50 勝利の代価
「お主に頼みたい事がある」
ゼウスは自身の代行に言う。
「何でしょう?」
男は跪き言う。
「下界に居るゼローグという男と戦って完全な神の領域に至らせて欲しい」
ゼウスは最高神からの命を自身の代行に告げる。
「彼は俺との戦いで完全な状態の神の領域に至れるでしょうか?」
男はゼウスに問う。
「最高神様は完全に至らずとも、何かきっかけになれば良いとも仰っておられた。まぁ、全力で戦えばきっかけの一つや二つ掴めるだろう。残りのメンバーを召集したら、直ぐに下界に降りてくれ」
ゼウスは男の肩を叩き述べた後、その場を立ち去った。
「さて、メンバーを集めるか……」
*****
四人の戦いが終わり暫くしてシェリルが目を覚した。
「手、貸そうか?」
目を覚したシェリルに俺は言う。
「あぁ、頼むよ……」
俺はシェリルに肩を貸す。
「幾つかお前達に聞きたい事があるんだが」
俺はレイナとシェリルに向けて言う。
「奇遇だね。ボクもゼローグ殿に聞きたい事が幾つかあるんだ」
シェリルは言う。
聞きたい事か、何だろうな。
『大方、想像がつくんじゃないか?』
そうなんだが、幾つかって何だろうと思ってな……。
『シェリルの話しを聞けば分かるだろうさ』
聞く暇があるといいがな……。
『どういう意味だ?』
四人を見れば分かるだろう?
『ふっ、なるほどな……』
戦いを終えた四人は和気藹々と談笑していた。
『本当の姉妹の様だな』
「姉々」
「シェリル姉」
アルシアとメロディアは二人の姉の名を呼ぶ。
――刹那、何処からともなく放たれた光の槍は、アルシアを抱き締めようとしたレイナの心臓を貫いた!
「「「――っ!」」」
レイナは口から血を吹き出し倒れる。
「――え? 姉々……?」
倒れたレイナに歩み寄りアルシアは言う。
「アル……ごめんね……」
レイナは弱々しい声で言う
「姉々ぇぇえぇえええええ!!」
アルシアは泣き叫び、メロディアは静かに涙を流し、シェリルは涙を必死に堪えていた。
俺は気持ちを切り替え検索空間を発動する。
何処だ? 何処に居る……。
……ッ! 見つけた!
「レイナと二人を頼む」
俺はシェリルに告げ見つけた人物の場所へと飛び出す。
そして、異空間から神器を取り出しこう言う。
「煉獄、神器解放! 限界突破!」
解放された煉獄は光の粒子となり俺の全身を覆うと鎧を形成していく。
「限界突破者、煉獄、全身鎧!」
変化を終えた俺は煉獄の炎で刀を作り出す。
「煉獄大炎刀!」
刀身だけでも十メートルはあるであろう巨大な刀だ。
俺はそれを逆手で持つ。
そして、左手を右手とクロスさせるようにして、柄を強く握り締める。
「煉獄大炎刀・奥義! 爆炎刃ッッ!!」
極大の炎を纏った刀をそいつらに向けて振り下ろす!
放たれた火炎の刃は数十メートル先まで飛んで行く。
「躱されたか……」
地面に着地すると背後に気配を感じ振り返る。
そこには男六人、女六人の十二人が居た。
一人一人が放つオーラは突破者に匹敵する程だった。
ただ一人を覗いて……。
「お前がゼローグか……」
真ん中に居た一人の男が言う。
この男だ……。
こいつだけ他の奴らとは明らかに突出したオーラを放ってやがるッ!
「お前ら一体、何者なんだ?」
俺は眼前の男に問う。
「我らは神の代行、十二神! 俺はリーダーのゼウスだ」
ゼウスと名乗った男は言う。
十二神……?
こいつらの放つオーラから察するにこいつら……。
「悪魔の存在を消していたのはお前達か?」
随分前の事だがゼウス達が悪魔の存在を消していた張本人なのかを問う。
「そんな事は今はどうでもいい。俺達はお前ら突破者に宣戦布告しに下界に来たのだ」
ゼウスは俺に指を指し言う。
宣戦布告? 何を言ってるんだこいつ。
「突破者と十二神で戦争でもしようってのか?」
俺は言う。
「何方が悪魔と戦うに相応しいか決めるのさ。三ヶ月後、残りの突破者を集めて再びここに来い。……それにしても、まさか心臓を貫かれても息があるとはなぁ。あの女……」
レイナの方に視線を移しゼウスか言う。
「てめぇ!」
俺はゼウスの胸ぐらを掴むが、ゼウスはこう言う。
「いいのか? 俺達を相手にしていて今にも死にそうだぞ? あの女」
俺はレイナの様子を見る為にゼウス達から一瞬、視線を外した。
そさて、再びゼウスに視線を戻すとそこには誰もいなかった……。
「逃げられた……」
クソッ!
次回で第三章最終話です!




