09 幽霊屋敷の化物
屋敷の中に入ると、そこはまさに廃墟という感じだった。
俺は常に検索空間を発動させて、何処から敵が来てもいいようにしていた。
「お兄の言ってたヤバい奴は、どこにいるでありんすか?」
「土の中に居るぜ」
「何で土の中に居るの? そもそもそのヤバい奴ってのは何なの?」
「今から俺らが相手にすんのは、八岐大蛇って言う伝説の妖怪だ。こいつが土の中に居るのはこいつが食った相手の力を自分の物にしたからだ」
すると地面が割れて、そこから八岐大蛇の顔が現れる。
俺は瞬時に、八岐大蛇だけを空間移動を使って、誰も居ない広大な場所に移動させて、そこに俺達三人も移動させる。
そして直ぐに八岐大蛇と俺達三人を、隔離空間で隔離させる。
「ここなら広いし思いっきりやれるだろ」
「移動するならそう言ってよ団長!」
「悪い、悪い」
俺は異空間に閉まっている、腕輪型の神器龍の手を取り出して、右腕につける。
「神器解放! 龍の手」
俺は瞬時に神器を解放させて戦闘準備をする。
凛は既に龍の門を出現させて、そこから三体の巨大な龍を召喚させて、妖気を纏わせている。
メロディアも神の加護属性を発動させて、左手に炎右手には雷を出している。
「征け」
凛の命令で三体の龍は八岐大蛇へと向かって行き、三体同時に炎を吐くが八岐大蛇が、負ったダメージはかすり傷程度だった。
「あの攻撃をくらって、かすり傷程度でありんすか。結構強めにやったでありんすよ」
「今度は私が行きます」
そう言ってメロディアは両方の属性を合わせて、攻撃するが凛と同様に、かすり傷程度しかダメージを与えられていない。
「今度は俺が行くぜ。属性付与、地獄炎!」
そう言い俺は背中から伸ばした無数の龍の手に、属性付与をして八岐大蛇に攻撃する。
「地獄炎の龍の拳」
赤黒い炎を纏った幾つもの龍の手が、八岐大蛇を襲う!
消えない炎、たっぷりと味わいやがれ。
「今の赤黒い炎はなんでありんすか?」
「私も気になる」
「あれは属性付与って言って、神の加護や神器に属性を、付与する事が出来るんだ。属性系の加護や神器には効果はないけどな」
「そんな技があったなんて、知らなかった」
知らないのも当然だ。
この技は俺が編み出した技で、今の今まで誰にも教えていなかったのだから。
それを伝えると二人はとても驚いていた。
そしてまた、八岐大蛇への攻撃が始まる。
「本当にしぶとい奴でありんす」
「これだけやっても、まだ倒れないなんて」
俺達はここで一時間近くこいつと戦っていた。
凛の浴衣やメロディアの鎧は色んな所が、ボロボロになっていて肌が見えている。
まぁ、ボロボロになった浴衣や鎧は後で、元に戻せるからいいけど流石に、二人は肩で息をするくらいに体力は限界を迎えていた。
「しゃあねぇ。少し本気だすか」
そう言い俺は腕に付けていた龍の手を取り外し、異空間にしまうと別の神器を取り出して、右手に持つ。
「神器解放! 聖弓フェイルノート」
「二人は少し休んでろ」
俺は神器を解放させて二人を、隔離空間の中に隔離させて休ませる。
「聖なる矢!」
八岐大蛇に向けて放たれた矢は八つある首の内の一つが矢に刺さり、いとも容易く聖なる光で焼け焦げる。
一発で駄目なら、何発もぶち込めばどうだ。
「聖なる矢の機関銃」
八岐大蛇の身体には、幾つもの聖なる矢が刺さっていくが、それでも倒れない。
本当にしぶとくて嫌気がさす。
「これで終いだ。聖なる矢の大爆発!」
矢を受けた八岐大蛇は大爆発を起こし、跡形も無く消滅していた。
やっと終わった……流石は伝説の妖怪、神器を二つも使うとは思っていなかった。
俺は隔離空間を解除して二人と一緒に、幽霊屋敷の前で待っている四人の元に、移動した。
幽霊屋敷に着くと俺は四人に、事の事情を説明した。
「私とアルシアを置いて行こうとしたのは、相手が蛇だったからか」
オリヴィアの言ったようにアルシアとオリヴィアは大の蛇嫌いで、それっぽい事を言って誤魔化したのだ。
まぁ、アルシアの方は強引だったが……。
もし相手が蛇、ましてや八岐大蛇だと知ったら、アルシアは大暴れして、ここら一体を吹き飛ばしただろうからな。
「後は、この中に閉じ込められている人を助けて、終わりだな」
「だから団長は私達を別の場所に移動させたんだ」
「そう言う事。ここは俺一人で行く」
どうして閉じ込められているのか、分からない以上、俺一人で行った方がいい。
「わっちも行くでありんす」
「駄目だ。相手の得体が知れない以上、俺一人で行く。それに多分、八岐大蛇よりもヤバい奴だと思う」
「それでも行くでありんす。わっちとの約束を忘れたでありんすか?」
約束と言う言葉を出されて、俺は仕方なく条件をつけて凜を連れて行くことにした。
本当は危険な所に凜を、連れて行きたくないんだけど、約束した以上、俺は常に凛と一緒に居ないといけないようだ。
「入るぞ」
「うん」
そう言い俺は屋敷の扉を再び開けて、中に閉じ込められている人の所に向かった。




