lemon07 モテキ到来
ただいま保健室のベッドで療養中のあたし。
どうやら体育の時間に貧血を起こしたみたいで。
誰かが保健室まで運んでくれたらしい。
薄目を開けると白くぼんやりとした天井が目に入った。
あと保健室特有の消毒液のにおいが鼻をつく。
「大丈夫?起きた?」
…どっかで聞いたことのある声が傍で響いた。
「ん…。あぁ。早川くんか…どうしたの?」
ホントに疑問に思って聞いたのに。
笑われてしまった。
「どうしたのって。倒れたのは並木だよ。いきなり倒れるからびっくりしたし」
「あっ。もしかして。運んでくれたの早川くんなの?」
「アハハ…。ホントに覚えて無いんだ」
うそ…。こんなことなら昨日の晩御飯食べなきゃよかった!!
どうしよ…重かったら…。
「ごめん!!重かったでしょ!?ホントにごめんね!?」
「全然。なんか。軽すぎてヒトを抱えてるようにも思わなかったし」
そんなハズないって。あたし、背は低いけど意外と重たいんだから。
「だいじょーぶだって。自分の体支えられるくらいの筋力は持ってるよ」
そういって笑ってくれたのであたしも少しだけ安心できた。
でも。最近なんか早川くんに迷惑ばっかかけちゃってるよね、あたし。
そろそろ何かお礼でもしなくちゃなぁ。
「今度、マックおごるよ。最近、いろいろお世話になったし」
「別に気ぃ使うことないって」
「いや。だけど何かわるいし。お礼させてよ」
あたしが気が済まないってゆうか。スッキリしないし。
汗をぬぐって考えた早川くん。
でもカレはとんでも無いことをいいだした。
「じゃぁさ。オレとデートして」
一瞬情報を読み込むのに停止したあたしの脳みそ。
しばらくして反応した。デートというフレーズに___
えぇぇっぇっ!?!?!?でーとぉっっ!?!?!?
何をサラッとそんなことを…。朝御飯のメニューを発表するみたいに。
だいたいそんなことしたらc組の女子全員からにらまれるじゃない。
「いやぁ…それはちょっと。。。だってホラ。早川くんモテるからさ。
ホントに勘違いされちゃうかもしんないし」
あっさり断りをいれたんだけど。
さらに放たれた言葉は早川くんの口から出たものとは到底思えないモノで。。。
「じゃあココでキスするけどイイ?」
ダメに決まってるでしょ!!長谷川みたいなこと言わないでよねっ。
第一早川くん、こんなキャラだったの?
掃除手伝ってくれた時より凶暴になってません???
「わかったわかった。いつ?」
「今日の放課後」
これまた強引な。でもキラッキラした笑顔で言われるとなんだか断りづらくて…
結局OKしてしまった。
ホントにあたしって押しに弱いよね。つくづく自分が情けない。
「じゃあ。放課後ね」
「やった!」
こんなにカッコイイ子とデートできるなんて嬉しいはずなのに。
素直に喜んでる早川くんにあたしは少し罪悪感を覚えた。