lemon16オオカミとこひつじ
し、失礼しまぁす。。。人の部屋だし、と遠慮がちに足を踏み入れるとはるかに想像をこえた豪邸の個室が目にとびこんできた。
あたしの部屋なんかまるで比べ物にならない。
ゆったりとした黒い革のソファがどーんと構えている。
この部屋に何人の女性が連れ込まれたのだろうか。
ふとそう考えると自分もそのうちのひとりだと思えて情けなくなった。
「安心しろ。女を連れ込んだのはお前が始めてだ」
心の中を見透かすようにそういう。
何で分かるんでしょうか。
てか、それ妬いてますって言ってるのと同じになっちゃうじゃない。
「別にそんなこと聞いてないし」
と、また意地をはってしまうあたし。
「先にフロ入るが。お前どうする?」
「はっ入る分けないでしょっ!!!何かんがえてんの!!」
なんで混合入浴なんかしなきゃなんないのよ。キッっとにらむと面白そうにあたしを見下ろす顔がにやけた。
「だれが一緒に入るつった。先に入るか後に入るか。選択肢を差し上げたつもりだったが。」
「え?……だって、そう聞こえたんだもん!!!」
「そんなに抱いてほしいか。なら意向に沿わないワケにはいかないな」
「そんなこと言ってない!!先!先入るから!」
んもぅっ!!どんな耳してんのよ。
「絶対入ってこないでねっ!」
そういい残してバスルームに入った。で、でもでも。。。なにこの広さ!!一人で入るだけなのにこんなにスペースいる!?ってゆうくらい広い。
しかも豪華。ここは石油王の家か。
中からはみえるけど外からは見えないガラスが一面に張られていて、夜景がものすごくキレイだ。何人も入れそうな湯船の奥にはサウナがある。
うちもサウナほしかったなー。。
てか。さっさと洗って出ないと。センセが入ってきたら大変だ!
ホントはもっとゆっくりムードを味わいたかったんだけど、外にものすんごく飢えてそうなオオカミが待ち伏せしてるから。あたしは湯船にも浸からずに出た。
それはいいけど。あたし。。着るものない。。
と、とりあえず。タオルをぐるぐる巻きにしてリビングにでた。
でも。誰もいないし、テレビもついてない。
長谷川はどこにいったのだろう。ふと。そう思ったとき。
「きゃっ!!!!ってセンセ!?!?!?ちょっおろしてっ」
ただいまお姫様抱っこされてます、あたし。でも何でセンセの髪濡れてるんだろ。
しかもそのせいもあって、あたしを見つめる目がより甘くみえる。
「センセ。なんで??お風呂…」
「あいにくシャワールームなんぞいくらでもある」
あ。そうか。ここは城ですもんねー忘れてました。
「ってか!早くおろしてよ!」
真っ暗な部屋を宙ぶらりんで移動する恐怖感わかります?
すると。。。
ドスン! いいいっっったぁ~っいっっ!!!
「なにすんのよ!」
「おろせっつったのダレだよ」
「今のおろしたんじゃなくて、落としたんでしょっ!」
「どっちでも結果は一緒だ」
痛みの度合いがっ。ちがうんですっ!なんか扱いザツくない?
てゆうか。この状況って。。。
「や…センセ…ちょっと待って…」
さっき大変な目にあったばっかりなのに、今からこんなことって…
「待てない」
そう動いた唇はパックリとあたしの唇を覆った。
多分、これがキスの甘さ、、なんだと思う。あたし、何で長谷川にこんなこと許してるんだろう。大キライなのに。
「消毒だ」
耳元で熱い吐息が耳にかかる。細い華奢な腕は生き物のように背中を、ウェストをなであげる。
「何された。言えよ」
耳にねじ込まれた舌が熱い。あたしの弱いトコばかりついてくる。
まだそんなに許してないキスで、ここまでピンポイントに抑えられるなんて。
「き…キス…された…」
正直に白状すると不機嫌な彼の顔が見下ろしていた。
月の明かりが彼の頬を照らす。最初の夜もそうだった。センセにはいつも月がついてる。
「ふっ……んんっ//////」
感じた事のない痺れがあたしの五感をくるわせる。
「いい声で啼くじゃねぇか」
そーゅうこといわないでよっ。こっちだってどうしていいかわからないんだから。
___ちゅっ
わざとリップ音を響かせたそのキスは何を意味するのだろう。
「……勝手にほかのオトコに触らせてんじゃねぇよ」
そんなこと言われても。あたしが悪いわけじゃないでしょ。
って反論の一つくらいもしたかったのに。
一気に深いとこまで迫られたキスにどうすることも出来ないあたし。
チクッと鋭い痛みが走った。
「俺のモノだから」
妖艶に口角をあげると彼はふわっと優しく抱きしめた。