45 再戦の時
「そんじゃ、とことん戦り合おうぜ」
不敵に笑い俺は言う。
全身鎧のこの姿じゃ、俺の表情はアルシア達には分からないだろうけど。
「とことん戦り合う、か。分かり易くて良いね」
大胆不敵にオリヴィアが言う。
アルシア達三人は同時に飛び出すと、俺に向けて攻撃を仕掛ける。
俺は三人の攻撃を容易く防ぐ。
俺達四人は激しい攻防戦を繰り広げていく。
さて、そろそろ俺も本気で戦るか……。
俺は三人の放った攻撃の全てを片手で捌く。
「第二ラウンドは俺も本気で戦るぞ。臨界突破者に至らなきゃお前ら、死ぬぜ……」
少しだけ殺気を込めて俺は言う。
シェリルとレイナとの約束の日まで残り四ヶ月……。
このまま、ちんたら修行を続けてたら間に合わない可能性があるからな。
本気で戦って少しでも時間を節約しねぇとな。
『以前の様に時空を使えばいいだろう?』
それじゃ狡だろ?
それに、アルシアとメロディアはそれを望まねぇと思うからな。
『それもそうか……。この修行、思っていたよりも難儀だな』
全くだ……。
「望む所だよ! ゼロちゃん」
俺の放った殺気に奥せずアルシアが言う。
「良く言った――」
俺は目にも止まらぬ速さでアルシア達の背後を取る。
「「「――っ!」」」
――刹那、アルシア達は別々の方向に吹き飛んで行った。
「今、何が……起きたの……?」
苦悶の表情でアルシアが言う。
「簡単さ、高速でお前達に詰め寄り無数の攻撃を喰らわせただけだ」
振り向いて俺は言う。
「なるほど、背後を取られた時点で既に私達は……」
なんとか立ち上がりオリヴィアが言う。
「攻撃された事に気づかなければ、まだ動けたかもしれないね」
オリヴィアに続きメロディアが言う。
俺の攻撃を喰らって既に三人はボロボロだった。
やっぱ、そう簡単には至れないか。
ギリギリのギリギリになるまで戦り合うか……。
「グラビティ・フィールド!」
アルシア達三人に向けて放つ。
そして、重力を五倍にする。
アルシア達は重さに耐えかねて地面に這いつくばる格好となる。
仮に三人の体重が五十キロだとすると、現在は二百五十キロだ常人が立っていられる重さじゃないだろう。
おまけに三人は俺の攻撃を受けて満身創痍だからな。
立ち上がるのは不可能だろうな。
この追い詰められた状況で臨界突破者になると良いが、その兆しは見られないな……。
つまり、もっと追い詰めないといけない訳か。
俺はグラビティ・フィールドを解除すると、メロディアがこう言う。
「どうして……技を解いたんだ?」
「お前達が追い詰められても臨界突破者に至らないからだよ。まぁ、これで駄目ならもっと追い詰めるだけさ。追い詰めて、追い詰めて、ギリギリのギリギリになるまでとことん戦るさ」
俺はメロディアにそう答える。
『随分と無茶なやり方だな……。三人は耐えられるのか? この無茶な修行に』
仕方ねぇだろ。
そもそも、お前が提案した方法だろう? ルイーザ。
『こんな無茶な方法を提案した覚えは無いぞ?』
同じだろ。
どっちも限界まで戦るって事だ。
「ギリギリのギリギリになるまでとことん、か」
俯きアルシアは言う。
すると、ナナが地下にやって来てこう言う。
「昼食の時間です、ご主人様」
「続きは昼食を食ってからだな」
臨界突破者を解除して俺は言う。
俺達はナナと共に広間に戻ると既に昼食の用意がされていた。
見た所、昼食はチーズフォンデュの様だった。
随分と調理の手間がかかる物を作ったなナナよ。
まぁ、流石俺のメイドといった所か……。
具はフランスパン、ブロッコリー、パプリカ、プチトマト、アスパラ、じゃがいも、カボチャ、マッシュルーム、ウインナー、鶏肉、エビ、きゅうり、ちくわ。
随分と用意したんだな。
「賞味期限が近かったのとチーズが沢山余っていたので、今日の昼食はチーズフォンデュにしました。定番のものから変わり種まで揃っています」
ナナが言う。
自慢気な顔をしてらっしゃる。
確かにこれだけの具材を用意したんだし、自慢気にもなるか。
「いただきまーす」
合掌して挨拶した後、それぞれ具材にチーズを漬けて食べ始める。
俺は毎度のごとくリアンに食べさせる。
食べた表情から察するにリアンはチーズフォンデュを気に入った様だった。
リアンに食べさせた後、俺も具材にチーズを漬けて食べる。
チーズは少し冷めていたがそれでも美味しかった。
全員が食べ終えた後だったので、具は余り残っていなかったが。
昼食を終えると俺はアルシア達と共に地下に戻って修行を開始した。
*****
アルシア達と修行を開始してから半年が経った。
修行は上手くいったと言っていいだろう。
後はアルシアとメロディア次第だ。
俺はアルシア、メロディアと共に屋敷を出ると、そこにはシェリルとレイナの姿があった。
緊迫した空気に包まれていた。
この緊迫した空気を物ともせず俺はこう言う。
「そんじゃあ、広い場所に行こうか」
そして俺は空間移動で暴れても問題ない場所に移動する。
「ゼロちゃん、私達は勝てるかな……。」
不安げな顔でアルシアが言う。
隣にいるメロディアも同様だ。
「俺が修行してやったんだ大丈夫さ! お前達なら絶対にやれる! 自分達を信じろ。そんでもって、あの二人に修行の成果を見せてやれ」
二人を勇気づける為に二人の頭を優しく撫で笑顔で俺は言う。
「それじゃあ、私達に勇気をちょうだい」
弱々しい声でアルシアが言う。
「勇気? 俺はどうしたらいいんだ?」
首を傾げ俺は言う。
すると、二人は顔を見合わせた後に同時に抱きついた。
二人の行動に驚きつつも俺は抱きついた二人の背中をさする。
暫くして二人は俺から離れると安心した表情をしていた。
その二人を見て俺はこう言う。
「さぁ、行ってこい!」
「「うん!」」
二人は頷き合いレイナとシェリルの下へ歩いて行った。




