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異世界伝説巡り旅  作者: オムレット
第1章 旅の始まり
8/28

8話 これから、それから

 体験するって一体何を体験するのだ?


「君たちには旅することを体験してもらう」

  旅を、体験する?

  それが一体どう繋がるというのか。


「カルタくんはこれから自分の目で見て肌で感じることでさまざまなことを学ぶだろう。ここで知識を学びたいと言った君の得た事の確認兼試験だと思ってくれたまえ。この試験を踏まえてセリーナが君を連れていくかを判断する」

「なるほど、そういうことでしたか」

「さすがお父様!」

これなら自分でもどの程度の力があるか分かるし、仲間にしたいセリーナは僕を本当に連れて行くか確認出来るということか。


「内容は2週間後に2人で風の神殿前まで行ってもらう。とりあえずはそこまでだ。カルタくんはまず、この世界に慣れることだ。自分の目で見ることは大きな経験になるぞ」

「はい!」

 経験者は説得力があるなぁ


「セリーナはどうすればカルタくんと連携して進むことができるかを考えなさい。仲間が出来れば助け合う場面がたくさんあるからな」

「はい!」

 今のギルベルトは国王でも、父親でもない。

 1人の冒険者として語っている。


 セリーナは僕をチラリと見てギルベルトに言った。

「お父様、風の神殿までですと歩いて約3日はかかりますよ。初めてにしてはカルタには少々負担が大きいと思います。」

「ううむ、しかし旅とは楽しく心踊るものだが、それと同じく辛く厳しいものでもある」


 そんなに険しい道のりなのだろうか?

 帰るにしてもまた3日かかるし、僕は不慣れだからもっと時間がかかるだろう。

 僕では対処しきれない事も分からない事もあるだろう。

 方向音痴ではないけど迷子になったら最悪だ!


 でも…


「すごく楽しみになってきた! 何があるのか、誰に会うか分からないのが旅の楽しみだしね!」

「おお、カルタがやる気満々だ!」

 迷子になったらなったで面白いものを見つけたり、そのおかげで新たな発見があるものだ。

……そう思いたい。


 あっそうだ!

 もし、行き先の道中にイグナーツさんの村があれば行ってみたいな。

 でもイグナーツさんに案内してもらう約束だし、折角だからセリーナも連れて行きたいし、また今度だな。


「あとは詳しい内容やルールなども決め、それに従って行動するように。とは言えそこまで厳しくはない。ただ、あったらあったで面白いだろう?」











――さあ予定は決まった。

 これからこの世界で新たな人生が始まる。











 僕は客室に戻った。

 まず何から始めようかな。

 文字の読み書きは爺さんに教わったので不自由なく書けるし読める。

 よし、最初はこの世界のことを知るために図書館的なところへ行こう!


 グゥ〜〜〜〜


 と思ったがそろそろお昼か。

 お腹すいたなぁ。

 メイドさんに頼んだら持ってきてくれるかな?


 コンコン


 おっ噂をすれば何とやらってね。

「はい、どうぞ」

「カルタ〜城下町に行こう!」

 セリーナだった。


 あれ、この部屋に来た人ってセリーナだけじゃない?

