05 会う資格
さて、アリアへの用も済んだしヴァイスの居る宿屋に行くか。
ただ、あっさり協力してくれる奴じゃないしどうすっかな。
「ねぇ、旦那様は一体何者なの?」
部屋から出た後に歩きながら唯が言う。
「悪魔でありんしょう」
凛は俺が何者なのかについて答える。
答えるのは良いがここで言うなよ!
誰かが聞いてたらどうすんだコノヤロー。
俺の正体がバレる=お前達の別れなんだぞ!
可愛いから良いけど。
『いや、駄目だろ。自分の正体バレる=別れなんだから。良くないだろう』
いいんだよ!
俺の正体をバラそうが何だろうが、可愛けりゃ何だっていいんだよ!
『えぇ……言ってるの事が無茶苦茶だ……』
何故なら凛は俺の可愛い娘で、可愛い義妹で、可愛い恋人だから!
『誰もそんな事聞いてないし……もう、いいや……』
え? いいの。折角、これから凛の可愛さについて、語り尽くそうとしたのに……。
『誰もそんなの求めてないから、さっさと話しを進めてくれ』
へーい。
相棒のルイーザとの会話を終えて唯との話しに戻す。
「旦那様が悪魔なのは知ってるよ。妾が聞きたいのは何で他の国の王と知り合いなのかだよ」
あぁ、何だよそういう事か。
俺の正体じゃなくて、俺があの二人と知り合いなのかを聞きたかったのね。
つーか、俺の正体を知ってるんだから、わざわざもう一度、俺の正体を聞く訳ねぇか。
ただなぁ、話すのが面倒くせぇ。
『話しが長いからか?』
いや、全然。一言で終わる。
『じゃあ話せよ! 何で面倒くせがった! 一言なんてすぐだろう!』
しゃあねぇ、話すか……。
どうせ、聞かなくても良かったってなるんだろうし……。
「フィリナ王国を作った時にアリアと一緒に挨拶しに行ったから。そんだけ」
「え!? それだけ?」
驚いた顔をでエスフィールが言う。
「うん、こんだけ」
あっけらかんと俺は答える。
「……聞かなくても良かったや」
呆れ顔で唯が言う。
ほらね。
「さっさとヴァイスの居る宿屋に行くぞ」
王宮を出て俺は言う。
「ヴァイスって人が居るのは何処の宿なの?」
唯が言う。
「前に宿屋に泊まった事があっただろう? そこだよ」
宿屋に向けて歩きながら俺は言う。
程なくして宿屋に到着しヴァイスが居るか、受付の女性に聞く。
「はい、お部屋で休まれてるかと」
受付の女性が答える。
「それってどの部屋?」
俺は再び受付の女性に聞く。
「一号室です」
受付の女性が言う。
「そうか、ありがとな」
受付の女性に礼を言い、直ぐそこの一号室に向かう。
扉をノックし俺はこう言う。
「おーい、ヴァイス。居るんだろう?」
「その声、貴様ゼローグかッ」
扉の向こうからヴァイスが言う。
「あぁ、そうだ」
俺が答えると扉が勢いよく開かれる。
扉を開けた人物、ヴァイスは銀色の瞳に銀髪をオールバックにしており、精悍な顔つきをしている。
「貴様、この十数年、一体何処で何をしていた!」
俺の胸ぐらを掴みヴァイスは言う。
「先ずは場所を移そうぜ」
ヴァイスの腕を掴み俺は言う。
「……チッ」
苛ついた顔をしつつもヴァイスは手を離す。
俺達は場所を移す為、一度宿屋を出て人気の無い場所に移動する。
「答えろ、何処で何をしてたのか!」
苛ついた顔でヴァイスが言う。
「別の世界さ」
ヴァイスの質問に俺は答える。
「別の世界だと? 何故そんな所に居た! 貴様が行方を眩ませた事で、セレスがどれだけ辛い想いをしたと思ってる!」
俺はセレスの名を聞き、以前、凛とのデートの帰りに出会ったメフィストの言葉を思い出していた……。「貴方の事をとても恨んでいたわよ。でも……あの娘は、貴方の気持ちも理解していると……そう言っていたよ。泣きそうな顔でね」セレス……。
「あいつは今――」
俺が言おうとするとヴァイスが遮りこう言う。
「妹を悲しませた貴様に妹に会う資格などない! 二度とな……」
そう言い残しヴァイスは宿屋へと戻って行った。
「お兄……」
振り返ると凛は不安げな顔をしていた。
唯とエスフィールも同様だった。
「セレスについて聞きたいんだろ?」
俺が言うと三人はぎこちなく頷いた。
俺は三人にセレスについて話し始める。
「ヴァイスの言葉で気づいてるだろうが、セレスはあいつの実の妹だ」
続けて俺はこう言う。
「凛、前に俺とデートした時の事を覚えてるか?」
「その時に魔王と出会ったんだよね?」
凛が言う。
「その時に魔王が言ったこと覚えてるか?」
俺は凛に問う。
「うろ覚えだけど、お兄を恨んでいるって……」
首を傾げて凛は答える。
「貴方の事をとても恨んでいる。でも…… あの娘は、貴方の気持ちも理解していると……そう言っていた。泣きそうな顔で……と。あの時、メフィストが言っていたのがセレスの事なんだ。俺はあいつを裏切った、だからヴァイスは言ったんだ、俺にセレスに会う資格はないと……」
本当、セレスには悪い事をしてしまった。
だけど、この問題をどうにかしないと前に進めない。
「これからどうするんだい? 旦那様」
唯が言う。
「どうにかするさ。十二神と戦うには突破者を全員集めなきゃならいからな……」




