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lemon05 キケンな二人

あたしが乗ってるのはガッコのセンセの車で、

となりにはダイっキライな理科教師が片手でハンドルを握ってる。


そういえば。白衣を着ていない長谷川を見るのは初めてかもしれない。

長谷川のファンクラブに入ってる子からしたら

さぞ貴重な一枚なんだろうね。


「何ジロジロ見てやがる。黙ってないで何か喋れ」


口のワルサだけならまだしも、オデコにしっぺ的な物までとんでくるんだから。

どうしようもない。


「センセってほんと、口といい性格といい、曲がりすぎだよね」


キュウカーブを100回は曲がってそうだ。いっその事直線に戻ってしまえばいいのに。


「お前と違って単純じゃないからな」


「ほら。そういうとこっ!直したほうがいいよぉ~そしたら女の子も寄ってくるのに」

もうちょっと優しくすればいいのに。ま、別にしてくれって頼んでるわけじゃないけどさ。


「女は事足りてる。今のままでも何もしていなくとも寄って来る」


あっそーですか。

軽く自慢を加えられ、それをサラっと言ってのけるのがまたまたいらっとさせられる。


「事足りてるってことは、カノジョいるんだ?」


長谷川のカノジョかぁ。よくわからないけど、なぜか外人の女性を思い浮かべてしまう。

まぁ長谷川じたいが日本人離れした顔だから仕方ないか。


「いない。が、好きな女がいる」


___意外だった。寄って来る子をとっかえひっかえして遊んでそうな雰囲気なのに。そんな雰囲気をかもし出してるの、もったいないじゃん。


フフッ。でもなんだか、片思いって言葉が長谷川に似合わなさ過ぎて

つい笑ってしまった。


「何だ」


「なんか。センセなら簡単に人のカノジョとか奪いそうだし。それにさ……」


ちょっと羨ましかったんだ。

簡単にそんなことが出来てしまうのが。

結婚相手まで決められているあたし。自分の決めた相手を

連れてこなきゃ、多分政略結婚だろうね。


「それに?何だよ」


「別に、なんでもないですぅ~。ちょっといいなぁ~って思っただけだし。てゆうかさ。あたしの家分かるの?」


これ、知らなかったらある意味誘拐に近いんだからね。

でも通っている道路はいつも森田が送り迎えしてくれるときの道と同じだった。


あたしがオトコのヒトが運転する姿をみるのは、森田以外で初めてだと思う。


なんか。。。学校で見るセンセとまた違うかも。先生だけど先生じゃないってゆーか。なんて言い表せばいいんだろう。

赤信号で車が止まった。

赤い光が長谷川の顔を照らす。



凛とした目、スッと鼻筋の通った鼻、キレイな半月形の唇。

それをより引き立たせているナチュラルブラウンの髪と瞳。


もうそれだけで充分カッコイイとは思う。普通の、長谷川の根性のワルサをしらない女子なら一発で惚れてるんだろう。

あたしは違うけど。ってココロの中で否定したのに。


ドキッ___なんてらしくもなくあたしの心臓が跳ね上がったのは

不意にミラー越しに長谷川と目が合ってしまったから。


「お前。俺に惚れてるだろ」


…は…?…はぃぃぃっ!?!?!?

何その自意識過剰発言!!しかも得意満面なその顔!!

ドキッなんてしたあたしが馬鹿でした!


「なにわけわかんないこと言ってんですか!?センセだよ!?学校の教師だよ!?

しかも長谷川に!?ありえないですから!!」


いっきにまくしたてたあたしは見慣れた景色に車を降りる用意をした。何かしてないと頭が変になりそうだったから。


「てゆーか。センセ好きなヒトいるんでしょ。あんまり遊んでるとフラれちゃうよー」


「余計なお世話だ。ガキに心配されるほど経験薄じゃねぇ」


はいはいどーせあたしはキスもまだの経験薄のガキですよー。

ほっといてよね。

あたしはどーせ結婚相手も自分で決められない女なんだから。

だから経験なんて必要ないの。あたしには。



車が再び止まってシートベルトを外して降りようとした。


「送っていただいてありがとうございましたぁー。じゃぁ……」

制かばんを肩にかけ、ドアに手をかけた。


その時___



「光環」



車を降りようとして思わず固まったカラダ。

つかまれた手首が燃えるように熱くなるのが自分でも解かった。


……今……名前で呼ばれた……?長谷川に……?

どうして……?

何が起きてるのかイマイチよく分からない。理解できない。


驚きすぎて何も出来ないあたしに覆い被さるように近づいてくる。

それはオトナのオトコをいやでも意識させる。

な、なに……???どうしたの…??


「…セ…セン…セ…?」


ヒヤリと冷たい手が頬に触れた。

と同時に目の前を掠めた風。


フワリと触れた唇はすぐに離れていった。



時間差で気づく。それが…キスだということに。

____……ウソ…あたし長谷川に……キスされたの?


「…おやすみ」

至近距離で囁かれたその言葉に。


「……バカッ!!だいっきらいっっ!!」


なんでっ……なんでよっ…。

あたしは目の前の体を押しのけて一目散に庭を走った。


「長谷川のバァーカッ!!!!!!」


あたしはあなたの遊び相手じゃないっ!!







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