 まいっか、そんなことよりお腹すいた〜

「セリーナ、お腹すいたよ」

「ふふふ、だから行くんじゃない」

 なぜそうなるのですかねぇ〜

 けど、この国も見て回りたかったから案内してくれるなら願ったり叶ったりだ。

 予定を変更してまずは一般人から情報を得るとしよう。

 あとでその情報も踏まえて書庫で勉強しますか。



 城を出た僕はオススメの食事処を教えてくれると言うのでセリーナの後ろについて行く。

「おお! ここが城下町か。賑わってるなぁ」

 この世界で初の大都市に只々感動が込み上げる。

 この世界独特の服装、人に近い種族から異形の種族まで多種多様な種族が住んでいる。

「数ある国の中でもこのウィルドン王国は比較的他種族を受け入れてる国なんだよ!」

 へぇ〜〜

「それじゃあさ、一般的に多くないって事だよね」

「う、うん」


 差別はどこに行ってもあるし、無くならないのが悲しい事実だよなぁ。

 ああ、嫌な事思い出したよ。

 聞かなくてもいい事だけど確認しとくか。

「奴隷も、いるよね」

「残念ながらいるよ。私は何度か見た事あるけど、とても見ていられない有様よ」

 自分で振っといて悪いけど僕らの空気が重苦しくなってしまった。


 と、そんな事をしている内に着いたようだ。


 大衆食堂 兼 宿屋 【そよかぜ亭】


「さあさあ暗い話はここまで! 美味しいご飯食べて元気だそう!」

 セリーナはとにかく明るく言う。

「そうだね。セリーナ、期待してるよっ」

「任せなさい!」

 セリーナはサムズアップしてみせる。


 扉を開け入る僕たち。

「お〜ぉ」

 絵に描いたようにアニメなどで見られる風景がそこにあった。

 ごく普通の光景なのだろうが僕にしてみれば感動するほどワクワクする事だったのだ。


「カルタ、置いてくぞー」

 感動のあまりボケっとし過ぎたようだ。

「あ、うん。今行くよ」

 急いでセリーナの後を追う。


 昼時で随分と賑わっている。

 誰もかれも笑顔が絶えないのはこの国の良い特徴かも知れない。

 セリーナは空いてるカウンターに座ったのでその隣に僕も座る。

 すると、いかにも店主らしいプロレスラーのような男が厨房から出て来る。

「おお! セリーナちゃん。おっと今は姫だったな。らっしゃい! 数ヶ月ぶりだな」

 おうこれはフレンドリー。

 まぁセリーナがオススメするくらいだから顔見知りなんだろうけど。

「おやっさんこんにちは! この店を辞めて戻ってからここの味が恋しくなったのと、彼にもここの料理を食べさせたかったの」

「おいおい、何だよ彼氏か〜。青春してるねぇ」

………

「やめてよおやっさん! 彼はうちの客人だよ」

………

「へぇ〜ふぅ〜ん。まぁとにかくいつものアレでいいだろう?それとあとでソフィを連れてくるから待ってな」

「おうよ!」

………

……

 はっ!

 会話に入れなかった。

 そんな事より、この店を辞めたって言ってたよね?

「ねぇセリーナ、さっき店を辞めたとか何とか言ってたけど働いてたの?」

「言ってなかったっけ?」

 聞いておりませんよ お姫様。


 何でも、旅に出る歳になる前の年に1年間、町の店のどこかで社会体験という名のアルバイトがあるみたいだ。

 それでセリーナはこの『そよかぜ亭』で働いていたのだと言う。

「ここを選んだのはね、町の友だちの中でも親友の店だからなんだ。おやっさんの料理が美味しいっていうのもあって雇ってくれるよう頼んだら即採用! 調理に配膳、会計とか一通り教えてもらってとても楽しかったんだ!」

「大変そうだけどセリーナにとって良い経験になったんだね」

「うん」


 数分後、可愛らしい猫耳の女の子が厨房から料理を運んで来た。

 チャーハンの様な料理だろうか。

 付け合せにサラダとスープが付いてきた。

「おまちどうさま、そよかぜ亭炒飯定食2人前です!」

「ありがとう。久しぶりだねソフィ!最近来れなくてゴメンね」

「ううん、セリーナにはやる事があったんでしょ。今ちゃんと来てくれたじゃない」

 本当にとっても仲が良いんだね。

 こんなに親しい友人が居たらなぁ。

 いや、今はセリーナやイグナーツさんが僕の友だちだし、爺さんもいるもんな!

 もう1人じゃないもんな!


「ちょっと聞いてる?カルタ。ご飯冷めちゃうよ!」

「ご、ごめん。ちょっと考え事をしてて」

「本当にもう!ゴメンねソフィ、だらしない客人で」

 だらしないとは失礼な!

 ボーッとしてたのは事実だけど。

「面白いお客様ね、カルタさんって」

 面白い要素ありましたっけ?


 さて、本当に冷めてしまわないように食べよっと!

 この店自慢の料理とはどんな味がするのかな。


 パクッ


「まいうーー!」

「「まいう?」」

 おっと失礼

「美味しい!めっちゃ美味しい!爽やかな香辛料と濃い味が食欲をそそる!米もちゃんとパラパラしてるし、あまり味わったことの無い新しい感覚と懐かしい味わいが素晴らしい!」

 自分が何言ってるのか分からないけどとにかく美味い!

 お城で食べた料理も美味しかったけど、この料理は美味しいうえにとても力が湧いてくるような気がする。


「すごく、褒めてるよソフィ」

「すごく、感動されてるよセリーナ」

 2人は微笑している。

 普通の料理を食べてオーバーリアクションする人なんて食レポする人くらいだろう。

 この世界に食レポする人はいないだろうけど。


 スープは中華系の味付けに近くホッとする美味さ。

 サラダはみずみずしくフレッシュな野菜に柑橘系のドレッシングがよく合う。

 これはこの国に来たら是非食べて欲しい料理だな!



 さぁそろそろ情報収集といきますか!

そよかぜ亭の炒飯食いてぇ〜

味の詳細は想像にお任せします


さて、セリーナさんアルバイトもしてたんですねぇ

このヒロイン、ちゃんと(美味しい)料理が作れます

料理という名のバイオ兵器なんて作るヒロインとかいませんよね!


次回、情報収集開始です!


7/28追記:大した変更では無いですがカルタ君の試験期間を延長しました。1週間後じゃあ短いと思い、2週間後に変更です。いくらなんでも今後の展開的に辛そうなので、余裕を持って頑張らせよう!という作者からの粋な計らいです。


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