2話 バッテリー
「もう一つの理由は多分、捕手にある。野球部のエースはたしか、豪速球でストライクをとるピッチャーだったはずだ。だから当然捕手はストレートを中心にリードをする筈だ、でも光一のストレートは遅いし、俺ならホームランなんて楽勝だ。だから光一は変化球を使った方が絶対にいいに決まってる、だが、恐らく捕手はどうすればいいか分からないんだろう…それを改善するために奈津美は《光一君リードマニュアル》を作ってくれ、そんで智秋は高速で移動できる物を作ってくれ。」
「分かったわ、さっき光一が投げた球を思い出して明日までには作ってくるわ」
「俺も了解したが、何に使うんだ?」
「それは明日のお楽しみだ」
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翌日
「おいおい、なんだよお助け部、もう少しで試合に向かうバスに乗らなきゃならないんだが…」
「それは心配いらないぞ、天才発明家がいるからな。それとお前試合勝ちたいだろ?これを読め!」
俺は奈津美からマニュアルを受け取り、捕手の岩崎に渡す
「こ、これは…光一はこんな変化球が使えたのか…」
「よし、読んだな…じゃあそれを参考に俺を三振させてみろ。それまでお前達は試合会場には行かせない…いいよな?光一」
「まぁいい、お前なんて三球で十分だ。」
「ほぉ自信満々だねぇ、岩崎ぃ」
俺はバッターボックスに立ち、バットを構える。
「さあ、こいっ!」
『ビュン』
この回転はカーブかっ…くそ…曲がる…
『ブンッ』
『バシッ』
「す、すげえじゃねえか光一!!めっちゃ曲がったぞ今!」
「さあ、二球目来い!」
『ビュン!』
この回転はスライダーか…このまま行けば確実にストライクゾーンから外れる。
だが俺なら当てられるっ…
『カキーン!』
「ふぅ…今のが俺じゃ無かったら打てなかっただろうな…いや、打たなかったか…」
「お前ナニモノなんだ…?」
「え?何者って…お助け部の部長ですけど?」
「それは知ってるよっ!さあ次だ次!」
『ビュン!』
ん…?さっきより速い、
『ボフッ』
「へぇーストレートか…変化球を見たあとだと速く感じるな…」
「さあ、集中してねぇと三振とっちまうぞ?」
「あ、ちょっとまて、時間結構ヤバイんだけど…」
「え?ちょっと待て!天才発明家がすごいの作ってくれたんじゃないの?」
「智秋?間に合いそうか?」
「今出ればギリギリ間に合うぞ、大丈夫だ。」
「だってよ、良かったな、お前達ならもう大丈夫だ。さぁ、さっさとあの小型空飛ぶ円盤に乗って飛んで行け。落ちたら死ぬから気をつけてな」
「おい!待て!死ぬってなんだ?ふざけんな!」
「智秋、最終手段を使え」
「イエッサー、ポチッとな」
「この小型空飛ぶ円盤は特殊な磁力を発生させ、選択した人間をくっつける事ができるのだ。」
「ま、待ってくれ、心の準備をさせてくれぇぇぇぇぇ!!!」
彼らは空に消えて行った…
試合にはギリギリ間に合って8対2で勝ったとさ…
「よし、今回の依頼も完璧に完了したし、寝るかぁ…」
『ガラガラガラーーー…』
「すいません!依頼があるんですけどぉ…」
「休ませてくれよぉ!!こういう部活だけれども!?」