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異世界伝説巡り旅  作者: オムレット
第1章 旅の始まり
23/28

22話 王妃の身内は

あれれ?

投稿したつもりだったのにされてなかった。

何を言っているか分からないだろうが、私も分からん!

ということがあったので、少し編集してちゃんと投稿

 やっと自由に体が動かせるようになった。


 それにしても魔法っていうものはつくづくすごいもんだな。

 あんなに満身創痍だったのに二日で完全復活できた。

 外傷はあの時、運ばれてすぐ治癒された時に殆ど治り、今では傷があったとは思えない。


 だが本来なら筋肉痛にならずに済んだらしい。

 と言うのも、治癒のペンダントにより一時的に傷を繋げたので、効果が切れた途端に傷が開いたので、内臓を第一優先に外傷を治したそうだ。

 なので、疲労による筋肉痛は翌日に回されたらしい。


 それでも、改めていま僕が居るここが『異世界』なんだと思わせてくれる。








 昨日は何かせずにはいられなかった。

 一日中何もしなければ暇で暇で仕方なかっただろう。

 そこで、書物塔に置きっぱなしになっていた資料を持って来てもらって読み漁っていた。

 ときどき剣闘士の方々が見舞いに来てくれたり試合を見たりして気分を変えていた。

 おかげで進み悩んでいたお勉強も捗って良かった。



 今日は朝食後にセリーナと王妃様に会う予定だ。

 あの試合について話があるって言っていたらしいけど、なにを話してくれるというのだろうか。

「もうそろそろ来ると思うんだけどなぁ」

 そんなことを思っているとドアがノックされる。

「私だ(いい声風)」

「あ、うん。セリーナだよね」

「………」


 なぜか残念そうに俯いて入ってきた。

「……はぁ。おはよ、迎えに来たぞ」

「お、おはよう。えっと、なんかゴメン」

「別に怒ってないし。乗って欲しかったとか思ってないし」

 頬を膨らませてそっぽ向く。

 怒った姿も可愛い。

「ゴメンゴメン。いきなりだったから」

「はぁ、もういいわ。それより準備は出来てる?」

「大丈夫だよ。さぁ行こうか」






 僕は二日ぶりに城へ戻った。

 ここ数日で知り合った城内の人たちが次々に挨拶に来て、僕はびっくりした。

 まだ知り合ってそんなに経ってないのけど、こんなに心配してくれる人がいることを知って嬉しかった。




 挨拶に来る人たちがおしゃべりで30分ほどしてようやく解放された。

 まずは借りた資料を返すために先に書物塔を訪れた。

 セリーナはドアの前で待っているそうだ。


 中に入ると中央では相変わらず管理人のシュゾルフさんは書物に集中していた。

 しかしそんなことはお構いなしに挨拶をする。

「おはようございます、借りていた資料を返しに来ました」

「ん。そこに置いてくれていい」

 シュゾルフさんは彼の目の前にあるテーブルを指さす。

 僕は指示通り資料を置く。


 用事が済んだので挨拶をして出ようとした。

「それでは失礼します」

「……あ、待て」

 あれ? 珍しいな。

 滅多に呼び止めたりしない人なんだけどな。

「怪我は、もう大丈夫か?」

「は、はい。もうすっかり良くなりました」

「そうか……またいつでも来るといい」

「ありがとうございます!」

 この人も心配してくれていたんだな。

 いつも無関心そうに見えて、実は面倒見がいい人だ。

 また知り合った人の新たな一面を知ることが出来てとてもうれしい。


 五分ともかからず出てきた僕を見てセリーナは不思議そうに聞いて来た。

「何かうれしいことでもあったの?」

「うんまあ、ちょっとね」

「そう、まあいいわ。そろそろ行きましょう」


 僕らは玉座の間に向かった。








 玉座の間にはぶっちゃけ初めて来た。

 目の前には二席の玉座があり、僕から見て左手に国王が、右手に王妃が座っている。

 そして一定の間隔を空けて近衛兵が両端に計10名が控えている。


 今までは食事の時や国王の自室だったりと、あるあるのお約束に反する方法で顔を会わせていた。

 テンプレならこういった場で顔をあわせるのがお約束というものなのではないだろうか。


「……まぁ今更か」

「どうかしたの?」

「あ、その、もしかして聞こえてた?」

「なんか考え事してたみたいだから」

「いや、何でもないよ。気にしないで」

 そりゃあとなりでブツブツと独り言言ってたら不思議に思うよなぁ。



 国王ギルベルトは「ゴホンッ」と咳をして語り始める。

「うむ、まずはカルタ君には詫びをしなければならぬな。先日の闘技場での一件についてだが、熟練者でも命を落としかねない事態をみすみす招いてしまったこと、誠に申し訳ない」

