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恥じらいを知ろう

狼は何処行ったのだろうか?辺りをきょろきょろするが、見当たらない。狼の代わりに、真っ白な髪に碧眼の若い男性が芽衣の目の前に立っていた。自分の目が可笑しくなったのだろうかと、擦ってみるが何度やっても若い人間の男にしか見えない。


「メイ、この人誰?」

「さぁ・・・わかりません」


芽衣の耳元で『ふざけるな』と、ブラストが怒っていたが他人から見れば仲睦まじい恋人に見えるだろう。どうして怒られなければいけないのか、理不尽だなと思いながらもブラストの言葉など、まともに聞いていなかった。


「お前、メイって言うのか?」

「そうですが、どちら様でしょうか」


今度は若い碧眼男に耳元で話される事になり、顔だけだと2人とも男前なので両手に華だ。


「俺、俺だよさっきの」

「オレオレ詐欺は間に合っています」


今時、異世界でもオレオレ詐欺があるのかと思った芽衣。異世界だからこそ、気をつけなければと相手の怪しい行動をチェックした。

(此処に来てから、余計な事まで気にするから嫌だな)


「メイ、俺は純潔の狼だ」

「どう見ても人間様ですが?」

「人間は俺を殺そうとするのもいるから、人間に化けてる」

「本当ですか?」


疑う様な目、それに芽衣だって人間なのに話が本当で、狼なら素性を明かさないはずだ。何で、芽衣だけにそんな情報をくれてやる必要があるのか、わからなかった。


「お前は他の人間と違う匂いがする」


違う匂いに、ちょっとだけ臭いのかなと思う芽衣。くんくん嗅いでみるが、何も匂いはしない気がするが動物の鼻はとても良いのだろう。


「メイは不思議な匂いがする。だから、感で大丈夫な気がした」

「簡単に人を信じてはいけませんよ」

「ああ、でもメイは大丈夫だ。だが、王子は信用できない」

「一応、大丈夫とは思いますけど」


この国の王子様だから、簡単には殺さないでしょうと狼に伝える。すると、狼は王子の方をじっと見つめていたら、不意に口に出す。


「あいつこの国の末王子か」

「末王子って良くわかりましたね」

「この国の王子は皆、年いってるからな。それに、あの瞳と髪の色」


狼はブラストの瞳と髪の色を見て、メルフォン国の末王子と気付いたらしい。ブラストの瞳は左右違う瞳の色で、ブラスト自身から見て右はブルー左はグリーン、そして髪は肩ぐらいの少し長めで色はプラチナブロンドだ。芽衣はブラストの事を気にもしなかったのもあり、気付いていなかった。


「瞳の色が左右違うのは有名だからな」

「有名人ですか」


二人でぼそぼそ話しているのが気に入らないらしく、ブラストは芽衣ににっこり笑顔で『何の話?』と、不気味な笑いをしながら間に入って来た。狼には絶対正体は秘密と言われ、黙ってる事にする。


「メイ、僕だけ仲間外れは寂しいな。で、この人は誰?」

「えーっと、この人はですね道案内をしてくれようとしてたんです」

「本当に?」


実際、大きな狼姿の時に案内しようとしていたはず。だから、嘘は言っていないと芽衣はブラストに頷いた。疑う様な目で、でも顔はニコニコ笑顔で芽衣と狼の両方をみると、漸く納得はしていない顔だが道案内宜しくと答えていた。


人間に変身している狼改め、ランスは芽衣達を今夜泊まる予定の宿まで案内する。ブラストは名前だけ名乗って、王子と黙っている。芽衣が王子様と言うのでばれているのだが、ランスは知らないふりをしてくれている。それでもブラストはばれると思い、王子に似てるらしく芽衣が勝手に呼んでるだけだと苦しい言い訳をしていた。更に、隠してもしょうがないと芽衣は異世界の人間だと、話した。ランスは変わった匂いは異世界の匂いだったんだと納得した。


