1話 お前野球もできんのぉ⁉
「えーっとなになに…?野球部のエースが怪我をして次の試合に出られないから、ベンチの光一が投げるんだけど、緊張するといい球が投げられないから緊張しないようにして欲しいだって!?そんなの無理だよな?智秋?」
「お、やるな海斗、一人で依頼の内容を読者に全て説明するとは…ナレーターになれるぞ。」
「ならねーよ‼てかなんだよ読者って!!」
「まぁ、完全に緊張しないようにするのは、難しいわね…もう投げて投げて自信を付けるのが1番だと私は思うわ」
「そうだな!光一!今からグラウンドで球投げろ、俺がバッターやるからさ!」
「キャッチャーも心配いらないぞ!テッテケテー!〜《ストライクゾーン&衝撃吸収板》〜発音は君たちの予想にお任せするよっ☆」
「さっ、準備は整った…グラウンド行くぞっ」
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俺はバッターボックスに立ち、言い放つ。
「俺は三振してやる気は無いから覚悟しとけよ、光一!」
「はいっ!本気でお願いします。」
『ビュン』
『カキーン!』
「えっ…」
「気にすんな光一!俺、一様小学校の頃強豪野球クラブの4番兼エースだったから。」
「は、はい…」
『ビュン』
『カキーン!』
『ビュン』
『カキーン!』
『ビュン』
『カキーン!』
「光一!もっとこーい!いい球投げるじゃねぇか!俺を三振させるまで帰さねぇぞぉ!」
『ビュン』
外角高めのカーブ
なんだこれっ…追いつかねぇ
『ブンッ』
『ボンッ』
「やった!海斗さんが空振ったぁ!」
「海斗が空振りするなんて…」
「ほほぅ…やるなぁ…」
「まだだぁ!まだワンストライクだぁ!カーブこぉぉぉい!!」
『シュン』
『ブンッ』
『ボンッ』
『ビュン』
『ブンッ』
『ボンッ』
「やるじゃん!光一!海斗を三振させるなんて!海斗が負けるとこ始めて見たかも」
「効果音だけの三振だったな…」
「なんか自信が付いた様な気がしますっ!試合頑張ってきます!」
「そういって光一は走って行った…俺もナレーターできるかもっ」
「お、俺はわざと三振したんだぞっ!てか智秋うっさい!」
「本当だよ!智秋さっきからうるさいっ!」
「すいません…智秋は反省した様子で謝った…」
「ねぇちょっと?と・も・あ・きぃ??」
奈津美は笑顔で智秋を睨んだ。
「なぁちょっとみんな聞いてくれ!あいつが本番で投げられない理由は他にもあるんだ、これは予測だか…」