「いえいえ、結果的に命からがら勝利出来ましたし、終わり良ければ全て良し、です!」

「そう言ってもらえると助かる。それでだが、この件であのような手段を持つ者に心当たりがあるのだ。聞いてくれるか?」

 呼ばれた理由はこういうことか。

 とても気になっていたところだ。

「是非、お願いします」

「分かった。それでは話そう。まずは我が妻リズの話を聞いて欲しい」



 王妃リズは一礼して語り出す。

「カルタさん、ごきげんよう。その、(わたくし)もはじめに謝らねばなりません」

「え? 王妃様もですか?」

 申し訳なさそうな仕草が可愛らしく、セリーナの母だなぁと思った。

「実はこの度の事件、そしてあなたにかかった魔法は、私の血の繋がった姉様が犯人なのです」


 ええーーっと……。

「お姉さん、ですか」

「え、え、えぇーーーー!お母様には、お姉様がいらっしゃったのですか‼︎」

 僕とセリーナの温度差が大きい。

 僕からすれば、「あ〜あ、そういうことかぁ」って感じだけど、セリーナはとても驚いている。


 久しぶりにハイテンションなセリーナが現れる。

「なぜ今まで教えてくれなかったのですか!」

「カルタが来なかったらずっと教えてくれないままだったのですか!」

「お母様のお姉様ってどんな方なのですか!」

「どちらにお住まいなのですか!」

「えっとえっと、それからそれから!」


 自分の母にも容赦ないなぁ。

 さて母の反応はいかに?

「あらあら、セリーナちゃん。もうちょっとゆっくり喋ってくれないかしら」

「は‼︎ ごめんなさい。またやっちゃった」

「良いのよ。分かってくれたのなら少しずつ改善していきましょう」

「はい! お母様」


 母は強し、てことかな。

 本題からズレたけど、なんかこの場が和んだ気がする。


 改めて王妃は語り始める。

「姉の名はグリシア。この世で最も神に等しい力を持つ魔女ですわ。具体的にどこかは分かりかねますが、この世界の外側『外殻』から地上を観ているそうです」

「世界の外、ですか」

「ええ。簡単に言えばカルタさんの世界とこの世界との狭間の空間だと思って下さい」


 分かったような、分からないような、難しい表現をするなぁ〜。

「詳しくは省きますが、そのような力を持つ姉様には少々変わった趣味を持っておりましてね」

 絶対に"少々"なんてもんじゃないスケールなのは想定内だ。

「その趣味というのは、英雄を観察したり接触してみたり、自ら他人を英雄に仕立て上げ(・・・・・)たりすることなのです」

「「英、雄?」」

 セリーナとハモった。


 そう言えば闘技場で聞こえた声からもそんなことを言っていたような気がする。

「あの、もしかして今回は僕がその英雄候補に選ばれちゃったりしてませんか?」

 王妃はニッコリ微笑んでこう言う。

「大正解〜!」

 デスヨネー。

「あなたの言った通り異世界からの来訪者であるカルタさんは、いわば絶好の候補者(玩具)なのです」

「全然嬉しくないですよ」

「理由はまだあります。あなたのよく知る英雄も姉様の前回の候補者(玩具)でした」

 爺さんも⁉︎

「じい、グレイハンズさんもですか!」

「ええ。彼は姉様の1番お気に入りでしたが、優秀すぎました。あの姉様の目を掻い潜り異世界へ渡ったのですから」

「彼は姉様の次に神に近い才能を持っていました。姉様も異世界へ追いかけることが出来ますが、姉様はこの世界を愛しているが故に異世界には興味が無く、それを境に彼への想いを捨てました」


 爺さんも大変苦労したんだな。

 少し同情するよ。

「そういった経緯があり、現在ではあなたが姉様にとって一番の英雄候補に抜擢してしまったのです」

「という内容をつい最近姉様から手紙を頂きましたので、ありのままの私が知り得る限りの情報を開示しました」

「は、はい。ありがとうございます?」

「そして……」

 王妃から急に笑顔が消え、僕の目をじっと見つめると言葉を続ける。

「そして、私の最愛の姉様が多大なるご迷惑をお掛けしております。しかしながら、世界屈指の魔女である私でも姉様の呪縛から解放することは出来ません。本当にごめんなさい」

 王妃は僕に頭を下げる。


 なぜ?