「ランスさん、もう少し楽な道は無いのでしょうか」

「この道が一番近道だ。早くしないと、飢えに飢えた獣がやって来るぞ」


険しい道を進み、荒れてしまった国に飢えた獣が住み始めたと話すランス。


「まさか、いくら荒れても獣なんて」


ブラストは王子と隠してるようだが、狼のランスは全て知っている。だから、ブラストの発言に少々苛立ってしまい、ブラストに向けて発言をする。


「この国の末王子のせいでこうなった。お気楽な王子様だよな」

「ランスさん」

「悪い・・・芽衣達に言っても春が来るわけないよな」


それからは三人いや、二人と一匹は黙って目的の宿まで歩き続けた。流石にブラストも反省をしたのか、大人しい事に芽衣は気持ち悪いななんて、ブラストに対して失礼な事を思っていた。


「此処が探してた宿だ」

「芽衣、想像していたより綺麗だね」

「私は何も思っていないので一緒にしないで下さい」


ブラストが庶民の宿は、馬小屋だと言っていたのを思い出し芽衣も一緒に考えてるなんて思われたくない。ランスが勝手に中に入り、さっさと入れと急かされた。


「ランスさん、宿に泊まるのに流石に勝手に部屋に荷物置いては」

「いいんだよ」

「どうして?宿主でも無いのなら、怒られてしまうよ」


ブラストの余所行きの態度にランスは『俺が宿主だ』と、何食わぬ顔で芽衣達の荷物を部屋に置いて、下に降りて来いと指示される。冷えた体は暖炉で一気に温かくなり、逆に暑いぐらいになった。


「食事は直ぐ作るから各自、部屋にいても此処にいても自由にしてくれ」

「ランスさんが作るのですか」


狼が人間のご飯など作れるのかと思ったら、ブラストには聞こえない声で何年も人間の食事作ってるから安心しろと笑う。ブラストはさっさと部屋に籠り、芽衣も暖炉のお陰で暑くなった為、部屋に戻り着替える事にした。今夜は外に出掛けないはずだと。


「メイ、ご飯が出来たから出て来い」

「はい」


ランスに声を掛けられ何もすることが無かった芽衣は、うとうと寝ていたのを慌てて起き上がり、部屋から出る。背中を向けているランスの後を追い、先に食事をしていたブラストが此方に顔を向けた瞬間。持っていたスプーンを落としてしまい、それを芽衣が拾ってあげる。


「もう、王子様行儀悪いですよ」

「お、お前・・・」

「何ですか?」

「なんて恰好してるんだよ」


ブラストが小さな声で顔を下に向けて、ぼそぼそ話すので聞こえないと耳を近付ける。すると、わーっと大声を出して芽衣から離れ、距離を取る。


「王子様、何を慌てて・・・」

「メイこれには俺も、あいつと同意見だ」

「だから何がですか?」


二人の言ってる意味がわからない芽衣に、ランスが服を見ろと言われる。自分の着ている服を見ても何も可笑しなところはないと、ランスに何が変なのか聞いた。


「メイ、恥を知れ」

「メイ、女性はそんな恰好してはいけないよ」


余所行きの態度に少しだけ落ち着いたのか、ブラストが目を合わせない様に芽衣の着ている服に対し注意をする。それでも芽衣がわかっていないので、ランスが近くにあった毛布を芽衣に隠す様に包ませる。


「メイお前恥じらいがないのか?」

「ランスさんも王子様も、何を言ってるのですか」


暖炉で暑いのに毛布で体を包まれ、暑苦しく感じる芽衣。包まれた毛布をはがし、着替えた時の格好になれば、ランスもブラストも溜息を同時にする。


「何ですか一体」

「メイ、君のいた世界は皆そんな恰好しているの?」

「はしたない格好する世界にいたのか?」


二人の質問に芽衣は、漸く自分の格好がこの世界ではありえないのだと気付いた。芽衣が着替えた服は、この世界に来た時の格好。タンクトップに短パンで勿論、下着では無く立派な部屋着のお洒落服だ。外に出掛ける時は恥ずかしいかもしれないが、部屋着として家の中に居る分には何も恥ずかしくない。


「部屋着なので別に問題ないです」

「そんな恰好が部屋着?寝間着の間違いなんじゃない?」

「メイそんな恰好で男の前に現れるな」


芽衣は怒られてしまい仕方なく、アンとアルに用意してもらった服に着替え直す。昔の人みたいに、肌を露出しては裸当然なのだろうかと疑問に思う芽衣。

(こんな事で注意されるなんて面倒だな)

王子様の特徴書いたけど、想像し難いのに今更気付きました。

※自己満足の小説になり気紛れ、のんびり更新を宣言します!

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