44 壁をぶち破れ!
俺はリアンを起こさないようにベッドから体を起こし着替える。
顔を洗いに行こうと思ったが俺がいないと知って、またリアンが泣き叫ぶとまずいしリアンが起きるまで待ってるか……。
アルシアとメロディア達の修行開始から二ヵ月が経った。
二ヵ月の修行で二人は解放された神器の力を制御出来るようになった。
解放した神器を制御出来るようになるのは、もっと時間がかかると思ってたけど随分早かったな。
後は臨界突破者に至る修行だな。
……今気づいたがリアンの足が大分、人間の足と近い物になっていた。
足が完全な状態になったら一人でも歩ける様になるんだろうな。
成長してるって事だよな……。
その内、人間と変わらない姿になるんだろうな。
……。
…………。
暇だ。
ルイーザはまだ寝てるだろうし、話し相手も居ないしする事もねぇし。……どうすっかなぁ。
『私なら起きてるぞ?』
唐突にルイーザが言う。
お前起きてたのかよ……。
『あぁ、お前が着替えている時にな』
そうならそうと言えよな。
『今日は臨界突破の修行をするんだろう?』
あぁ、オリヴィアも交えて修行するつもりだ。
『そういえば臨界突破の修行中だったな』
途中で修行は中断したからな。
……それから暫くしてリアンを目を覚した。
俺はリアンを抱っこして洗面所に向かう。
自分の顔を洗った後、水で濡らしたタオルでリアンの顔を拭う。
自室に戻ると凛と唯はクローゼットから服を取り出し着替えていた。
「おはよう」
俺が言うと二人は同時にこう言う。
「おはよう、お兄」
「おはよう、旦那様」
凛はブラジャーを外し何時もの黒い着物に着替える。
その際、凛の胸が顕になる訳で……。
毎朝、凛の胸を眺める事が出来るのは俺の特権だな。
今日も眼福でした。ありがとう、凛のおっぱい。俺は心の中で凛のおっぱいを見れた事に感謝した。
唯は何時もさらしを巻いているから生乳を拝めるのは、一緒にお風呂に入った時くらいか……。
まぁ、上半身さらしを巻いただけだし良い目の保養になるからいいんだけどね。
すると、唯も着替えを終えた様で部屋を出て広間に向かう。
広間に入ると何人かはソファーに座り寛いでいた。俺達もソファーに座りソファーで寛ぎながら、他の面々を待っていた。
さてさて、臨界突破者に至る修行、どうすっかなぁ……。
なろうと思ってなれる訳でもねぇし。
やっぱ、二人の努力次第か……。
まっ、修行の事は修行する時に考えればいいか。
俺は用意された朝食の食パンを何時もの様にリアン食べさせる。
リアンに朝食を食べさせた後、俺も朝食を済ませるとアルシア、メロディア、オリヴィアの三人を地下に呼んだ。
地下に来たアルシアとメロディアに俺の神器を渡して俺はこう言う。
「さて、これから、臨界突破者に至る修行をする。ただ、オリヴィアと修行した時にも言ったが、臨界突破者に至る詳しい方法は俺も知らん。だから、気合と根性で頑張れ!」
「無茶苦茶だよ、団長……」
呆れ顔でメロディアが言う。
「しょうがねえだろ? 俺の場合やろうと思ったら出来たんだから……。まぁ、臨界突破者に至る切っ掛けは俺がどうにかするからよ」
頰を掻き俺は言う。
取り敢えずは臨界突破者状態の俺と戦ってみるか……。
「それで、私達は何をすればいいんだい?」
オリヴィアが言う。
「先ずは臨界突破者になった俺と戦ってもらう」
俺は異空間から神器重力を取り出し腕に付ける。
俺は瞬時に臨界突破者になり、アルシア、メロディア、オリヴィアは神器を解放させる。
「さぁ、始めようか! 殺す気で来いよ」
アルシア達から少し距離を取り俺は言う。
先に仕掛けてきたのはオリヴィアだった。
オリヴィアに続く様にアルシアとメロディアも俺に向かって来る。
三人で戦った事は少ないからか連携は殆ど取れていない。
お互いに邪魔にならない様に戦ってはいるだろうけど。
アルシアは防御の鎧で俺の攻撃を防ぎつつ、別の鎧で俺に攻撃を仕掛ける。
メロディアは龍の手を正確に操り俺に放ってくる。防御も龍の手を幾つも伸ばす事でダメージは防いでいた。
オリヴィアは檻を格子状にしてそれを幾つも重ねる事で俺の攻撃を防いでいた。勿論、一撃必殺での攻撃しつつだ。
これならオリヴィアは修行という名目で、俺の事を気が済むまで殺す事が出来る訳だ。
俺の臨界突破者に影響されて、臨界突破を使える様になったらいいんだけど……。
『なぁ、ゼローグ。ふと思ったんだがな』
何だよ。
臨界突破者に至るいい方法でも思いついたのか?
『臨界突破や限界突破は何方も限界を超えるという意味だろ? なら、三人も自分の限界を超える事が出来れば、もしかしたら……』
臨界突破者に至る事が出来るかもしれない……。
三人の限界を超えるまで戦えば……試してみる価値はありそうだな。
俺はルイーザの言った可能性を試してみる為に一度戦闘を中断する。
「急にどうしたのゼロちゃん?」
アルシアは首を傾げ言う。
「もしかしたらだが、臨界突破者に至る事が出来るかもしれない」
俺はルイーザと話した事を三人にも説明する。
「なるほど、自分の限界を超えるか。……よく考えれば直ぐに分かる事だったな」
腕を組みオリヴィアが言う。
全く持ってその通りだ。
何で直ぐに気づかなかったのか疑問である。
修行の方針も決まった事だし三人が限界を超えるまで、とことん戦り合おうか。