47 姉の意地
レイナはシェリルに目配せをすると、それを察したシェリルは静かに頷いた。
一体何の為の目配せだ?
するとレイナはアルシアから距離を取りこう言う。
「ここからは私も本気でいくわよ。アル」
本気? 今までのは本気じゃなかったのか……。
さーて、一体何がでるのか。
……踏ん張れよ、アルシア。
「行くわよ、アル」
――刹那、俺はレイナの姿を見失った。
レイナはアルシアの背後に現れると即座に切り掛かるが、アルシアはギリギリで攻撃を躱す。
今、何が起きた?
突如消えたと思ったらいきなりアルシアの背後に現れた……。
シェリルの瞬間移動?
だが、シェリルはそれらしい動きをしてなかった。
お前は分かるか? ルイーザ。
『いいや、私にもさっぱりだ。あれがレイナの能力なのかシェリルの瞬間移動によるものなのか……』
「何が起きたのか分からないって顔ね。今のが私が宿した神の加護の能力、反転」
やっぱり、レイナは神の加護の適合者だったか……。
反転か……厄介な能力だな。
それにしても、神の加護を使わない状態で神器を使ったアルシアと互角とはね。
腐っても騎士団団長って訳か。
「さて、レイナも本気を出したようだし、ボクも本気で行こうか。……ふぅ、臨界突破!」
タイミングを見計らった様に不敵に笑み、シェリルは臨界突破者となった。
「臨界突破者、全てを従えし魔術の王女、全身鎧!」
不味いな……。
さっさとレイナを倒して二体一に持ち込ませた方が良さそうだが、そう簡単にはいかないだろうし……。
二体二でやった方がまだマシか?
「シェリル姉が本気を出すなら私も本気を出すよ……」
メロディアは言う。
今のメロディアが今のシェリルを相手にするならそれしか無いからな。
シェリルはメロディアの発言に訝しげにしている。
「臨界突破!」
途端、メロディアは光の粒子に包まれていく。
やがて、光の粒子がメロディアの全身を覆うと粒子は鎧を形成していく!
変化を終えたメロディアはSF映画のパワードスーツの様な鎧姿となっていた。
「臨界突破者、龍の手、全身鎧!」
シェリルはメロディアの姿を見て心底驚いている様だった。そして、会心したようにこう言う。
「その姿……ッ!! ……そうか、これが半年の修行の成果って訳だ。メロがこれを使えるって事はアルも……」
俺はアルシアとレイナの二人に視線を移す。
アルシアはレイナの神の加護反転の能力に苦戦している様だった。
攻撃をしても位置を反転され、逆に防御すれば反転され攻撃を喰らう。
まぁ、今の所は致命傷を避けている様だが時間の問題か。
臨界突破者になって攻撃しても反転の能力で躱される。
それを知ってかアルシアも臨界突破者には至っていない。
だが、このままじゃジリ貧だ。
『お前ならこの状況どう打開する?』
アルシアとレイナの戦いを見てルイーザが言う。
俺なら臨界突破者になって瞬動の鎧で一気に詰め寄って一撃で仕留めるかな。
レイナは臨界突破者になれる事を知らないから、必ず隙を突ける。
この事にアルシアが気付けばいいが……。
「そろそろ終わりかしらね、アル」
レイナは言う。
「ううん、まだだよ、姉々。だって、私まだ本気出してないもん」
アルシアは息を整えた後、こう続ける。
「行くよ、姉々。これが私の全力、臨界突破!」
メロディアと同様、アルシアも光の粒子に包まれ粒子が徐々に鎧を形成していく。
「臨界突破者、変化する鎧、全身鎧!」
「瞬動の鎧!」
アルシアは瞬時にレイナの懐に入ると、今度は別の鎧の名を叫ぶ!
「轟砲の鎧!」
シンプルなデザインをした瞬動の鎧から、重厚感ある全身鎧と化し両肩には砲身が現れる。
「いっけぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇッッ!!」
アルシアの両肩の砲身から放たれる極大の砲撃!
隙を突かれた事で反転の能力で上手く対応できず、レイナはアルシアの放った渾身の一撃に飲まれた。
レイナは全身傷だらけとなり、満足気な笑みを浮かべ地面に倒れ伏す。
すると、レイナの下にシェリルが現れる。
そして、レイナは弱々しい声でこう言う。
「私の目的は達した、後は貴方の目的を達してアレを渡すだけ……」
「うん、分かってるよ。アルは本当に強くなったね」
シェリルはレイナを抱き寄せ言う。
「えぇ、そうね……」
シェリルは気を失ったレイナを安全な場所に移した後、アルシアとメロディアと対峙してこう言う。
「さぁ、ここからは二体一の戦いだ!」




