェーブのかかった赤いセミロングに赤い瞳、背丈は俺の胸くらい、百六十cm程だろう。
そして、何より目立つ騎士の鎧。
「私はこの王国の騎士、セシリア・レスティン。よろしく」
優しい笑顔でセシリアと名乗った女性は言う。
「この王国に来たのは初めて?」
セシリアは言う。
「あぁ、そうだ」
俺が頷くとセシリアはこう言う。
「それなら、私が案内してあげましょうか?」
「いや、今日は直ぐに戻らないといけないんだ」
俺は首を振り答える。
「そうですか」
「君は明日もここに?」
俺が聞くとセシリアは笑顔でこう言う。
「はい! なんたって、この王国の騎士ですから!」
「なら、明日、ここの案内を頼めるか?」
背後にある王都を指差し俺は言う。
「あ、ごめんなさい。明日は任務でいそがしくて」
セシリアは申し訳無さそうに頭を下げる。
「ん? 国の中で任務をしているのか?」
俺が聞くとセシリアはこう答える。
「いえ、明日は行方不明になった猫を探してほしいと依頼があったので」
「それくらい、騎士に頼まずとも自分で探せるだろうに」
依頼した人間に呆れながら俺は言う。
「でも、この国すっごく広いですし、それに依頼に来た人は観光客で、この国のことをよく知らないので、ここに詳しい騎士たちの出番ですから! それに……」
「それに?」
俺はセシリアに聞き返すとセシリアはとびきりの笑顔でこう言う。
「困ってる人を助けるのが騎士の役目ですから!」
「騎士とは大変だな……話が逸れたな。それで、いつなら案内できそうだ?」
俺はセシリアに案内できそうな日を聞く。
「明々後日なら案内できますよ」
セシリアは言う。
「そうか、それなら、その日またここに来るよ」
「はい、明日の十時に待ってますね!」
セシリアは笑顔で俺を見送ってくれた。
――ここまでが、俺とセシリアの出会い物語――。
――そして、ここからは俺とセシリアの別れの物語――。
*****
「……朝か」
今朝は早く目覚めた……何故だろうか。
ベッドからおりて人間に怪しまれないような服に着替える。
フィーが言うに人間はこんな面倒くさいことを毎日してるらしい。
人間とは不便な生き物だな。
「くれぐれも人間に正体をバラさぬよう」
釘を刺すようにしてフィーが言う。
「分かっている。それじゃあ、行ってくる」
人間界に行く準備を整え俺は言う。
「お気をつけて」
一礼して俺を見送るフィー。
「ここで待てばいいか」
人間界に到着し俺はセシリアと別れた場所に来た。
少ししてセシリアが歩いて来た。
「早いですね……そういえば名前、まだ聞いてませんでしたね」
「ゼローグ、それが俺の名だ」
俺は言う。
それから、この国をセシリアに案内してもらった。この国は何百、いや何千人もの人間で賑わっていた。
人間が食べ物を買ったり服を買ったりする所や人間が飲食をする所、他にも色々。
昼になると俺とセシリアも人間が飲食をするレストランという所に入った。
俺とセシリアは店員と呼ばれる人間に案内され椅子に座った。
メニューと呼ばれる紙には写真とそれの名前が幾つも書いてあった。
「どれにする?」
メニューを見てセシリアが言う。
「じゃあ、このハンバーグっていうのをくれ」
俺は一番美味しそうに見えたハンバーグとやらを選んだ。
「じゃあ、これを二つお願いします」
セシリアはメニューのハンバーグを指差し店員に言う。
暫くして頼んだハンバーグがテーブルに乗せられた。
俺はセシリアの食べ方を見て同じ様にハンバーグを口に運んだ。
「美味いな、このハンバーグ」
なんて言えばいいか分からなかったが、兎に角このハンバーグはとても美味しく、あっという間に完食した。
「そんなに美味しかったの?」
セシリアの問に俺はただ頷いた。
「ふふっ、口にソースが付いてるよ」
口に付いたソースを拭いてくれた。
ハンバーグを食い終えた後、セシリアはお金というのを払っていた。
セシリアに聞くと人間はこのお金を使って暮らしているらしい。
はやり、人間は不便な生き物だ……。
……時間はあっという間に過ぎて行き、別れの時間となった。
「それじゃあね。今日はすっごく楽しかったよ! ゼロ!」
「こういう時、俺はなんて言えばいい?」
「今日、楽しかったなら、楽しかったって言えばいいと思うよ」
セシリアに王都を案内してもらってから数日が経ったある日、俺の左目に異変が起きた。
瞳の色が紫に変わっていのだ。
フィーに聞いても分からないと言うし……俺の左目に何がおきたんだ……?