 僕になぜ、貴女が謝るんだ?

「やめて下さい。僕なんかに頭を下げないで下さい。貴女が謝る必要は無いじゃないですか。どうして僕に謝るのですか⁈」

 王妃はゆっくり顔を上げた。

「そうですわねぇ。謝罪の理由は2つあります」

「姉様がこうなった理由に私も関わっています。また、そんな姉様を止めようともせず姉様から逃げてしまいました。何百年と世界を見続け、時には止めようと行動に移しましたが、想像以上に姉様の影響力は凄まじく私にはどうすることも出来ないと諦めました」

「………」

「私自身では姉様は止められぬのならと、せめて姉様の呪縛を緩められるよう候補者に接近し、姉様が少しでも干渉出来ぬ時間を作ることを考えつきました。これが一つ目の理由です」

「罪滅ぼし、のようなものですか」

「そのような大層なものではありませんわ。ただ私に出来ることを見出したまでのことです」


 王妃は「そして」と今度は明るく優しい口調で続ける。

「2つ目は、単純に恩返しと好意です」

「恩返し? ですか」

「ええ、そうです。実は英雄グレイハンズに命を救われたことがありました。その時にギルベルト様に初めてお逢いしたのですが……それは今度ご興味があればお話いたしますわ、うふふ」

「あ、あはは、機会がありましたら、是非」

 突然惚気話をされるのかと思った。

 しかしここでセリーナが横槍を入れる。

 そうだよな、この子が食いつかないわけがない。

「私は気になります! 今、すぐ!」

 僕はすぐさまセリーナを止める。

「ねぇお姫様、いま僕は大事な話を聞かせて頂いているんだ。その話は後にしてもらえると嬉しいな」

「あ、はい。ごめんなさい」

 あれ、上手くいったぞ。

 そろそろセリーナの扱いにも慣れてきてしまった。

 彼女の自分に正直な性格は良いことだけど、正直過ぎるのも考えものだね。


 活発なお姫様の暴走も止まったので王妃に話を再開してもらう。

「ええっとどこまで話したかしら? ああそうでした。命を救われてから何度か恩返ししようとしたのですが、なかなか恩返しさせて頂けなかったので、勝手ながらこの機会をもって恩返しになればと思っているのです」

「そんなことがあったんですね。では好意、というのは?」

「それも簡単なことです。私もあなたを気に入っているのです。異世界から来たという肩書きを除いても、息子を持った様だと私たち夫婦は嬉しいのです。今後も娘のセリーナと友好的な関係でいて下さいね」

