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異世界伝説巡り旅  作者: オムレット
第1章 旅の始まり
21/28

20話 勝者

 ケルベロスは前脚を振り上げた。


 そして僕にトドメの一撃が振り下ろされる……はずだった。


「GAUッ⁉︎」


 突然、目を開ける事ができないほどの光がケルベロスの目の前で放たれた。



 その眩い光に怯み、目を瞑り顔を手で覆うケルベロス。



 そしてパリンという音と共に光が消えた。



 光が消えたことを感じ目を開けると、すかさずケルベロスは前脚を振り下ろす。


 地面が振動するほど強い攻撃だ。

 直撃すれば僕は肉塊になっていた(・・)だろう。



 砂埃が舞い、またしてもケルベロスの視界を遮る。




 その隙に僕は閉じた(・・・)傷口を押さえつつ、落とした剣を拾う為に走っていた。


 腹部の穴や内臓の損傷はさっきの光が癒してくれた。


 光の正体は、この前セリーナがくれたペンダントだった。

 強い光に僕も目を閉じてしまったが、その時に声が聞こえた。






 ---生きて下さい。娘には貴方が必要です。


 貴方は、だれ?


 ---いま貴方がすべき事を果たして下さい。


 待って! 聞きたい事がたくさんあるのに!


 ---勝利した後にお話しします。御武運を。


 そう、ですか。ならば勝ちます。もう油断はしない。






 僕は、いまさっきの声の主に覚えがある。

 引っ掛かるけど思い出せない。


 いいや、今は走ることに集中だ。


 多分もうそろそろ気付く頃だろう。

 次にぶつかり合った時、勝敗が決まる。













 砂埃が舞う中、足音を感じたケルベロス。

 トドメを刺したと思っていた奴が生きていた事に腹を立て吠える。


 いや、咆哮だ。



「「GUuuAAAAAAAAAAaaaaaaa‼︎」」



 二つの咆哮によって砂埃が散り、視界が戻ると足音のする方を睨む。

 当然そこには僕が走っている姿が見えているだろう。



 僕も当然咆哮が来るだろうと思っていたのでしっかりと耳を塞ぐ。

 しかし二倍の咆哮はさすがに辛い。



 なんとか持ち堪えた時には、落とした剣の元に着いた。


 振り返り、ケルベロスに注意を払いつつ剣を拾う。



「さぁ終わりにしようぜ。冥界の番犬様よ! ……来い‼︎」



 ケルベロスはその声を合図に全速力で駆けて来る!




 剣を鞘に収めて僕も走り出す。





 すぐに距離は縮まる。



 もう数秒もすれば敵のテリトリー内だ。



 先にアクションを起こしたのはケルベロスだった。

 二つの顔を前に出し口を大きく開けた。



 そう来たか。



 僕は中央と右の顔の間を何とかすり抜ける。


 そして両手で二つの首に手を当てて叫んだ!

「魔法【フリーズ】‼︎」


 残りの魔力の半分以上を使って二つの首を凍らせる。

 首がどんどん凍っていく。



 ケルベロスは前脚でどうにか僕を引き離そうするが届かない。



 半分ほど凍ったところで胸の魔方陣の前まで移動する。

 足の力が抜けてそうになりつつも気合いでなんとか位置につく。



 剣を抜き狙いを定めて魔方陣に突き刺す。



 ザクッ



 仕上げに剣を持った方から残り全ての魔力を使ってトドメを刺す。



「終わりだ。【ワインド】‼︎」



 ケルベロスの胸は剣の刺さった部分から勢いよく弾ける。


綺麗に丸い穴がぽっかりと空く。




 ケルベロスの体は魔方陣が完全に消滅した為に、跡形もなく全て砕け散った。





















「……勝ったんだ、よな」


 身体から力が抜けて立つことはおろか、指一本動かせない。



 かろうじて首が動かせたので首を横に向けてみた。











 結界がケルベロスの消滅と共に消え、入退場口で待機していた救護班が走り寄ってくる姿が見える。



 一緒にユーフリートも来ていた。


「おい救護班、早くしろ!」

 おそらく彼らも全力で走っているのだろうが、ユーフリートが速すぎて追いついていない。

 だから先にユーフリートが僕の元に着いた。


「大丈夫か! 傷はどうだ? まだ痛むのか?」


 僕の肩を持って支えながら座らせてくれる。


「おいおい、魔力がこれっぽっちも残ってねぇじゃねーか。使い過ぎだ、バカ野郎。だから動けねぇのか」


 言いたい事は山ほどあるけど、喋るのがしんどい。



 ようやく救護班が到着し担架に乗せられる。

 そして治療のために移動しようとした時にユーフリートが静止させる。


「待て、一つだけやっておく事がある」


 ユーフリートは観客席に顔を向けた。

 僕も吊られて観客席を見た。



 なんと観客はほとんど残っていたのである。


「なぜ? って顔してるな。そりゃあ避難勧告はしたんだが誰も逃げねぇんだよ。それでお前の闘いをしっかり見てたよ。だからさ……」


 彼は大きく声を張り上げ、こう言った。

「本日お集まりのお客様! この騎士見習いの勇敢なる剣闘に盛大なる拍手をお送り下さい!」



 その言葉を待っていたかのように会場全体から拍手喝采が巻き起こる。





『良くやったぞーボウズー!』

『お疲れ様ー!』

『よく頑張ったねー!』

『素敵よー!』





 涙が溢れて止まらない。


「どうだ、凄いだろ……ておいおい、泣き過ぎだろ! まぁ喜んでくれたようで何よりだ」


 当たり前だ!

 嬉しくてたまらないに決まってるだろうが‼︎


「よ…やっ…な」

 ボソッとユーフリートが何が言った。

 なんて言ったんだ?

 後でもう一度聞かないとな。



 拍手喝采の中、会場から僕は担架で運ばれて治療室へ入って行った。

どうも、オムレットです。


初期の脳内プロットをやりたい放題に弄ったら、こんな感じになっちまったよ!


やる気が暴走して書いた。

後悔しています。


はい、まっそういうことで次回!

カルタ君の療養と今回の闘技場の件についてあの人からお話があります。


お楽しみに〜

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