4話 対談開始
まだまだ旅は始まんねーぜ‼︎
目が覚めた。
恐らくは朝だろう。
イグナーツさんは相変わらず鉄格子の前で椅子に座ってくつろいでいた。
それで良いのか?
「おはようございます。たぶん朝ですよね」
「さぁどうかな? 多分朝だ。あ、そうだ、寝心地はどうだった?」
素晴らしい嫌味ですねイグナーツさん
「ええ、とてもヒンヤリしていて最高でしたよ」
両者、ムカつくドヤ顔で睨み合ってどうでもいい張り合いをしている。
「そんだけ元気があれば大丈夫そうだ。だが悪かったな、冷てー地面で寝るのは辛かったろう?」
イグナーツさんは結構気にしていたようだ。
「大丈夫ですって。確かに少し首が痛いですけど。それよりお腹空きました。食事とか出して頂けるでしょうか?」
僕がお腹をさすると、ぐぅ〜と鳴った。
イグナーツさんは連絡用のダクトから食事を持って来れるか確認をとってくれた。
すると、「その必要はない」と言われたみたいだ。
「一体どういうことだ?まさかこのまま食事をとらせない気か?本当にすまんな」
食事が出来ないのは、かーなーり辛い。
人間3日食わなくとも死なないとか何とか、よく言ったものだ。
身体的には問題ないが、精神的に問題無いとは言えない。
ところが、連絡を取った十数分後、見知らぬ身分の相当高そうでキリッとした男性が現れた。
僕はすぐイグナーツさんに小声で訊いてみた。
「イグナーツさん、あの人はどなたですか?」
返事がない。
イグナーツさんを見るとガチガチに固い。
会ってから今まで見たこともないほど緊張し、見事な敬礼を見せていた。
挙動不審な僕を見て気を遣ったのか見知らぬ男性が自己紹介をしてくれる。
「私はここ、ウィルドン王国の宰相リオネル・マッシ、と申します。初めまして、カルタくん」
なんか物凄く偉い方が来ちゃったよ?
めっちゃ失礼じゃん僕。
「あ、えっと、初めまして。すいません、こんなに偉い方とお会いすることがなくて、どうしたら良いかわからなくて…」
確かに、これはかなり緊張する。
「あはは、構いません。それより貴方に会いたいと仰っている方がいます」
え?ということは…
「ということは、出られるのですか?」
「ええ、我々はこれから貴方を客人として歓迎します」
客、人⁈
これは一体どういう冗談だ?
スゲー展開になってきたな、オイ!
こうして僕はあの牢屋から出ることができた。
イグナーツさんには、また今度会おうと約束した。
宰相のリオネルさんの後ろをついて行くと一際豪華な扉の前に着いた。
これ絶対もっと凄い人いるよね!
「こちらです。お食事も用意させてありますよ」
扉が開く。
目の前に広がる光景は。
中央に6m程の長方形のテーブル。
テーブルの上には美しく整えられた食器と美味しそうな食べ物。
テーブルの奥、一番のメインであるだろう御人が座っている。
テーブルには右に女性が一人。左には女の子が一人。
おそらくその一番偉いだろう御人から少し離れた両脇に、兵士というより騎士が二人。
扉とテーブルの間の距離、右側に執事がいる。
計6人がこの空間にいる。
入りづらい。
何これ、自分だけ場違いじゃない?
すかさずリオネルさんを見た。
ニコっと笑った。
ニコっじゃねーよ。
何とかしてよ。
助けてよ!
(フフ…)「国王!カルタ・サギリ殿を連れて参りました!」
今この人笑ったよ⁉︎
フフって。フフって笑ったよ!
この人、僕が慌てふためいてる姿を楽しんでたよ、絶対!
「おお、君が彼の友人か! さあさあ、座ってくれたまえ」
「は、はひ!」
噛んじゃったよ、恥ずかしい!
ちなみにリオネルさんは用事があると言ってもうすでに行ってしまった。
右側にいた執事が案内してくれる。
国王とは反対の位置にある椅子を引かれる。
座ると分かってくる。
国王とはこんなにも強いオーラがあるのかと。
笑顔の中にも圧力の様な感覚が伝わる。
「それでは軽く自己紹介をしよう。私がこの国の王、第36代ウィルドン王国国王 ギルベルト・エアリス・ウィルドンだ」
国王、登・場!
場違い過ぎてかわいそうなカルタくん。
果たしてカルタくんの精神は耐えられるか?
次回もお楽しみに♪
ー追記ー
章管理ができるようになりました。
慣れないことは地道にやって行くしかないですよね