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8話 「魔物」

誤字などがありましたらお知らせください。

 あれから二か月が過ぎて、私はこの世界に慣れてきた。__だがしかし


「この状況がいまいち私には理解できんよ……」


 なぜか木に縄で縛りつけられていた。この状況には慣れないのだよ。まずは整理しよう。

 

 遡ること今日の昼。ナインが「あ、そうそう。君がどうしてこの世界に来たのか知りたいから落ちてきた森に行こうか」と言ったので別段その時は断る理由がなかったので了承して、森の中に入ったらナインにいきなり手刀入れられて気絶した。


 気が付いたらこうなっていた。

 


 __意味が分からん。

 

 いや、待て。確か……気が付いたら目の前にナインが居たんだった。そして「ちょっとここにいて下さいね。大丈夫。すぐ戻って来ますから。あ、それとここ、魔物がよく出るんだよね。それじゃ」 

 ____なるほど。ナイン、あとで半殺しにしよう。

 

 それよりもここからどうやって出るかだな。忘れてた。縄をほどかないと。袖口に隠していたナイフを手にすべり込ませて、縄を切る。はァ~あっちでは絶対にやらないよなァ~こんなこと。

 

 

 さて、どうやって帰るか、だな。


 木は高くて密接して生えているから、どこが町か、だなんて見えないし最初落ちた時魔法で屋敷に直接行ったから、道順なんて分からないし。ここに来た時にすぐ気絶させられたから道順なんて以下略。

「おお。これは帰れないぞ」


「グルルルッ」


「そうなんだよ、困っているんだよ」


「グルルルッ!」


「そうそう。本当に困っているんだよ。魔物が現れてッ!!」



 そして全力ダッシュ!!


「グルギャァァァァアアア!!!」


「うわ、怖」

 本当は見ずに走ることに専念しなければいけない訳だけど、ちらりと後ろを見る。



 見えたのは、鋭い爪に赤く裂けた口からよだれが……キモ。あの口の中で食われるのは嫌だな。全力で逃げよう。いやはや、助かった。体力づくりをしていて。


 だけれども、仲間を呼ばれたのはちとヤバいかな。あの咆哮で来たのか。面倒な。そろそろ倒さないと。


 木に回り込んで腰のナイフを取り出すと、反対側に出て目の前に迫っていた魔物の眼にナイフを刺す。魔物の甲高い叫び声とナイフを引き抜いた際に飛び散った血が私に降りかかる。にしても、血は普通鉄さびのような臭いがして、それもそれで嫌だけれど


「くさ」

 

 これはもっとひどいな。悶えている魔物の開いた口にナイフを突き刺す。見た目的にも王道的にも皮膚は固いだろうから、そのまま刺すと刃がやられるからね。ブスッと音がして血が口から垂れている。


 

 でも、死んでいない。これはあれだ。ヤバくないか?


 目を刺され、喉を刺された魔物はがむしゃらに爪を振り下ろす。避けるたびに土が抉られ、木が裂かれる。木の破片が腕を掠り、血が流れた。魔物が囲むように群がり、抉られた地面で戦いにくくなった。


 あーとこれはアレか。絶対絶命のピンチというやつか。

 さて、隙を見て逃げられるか……?新しくナイフを取り出して構える。


 ___いや。やっぱ無理だろ。おい、皆見てみろよ。こんなにたくさんデカブツ相手に一人で戦えって。むりだよねー。


 そう思ったことが伝わったかのように一斉に襲い掛かってきた。あ、死ぬ。

 


 そう思った時、私の脳内にしょぼい走馬灯が見えた!

 



 ではなくて、ま実際しょぼい人生だったけれどもだ、今はそれではなくて魔物が一斉に倒れた。

 おお、地鳴りが。魔物の重さで。

 血がどくどくと流れてくぼんだ地面に溜まっていく。嫌な光景。

 魔物が倒れた向こう側にシーラが立っていた。抜き身の剣が血で濡れている。

 近づいて行くと、シーラはにこりと作り笑い(・・・・)で笑いかけてきた。

「大丈夫?」


「あー大丈夫大丈夫。にしてもなんでここに?」


「何となくね」


「ふーん」


「__帰ろうか」


「了解」

 シーラが歩き出してその半歩後ろを私が歩いていく。

 にしても、足は良く見えないと分からない程度だがふらついているし、汗もだらだら頬も高揚してこれは、この様子はまるで……

「変態みたいだ」


「はい?」



 =======


「ちッ!くたばらなかったか」


「あのねぇ~レイが敵うわけないでしょう」

 椅子に縛り付けられてしまった私。別にこんなプレイが好きなわけではないのだよ。

 

 ただ、ちっと復讐をしようと思ったわけで。


 睨む先にナインがいる。壁には損ねたナイフが刺さっていた。

「はぁ~毒を盛ったり、こうやって殺そうとしたり大変だね」


「毒はしびれるぐらいだから、飲めばよかったのに」


「その理屈はおかしい」


「だいたいナインが今回の件を仕込んでなかったら、こんなことしないよ」


「おや。陰謀論?」


「事実を言ったまでだよ」


「話は変わるけれど、”力”が レイを助けに行ったって言うのは本当かな?」


「嘘言ってどうする」


「なるほど、なるほどね」

 そう呟いてニタニタ笑って不気味だな。

「あとどう?実戦は」


「は?」


「殺すまでは至っていないらしいけれど刺したんでしょう。魔物」


「おう」


「どんな気分?」


「いや。殺さなければいけない状況にあったから刺した。それだけだろ」

 何を言っているのかね。この腹黒さんは。


「おや、そう」


「変なだな今日のナイン」


「そうかな。床にバナナの皮を置く君ほどではないよ」

 ばれたか。はぁ。一番見たかったものが見れなかった。


「何しようとしたの」


「ただ、べたなボケのバナナの皮に無様に引っ掛かってスっ転んでそれを多くの人に見られてベタすぎるから皆に冷ややかに見られてけれども、同情されてなんか静かな空間が生まれてそして……」


「もういいよ」


「そうかい」


「はぁ、たいへんだね」


「まぁね」

今回はいきなり変わって殺伐としています。


そんな感じですがよろしくお願いします。

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