表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アマオト  作者: SHIRANE
2/4

Prologue 「日常」



『「縁」とは予期しない偶然性である』 源 豊宗 (日本美術史家)



■2028年12月25日 18:00■

「今年もクリスマスだねー」

「あぁ――気がつくともう終わりやな…」

春一と夏雫は、外にシンシンと降り続く雪を見ながら話している。

「いい雰囲気やな…早くくっつけばいいのに……」

「そうそう…何でくっつかないんだろうね?」

そんな二人の様子を見て、秋希と冬佳が冷かしている。

「だからそんなんじゃ…ないって!」

慌てて否定する春一に追随するように夏雫も、

「そうそう!春一とはただの腐れ縁だよ!」

必死になって否定する二人に、琴夏がとどめを刺す。

「必死すぎるでしょ……」

「「だって…!!」」

「反応も同じにしなくてもいいのに……」

「「…………」」

冷静に紡がれた言葉に言い返せず、ついに黙ってしまった。


今年は、例年より雪が降って数十センチにも積もっている。

その雪の上に更に雪が降り積もる。

この時、誰もが疑いはしなかった。

いや、誰もが明日を迎えられる事に疑いを持ってはいないはずだ。

その当たり前が続く限り…だが…。


■2028年12月31日 23:59■

『今年も残すところ60秒を切ってしまいました…』

テレビからは、新年のカウントダウンが始まっている。

「みんな、今年も本当にありがとう!」

「こちらこそ!」

「まぁ、お前らが年内にくっつかんかったのは心残りやけどな…」

「そうそう…年明けちゃうよ?」

「「だから!!」」

「反応もよくそこまで合わせられるわね……」

「「…………」」

琴夏の一言でいつも言い返せず、そうこうしている間に10秒前。

『10・9・8・7……』

テレビからカウントダウンする声が流れている。

「「「「「5・4・3・2・1……おめでとう!!」」」」」

全員でカウントダウンして、2029年が始まった。


■2029年1月1日 11:30■

「ちょっと……押さないでよ!」

「だって、こんだけ人がいるんだから仕方ないだろ!」


春一達は、新年の初詣に桜神社を訪れていた。

桜神社…は誰がつけたのか、本来は「春坂神社」という。

桜神社の由来はおそらく、大きな手弱女桜の木があるからだろう。

余談だが、この街には桜にちなんだ地名が多い。

その流れを受け継いだのか、この当りの人は手弱女桜を指して、

親しみをこめて「桜神社」と呼んでいる。


「そんなにくっつきたいのか? それなら……」

そう前置きをして、秋希が春一の体をポンと軽く押した。

本来なら何気ない行動だが、今は距離がかなり詰まっている。

春一はこらえ切れず、夏雫に抱き着く姿勢になってしまう。

「ごめん…!」

「きゃっ!」

春一は直ぐに離れるが、二人とも頬がほんのり赤くなっている。

「秋希……やるわね!」

冬佳が親指を突き出すと、秋希も同じく親指を突き出している。

「よかったわね…二人とも…」

琴夏がささやか賞賛をあげると、夏雫は更に頬を赤くしてしまった。


■2029年1月8日 10:50■

「事前に言っていた通り、明日から実力テストがあります。

 ですので、明日も午前までとなりますので注意して下さい」

担任から明日の伝達事項が伝えられ、今日は解散となる。


「春一! 今日テスト勉強一緒にしよー」

「あぁ――みんな呼ぶのか?」

「うん!」

「……わかった、じゃあ12:30に俺の家で」

「うん!」

そう言って、夏雫は準備をするために家に先に帰ってしまった。


みんなに連絡しようとスマホを取り出すと、後ろから肩を叩かれた。

「お前もなかなか…報われねぇな?」

「うるせぇ……」

秋希が労いの言葉を春一に掛けると、その後ろには冬佳も居た。

「早く告っちゃえばいいのに!」

「お前はしゃべるな」

「えぇー」

少し遅れて、琴夏も春一の教室に入ってきた。

「で……いつ告白するの?」

「はっ?!」

「冬佳がそう言ってたけど……」

そう言って琴夏はスマホを春一に見せる。

「冬佳……お前なぁ……」

「だって、いつまでも煮え切らないんだもん!」

「俺だって……」

「俺だって?」

春一はこの状況を打破すべく、そうそうに打ち切る事にした。

「あぁ! じゃあ、12時30分に俺の家に集合な…お先!」

そう言って脱兎のごとく教室を後にした。


「「「…………」」」

「あれだけ丸わかりな態度なのに、何でくっつかないんだ?」

「さぁ…単に優柔不断なだけでしょ?」

「と言うよりも……言う勇気が出ないだけじゃない…?」

琴夏が締めくくり、三人もカバンを持って教室を後にした。

まだ冬の存在を示す冷たい冷気が、街行く人を追い上げる。

そして、春の訪れを待ちわびている……そんな毎日だ。

こうして過ごす暖かさを保ちながら、季節は2月になった。


改めまして、作者のSHIRANEです。

寒い日が続いておりますが、いかがお過ごしですか?

さて、ずっと書きたいと思っていた”恋愛要素”を含んだ作品。

恋愛?のカテゴライズで良かったのか…少し疑問ですが、

後々そんな内容を入れていきたいという期待を込めて!


当たり前に続く時間に、「今」を忘れがちではないでしょうか。

私事ですが、昨年生徒会でお世話になった先輩が亡くなりました。

私と2つも変わらない人で、卒業後会う機会がなかったのが残念です…。

そんなこともありまして、「時間」をモチーフに作品を書いています。

どの様に映るのか分かりませんが、ゆっくり進めていきたいと思います。


さて今後の更新の予定ですが、アマオトの1話かな?

若しかしたら、”僕役””護衛艦奮闘記”かも…。

まだどれも手を付けていないので、気分次第です(笑)

いずれにせよ、読んでよかったと思って頂ける作品を…

これからも目標に頑張っていきたいと思いますので、宜しくお願いします。

それでは…次回の更新で!


平成26年2月8日 SHIRANE


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