「勿論です! セリーナの母親譲りの可愛らしさが結構好きですよ。それに僕にとっては唯一無二の親友ですから」

「はう〜、サラッと恥ずかしいこと言わないでよ!」

「そうかな? 僕の率直な感想、というか気持ちなんだけどなぁ」

「あらあら、もうそんなに進展していたのね」

「お母様!」

「リズ!」

 あれ、また脱線の予感。


 僕の目の前で家族間の微笑ましい?論争が始まっていた。

「私はカルタ君を友人としては許すが婿としては認められぬな!」

「ちょっと待ってお父様。私はカルタのことは好きだけど、それは友だちとしてって意味で、そういうことじゃないんだから!」

「そうかしら? ふふふ、あなたがそういうのならそうなのね〜」

「私は認めん! 認めんぞ‼︎」

「だーかーらー、お友だちなのー‼︎」

 僕は黙って暖かい目で論争を見届けることにした。

 周りの近衛兵は笑いを堪えるのに必至そうだ。





 収まったのは、およそ30分ほど経った頃だろうか。

 論争の結果、僕がセリーナと嫁にするには国王ギルベルトと決闘をして勝たなければならないらしい。

 どうしてそうなったんです? と言いたいが、言っても無駄なのは分かっているので口には出さない。


 そろそろ話を戻したい。

「もうそろそろ事件のこととか僕にかかった魔法について触れても良いですか?」

 ようやく本来の話題からズレていたことに気が付く父と娘。

 母の方は元々知ってただろう。

「私としたことが……」

「恥ずかしい~よ~」

「熱くなるところは父親譲りなのかもしれませんね」

「申し訳ない」

「いえいえ、とても微笑ましい家族の姿でしたよ。内容は僕としても恥ずかしいようなむず痒いような感覚でしたけど」

「うむむ、この話はここまでとしよう。さて事件と君についてだったな」

「はい」

 照れる姿はやはりセリーナとそっくりだ。



 国王ギルベルトは、ここから先は私が話すと語り始める。

「この度の事件については、先ほどリズからあったように魔女グリシアによる干渉だ。英雄を創り出す計画の一部だろう」

「英雄に憧れることはありますけど、なりたいとは思いませんね」

「そうだな、あの役回りは私も好かん」

 世界を救う的な立ち位置は、責任だ何だと面倒そうなのでやりたくはないな。

「さて、君にかけられた魔法だが、やはり解除は出来そうにない。魔法の効果も詳しくは分からないが、君は身をもって知っていると思う」

「心当たりは、あると思います」

「言ってみてくれるかね」

「はい」


 たびたび不思議なことが起こっていたからそれを言ってみれば良いだろう。

「ええっと、初めに異変を感じたのはこっちに世界に来て1日か2日目の夜、夢の中で魔女らしき人に会ったような気がします。ああそれと、突然とても甘い香水のような香りがして頭痛がしてきました。試合の時も香りと頭痛と声はありましたよ」

「なるほどな。どうだリズ、心当たりはあるか?」


 少しの沈黙の後、答えが返ってきた。

「まず間違いなく姉様でしょう。その甘い香りは姉様が調合した魔法の掛かった香水でそれなりに様々な精神作用がありますけど大したことはないので安心してください。しかし姉様の好みで刺激的な甘い香りをしているだけなのですが、私もあの香りは好みません」

「そうですよね。やっぱり頭痛もそのせいなのかな?」

「いいえ、その可能性もあるとは思いますが、頭痛は姉様からの魔術的干渉の影響です。対象者の脳内に直接語りかける魔法によって頭痛が引き起こされたのです」

「便利ですけど嫌な副作用ですね」

「そうですね。そして闘技場での結界とゴーレムの変化も姉様の仕業です。ご理解いただけたでしょうか?」

「ええ、はい。お姉さんにとても気に入られてしまったという事はよくわかりましたよ」


 はぁ、なんて迷惑なお姉さんだ。

 こんなに嬉しくない気に入られ方は初めてだよ。


 うん? そういえばあの時一度だけ今までと違った感じの声が聞こえたけど、まさか。

「あの、そういえば試合の最後の方で話しかけてきたのは貴女ではありませんか?」

「ええ、姉様と同じ魔法で語りかけましたわ。ふふふ」

「あはは。でも頭痛はしませんでしたよ?」

「それは貴方に負担をかけないように調節しましたので、その影響はなかったのですわ」

「出来るんじゃないですか! お姉さんもそれぐらいしてくれてもいいのに」

「姉様は残念ながらその程度のことは気にしない人、いえ魔女ですわ」

 お姉さんマジ不親切。

 妹の方が有能なんじゃないだろうか。

 性格の方は、さすが姉妹といった感じで似たような小悪魔?というより悪魔だな。


 こうして、これまでの不可思議現象が解明され、迷惑な思惑を知ることになってしまったのです。

 トホホ、泣きたい。

はぁ、どうもオムレットです。

前書きの通りでして、投稿したと思ってたのですがされていなかったというね。

申し訳ない。


数週間の間があったせいで物語の内容がいつもより多めになってしまった。


さて、今月から活動報告にて月一報告会を開始しました。

第一回目には出る出る詐欺をしていたもう一人のヒロインについて少し書かせて頂いてます。

2章には出すヨー


では次回!

セリーナの一言で国王撃沈?

お楽しみ!

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