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プロローグ
僕、水原 命人は、15歳の誕生日に大切なすべてのものを失った。
僕の父親は、僕が3歳の時に事故にあって他界。
それから、母は女手一つで僕を育てきてくれた。そんな母が、再婚したいと打ち明けてきたのは、ちょうど1ヶ月前のこと、相手は母より5歳若くレストランを経営するやり手の男性だった。僕は快く承諾した。あんなに嬉しそうな母を見たのは、初めてだったかもしれない。心の底から母の幸せを喜んだ。
僕らはすぐに、義理の父親になる 佐原 健二さんのマンションに移り住んだ。健二さんはとても気さくで明るくて優しい人だった。僕もすぐに仲良くなった。この時が僕の1番幸せな時間だったかもしれない。
まさか、あんなことが起きるなんて、この時は想像もできなかった。