セシリアが待ってるし、考えるのは後にしよう。
「待たせたか?」
「ううん、さっき来たばっかり……。それじゃあ、行こっか」
「ああ……」
俺達はこうして何度も出会うようになり、互いに惹かれ合うようになっていった。
それからあの事件が起きたんだ……。
変えられない死の運命が訪れたんだ……。
*****
その日、俺はセシリアと王都でデートしていた。凄く幸せな時間だった、あんな事が起きるまでわ……。
「ねぇ、ゼロ。次はどこに行こっか」
幸せなそうな顔でセシリアが言う。
「そうだなぁ……」
何処に行こうか悩んでいる時、突如、王都の外から爆発音がした。
何事かと思えばどうやら魔王と七十二柱の悪魔が攻め込んで来たらしい。
一体どういう事だ……。
「私、行かないと……。ゼロはここに居て」
そう言ってセシリアは爆発音のした方へ向かった。
俺も行ってどういう事かあいつらに聞かないと……。
俺はセシリアとは別方向から爆発音のした方に向かった。
「これは一体どういうこと何だ! お前ら!」
暴れている十二の魔王と七十二柱の悪魔に向けて俺は言う。
「ルシちゃん、早く逃げて……」
レヴィが苦しそうにして言う。
「それは、どういう……」
「ゼロ! こんな所で何してるの! 早く逃げて! そいつら魔王と悪魔なんだよ!」
セシリアの言うとおり逃げるか?
だけど、こいつらを見捨てる訳にはいかない……。
「セシリア……すまない。俺はお前に嘘をついた……俺も悪魔なんだ」
「…………知ってたよ。そんな事……」
「――ッ! 何時から……」
「最初に出会った時から……。私の宿した神の加護探索の能力でね」
「それじゃあ……全部、知ってて……。どうして……」
「最初に出会った時、どうしてか分からないけど貴方は他の悪魔と違うと思った。それで、悪魔と仲良くなれたら人間と悪魔が戦わなくてもいいかもしれないと……。それで、貴方に近づいたの。それから、何度も貴方とデートする内に私はどんどん貴方のことが好きになっていった。不器用で世間知らずで普段はちょっと頼りないけど……。優しくて、いざという時はとっても頼りになる。……それにね、私も貴方に嘘をついた。料理が得意って言ったけど、真っ赤な嘘。本当は料理がとっても下手なの。食べた人が皆、気を失っちゃうくらいに。貴方の為に頑張って作ったお弁当、貴方は美味しいと言ってくれた。私、すっごく嬉しかったんだよ。……貴方が悪魔なんてそんなの関係ないよ……だって、……だって私は、貴方を、ゼロのことを愛してるから……」
「俺も、俺もお前を愛してる。世界中の誰よりも」
「ゼロ、危ない!」
……セシリアは跳ね返った味方の攻撃から俺を庇い……。
「何で庇ったんだ! 俺は呪いで死なないのに!」
倒れるセシリアを抱えて俺は叫ぶ。
「だって、貴方が傷つく姿を見たくなかったから……」
「ふざけなんよ! お前が死んだら俺の心が傷つくだろが……ッ! 死ぬなセシリアッ! 俺はまだお前に言いたい事が沢山あんだよ! だいたいお前が料理下手なんて事は初めて弁当を食べた時から知ってたんだよ! それでも、俺を想って作ってくれた弁当は、今までに食べたことないくらいに不味くて、美味しかった……。フィーが言ってた、愛情の籠もった料理は他人が食べれば、どんなに不味くてもそいつにとっては最高の味だって……。だから死ぬな、またあの弁当を作って食べさせてくれよ……」
俺の両目から大粒の涙が頬を伝う……。
「ふふっ、ゼロ……私は、貴方に会えて、幸せだったよ。ありがとう」
セシリアは初めて俺と出会った時のような、優しい笑顔で息絶えた……。
「うぅぁぁぁあああぁぁああああぁぁぁあああッッ!!!」
俺の悲痛の叫びと共に王国の騎士たちは同士討ちを始める。
「不味い! あいつの反逆が発動した」
「反逆の暴走ぉぉぉぉぉおおおおッッ!!」
……この日、俺は全てを失った……。
俺の能力、反逆が発動したことにより王国は壊滅。
セシリアを失った悲しみは永遠に消えない心の傷となった。
……これが、俺とセシリアの出会いと別れの物語……。
……そして、俺を待ち構える過酷な運命はここから始まる……。
……これで終わりじゃなかったんだ……。
……この先、この物語はさらなる絶望となって俺に降りかかる。どしゃ降りの雨のように……。
この話書いてて凄い悲しくなりました。そんだけです。




