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lemon08 帰れない

ひそひそ。こそこそ。

グサグサっ___聞こえてるからー。言いたいことあるならはっきり言いなさいよ。


あちこちから注がれる視線。

そして聞こえてくる__早川くんのカノジョ__というフレーズ。


ちがいますからぁ~ありえませんからぁ~


「おはよっ。並木!昨日はっ…むぐっ!!!」


「しーっ!!静かにっ!!」


話し出そうとする早川くんを教室から追い出し…。

こんなとこで説明されたらたまったもんじゃない。

ただでさえc組の女子や3年の先輩たちからにらまれてるというのに。


「どうしたの?」


「どうしたのって…。そのぅ…なんていうか…」


はっきり言っちゃうと傷つけちゃうしなぁ。


「昨日はありがとうって言おうとしたんだよ」


うんうん。それはあたしもです。はい。

たのしかったし。

それはそうなんだけど。


「昨日のことみんなにバレたくないとか?」


うぅ…そんなすがりつくような目で見られても…困るんですけど…

そんな目で見られたら勝ち目ないじゃない。


「ばれたくないとかじゃなくて…、早川くんもさ。ほら。ね??」



あたしテキには上手く変化球をよけたつもりだったんだけど。

するときょとんとして150㌔級のストレートが直球で飛んできた。



「オレ?オレなら全然かまわないよ。だって。オレ光環のこと、

スキだし。問題ないよ?」



あたしの耳はついにおかしくなったんでしょうか。。。

もしかして……いや……もしかしなくても……

あたし今みんなの前でコクハクされてる???


ここは廊下。当然みんなも聞いてないワケがなく…



「きゃーっ!!早川君がコクってるぅーーー!!!」

「だれにだれにっ!?!?!?」

「みて!!並木さんよ!!ほらっ!!」



全く平気な様子の当本人はスタスタと教室に戻って行ってしまった。


あっという間に広がった噂。ではなく事実。

…どうすればいいのよ…。その場に突っ立ったまま動けないあたし。

チャイムが鳴ったけどどうすることも出来ず、

教室にも戻りづらくなって中庭に出た。



☆☆☆


噴水の近くに座って少しずつ落ち着きを取り戻し始めたとき…

!!!



「サボりか。珍しい」


ひやりと冷たい手が肩に触れた。



「先生こそこんなとこで何してるんですか」


どーせ暇だからいじりに来たんでしょ。

きっと長谷川にも早川くんのコクハクのことは耳に入ってるだろう。

ついさっきのことなのに。



「授業がないから休憩だ。お前がたまたま居たから相手してやろうと思ってな」


うそだぁ。まぁたコケにしにきたんだぁ~。

てゆーかいちいち来ないでよね。迷惑なんですけど。



「ウソツケって顔してんじゃねぇ。一応俺も教師だ。

悩みの一つくらい聞いてやっても構わんが」


まず一番でっかい悩みを作ってるのはアンタでしょーがっ!!

何勝手にキスしちゃってくれてんのよっ。。しかもファーストキスまで奪ってっちゃって。。どうしてくれるんでしょうか、、、?


あぁーっ!!思い出すたびにむかつくんですけどっ!



「まぁしかし早川も大胆なコクハクだな。ま、俺なら____もう少し_____」


とこれまた変なとこで言葉をやめた。


気になるんですけどぉ~。最後までいいなさいよー。




あたしが長谷川をじっとみてると…。


「お前やっぱ俺に惚れてんだろ」



はぁー。もうため息しか出ません。

どんだけ自意識過剰なの。バカじゃないの。


フッと目を反らした__一瞬のスキに。



チュっ____////っ!!!!


触れてきた柔らかい感触。


「なっなっなっ!!!だからっ!!!んっ…」


反論しようとすると押さえ込まれた頭。

こうなるともう逃げ道はない。


思う存分楽しまれた後ゆっくりとあたしを抱きしめた。



「ねぇ///先生ってだれとでもこういうコトするの?」



悔し涙がばれないように長谷川のジャケットで涙をぬぐう。

声はかすかに震えてしまった。

だってスキな人が居るって言ってたじゃない。


「……好きな女だと。…キスするのも緊張する」


「先生、好きな女の人いるんじゃないの?」


「あぁいる。どうしようもないバカでな。

そのくせ勉強だけは生意気にできやがる」


「……じゃぁ。あたしになんてキスしないでよ」


少しの間があって長谷川が答えた。



「それなら。そいつが俺の女になるまではしないでおこう」


いやいや。カノジョになったら余計にしないで下さい…。

そんな反論とすこしづつ。あたしの脳みその中に浮かび始めたクエスチョンマーク。

それはどんどん拡散していった。


「どんな…ヒト…なの?」


聞いてはいけないと思ったけど言葉が口をついて出てくる。


「弱いくせに強がりで。泣いてるくせに涙は見せない。

そんな女だ」


何かがつながりそうでつながらない。そんな感覚があたしを中を駆け巡る。


「ふーん。いいじゃん。先生に合ってるよ。

だいたい先生と付き合うくらいなら相当根性曲がって無いと無理だよ」


やっと口からでた言葉はそんなことで。


「そろそろ放して?」

「無理だ」

「はっ!?!?んもうっ!!どいて。じゃぁねっ!!」


長谷川の腕を振り切ってあたしは逃げ出した。



でもその直後に届いたメール。


__今夜塾が終わったらそこで待ってろ___


相変わらず強引なメール。

なんで待たなきゃなんないのよ。

勝手にキスしておいて。勝手に抱きしめておいて。

あたしの頭の中はただでさえセンセのことでいっぱいだって言うのに。

こんなことされて気にならないほうがおかしい。


でも。キスされたとき、わずかに震えてた唇を思い出した。



だけど。。。悪魔で。。。生徒と教師なんだから。





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