6話 「講義その2」
誤字などがありましたらお知らせください。
「次、称号持ちについて」
「今何時ヨー」
「十の刻」
「寝たい」
「ダメ」
「ちッ」
十の刻というのは、元の世界で言う十時。一刻が一時間、半刻が三十分。昔の日本の時間と似ているけれど、微妙に違うんだよね。
でも、こっちの方が覚えやすいけかな~。さっき教えてもらったよ。便利、便利。
__けれどもだ。
「睡眠不足はお肌の敵」
「何、そんなこと気にしていたの?」
「最近妙に毒舌ではない?」
「気のせい」
はぁ~……。もういいや。諦めた。教えてもらっていれば、頭使うという事でお菓子貰うからね。
そこぐらいだよ、いいことは。平和ボケの私には、きつ「これが終わったら休んで良いから」
………………。
「よっしゃぁぁぁぁああああッ!ばっちこいやぁぁああッ!!勉強がなんぼのもんじゃぁあああああッ!!!」
「はい。そのいき、そのいき」
私は鼻息を荒くしていたのを収めて、立ち上がったのを座る。
ナインはそんな様子を見ても、紅茶を優雅に飲んで冷静だった。やりおるのぉう~。
ナインは紅茶をおいて、ふっと短く息を吐いた。
「称号持ちというのは、この世界で魔法が使え、なおかつほかの人々とは何かしら違う能力を持っている人々のことを指します」
「この世界では魔法が一般的ではないという事?」
「そうです。別に称号持ちでなくとも魔法が使えることはできるようになりますよ。修行すれば。五十年くらい」
「__人生の半分は損しているな」
「ですから、ほぼ誰も修行なんてしません」
……あー、ほぼってことは誰かしてるんだー。すげ。きっと聖職者とかそういう感じの人たちだろうけれど、その気持ち全くわからん。人生かけて得るものかね?
「じゃ、ほかの人とは違う能力って?」
「”力”の能力を例に上げますと、剣がすごく強いです。あとは、先代たちを出すと知恵とか」
「え。あのなんか抜けてそうな人ってけっこうすごい?」
「あなたに言われると”力”もかわいそうですね」
「どういう意味ですか」
「そういう意味です」
ふっ。私は頭が悪いからね。何が言いたいか全く理解できんよ。
「額に青筋たっていますが。大丈夫ですか」
「えぇ」
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「ナインは?」
「”隠者”ですか。知恵ですかね」
「さっきと被っているんですが」
「あ、それは知恵の種類が違いますから」
「種類?」
初めて聞いたよ。種類とかあるのね、知恵に。
「”力”の知恵は、その場の状況に臨機応変に対応するもの。私の知恵は経験則からのものです」
「経験則……?」
「はい。過去の歴史や自身で体験したことを、記憶として残し今起きている状況を過去と照らし合わせて、未来を考えていくことです」
「ナインの方が壮大だね。でも、過去ってどのくらい?」
「痛いとこつきますね。そこは秘密です」
「あら。残念」
「あと称号持ちは全員で二十一いますが、同じ時代に全員が揃うことは珍しいことですよ」
「へぇ~」
やっぱり、話す内容からすると世代ごとの交代かぁー。
「どうやって選ぶの?」
「神が選びますよ。その場合は本人に直接、神が語り開けるというか。なんというか称号持ちだなーと自分でわかるですよ」
何とも抽象的な。
「それだけ?印とかつかないの?」
「私が知る限りは」
「それは__偽物とか出るくない?」
「出ます。その時は魔法を使えるか使えないかで判断します」
「ま、それが一番楽だよね」
「__以上です。ほかの詳しいことは、本で。話すだけでは頭に入りませんしね」
はぁ~。やっと終わった。
背もたれに身体を預ける。別に身体は使っていないけれど、疲れた。このまま寝てしまい__た、い__……。
「終わったぞぉおおおッ!寝るぞぉおおおおおおッ!!!」
「元気ですねぇ~」
そんな言葉を背中で聞いて、自分の部屋に一直線。
そして、ベットに飛び込む《フライアウェイ》。
ふかふかベット。意識が遠のいていくぜ。
あー気持ちィー
「レイー勉強しているんだって?僕からもいろいろと教えようか?」
「貴様わぁああ、せっかく忘れようとしているものもてくるんじゃねぇえええッ!!」
「え!?何!?止めて!花瓶なんて投げないで!ギブ!ギブ!入っている、入っている、首入っている!だれか助けてぇー。ぎゃああああああああー」
それを聞いていたナインとはいうと……
「元気ですね、二人とも」
読書をしていた。すごいな。
ここでタロットが基本になっていることが出てきていますが、レイは気が付いていませんね。
詳しいタロットのことについては、ググってください。
私だったら逃げ出していますよ。ちなみに、朝日の時間5時と仮定してください。