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5話 「講義その1」

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「おはよう」



「くそう……!なんてことしやがる……ッ!」

 

 朝日がようやく地平線から、見えてきたころに私は起こされた。

 

 あの後はすごくおいしい夕食を食べて、風呂入って寝た。ぐっすり寝ていたところに、ナインから強制的に起こされた。朝日がようやく地平線がから見えてきたころに!!つまり早朝!!!


「ナイン。睡眠がどれだけ大切か知っているか?」


「そりゃもう」


「私には今それが必要なんだよ……ッ!!」


「そりゃもう。あなたの姿を見れば」

 

 ぼさぼさの髪にゾンビみたいな顔。女の子としてどうかと思う自分の顔が、ナインの後ろの鏡に映っていた。


「じゃぁ寝かせろ!」


「勉強ですよ。今日から」


「なぜに早朝なんだ!」


「私がこの時間に起きているからです」


「関係ないだろ!」


「ありますよ。あちらがどうだか知りませんが、こちらでは働く人は大概早朝に起きますよ」


「ぐぬぬぬ」

 

 歯ぎしりをする。「歯いためますよ」「__やめる」

 

 正論だ。まったくもって正論だ。あっちではぐーたらしすぎたんだよ。私は。これは改めなければ。

 


 __だがしかし!


「寝たい!」


「びっくりすほどの願望ですね」


「人間の三大欲求の一つだぞ」


「知りません。メイドさんよろしく」



「「心得ました」」



「いつの間に!?」


「「失礼します」」


「わぁー!やーめーろ」


   


  閑話休題



「そんなすごい形相で睨まれても」


「末代まで恨んでやる」


「結婚する気はないですね」


「未来のお前を恨んでやる」


呪詛じゅそがえしに合わぬよう気を付けてください」

 

 場所はナインの部屋。ここは客室のはずなのに、いつのまにか大量の本と紙の束がある。来たのは昨日だぞ。

 

 ナインも私も昨日と同じ服装をしている。違うところと言えば、顔カナ。特に私の顔が違うと思う。


「では勉強しましょうか」


「めんどくさいな~」


「テストをしますので。決めた点数以下だったら罰ゲームです」



「な……ん、だと……!?」


 入れられたハーブティーを飲んで、すっきりし始めた私の耳に驚きの単語が。

 

 え?テスト?そんなわけないだろ?だって異世界に来たんだからそんなものがあるはずない……ッ!


「神はなんて残酷か!」


「ではまずこの世界の話から」


「スルーした?!」

 こいつできる……ッ!とふざけている間に、ナインは喋り始めた。


「この世界には大きく二つの国があります。まずこの国、エールシア王国。農業が盛んな基本的平和な国です。次にアラカルト州国しゅうこく。アラカルト国を中心としたさまざまな国が連盟を組んでいる感じです。とはいえ、国々で成り立っているわけですから、戦争は多くはありませんが少なくもないです。あちらは鉱石が豊富です。エールシア王国は東半分をアラカルト州国は西半分を領地としております。半分で山脈と森が分けるようにありますから、そのせいですね。__以上、覚えましたか?」




「ボイスレコーダーが欲しい」

 

 そんな一気に喋らないで。

 

 ナインはふむと漏らして、紅茶を飲む。年寄りか、お前は。


「何のことかは分かりませんが、言いたいことは分かります。ですが、これでもかなり削った方ですよ」


「マジでか」


「あとで書物を渡しますのでそれで確認を」


「はぁ~……」


「では次に」

 

 わざとらしく大きくため息をついたけれど、ナインの講義が終わる様子はなかった。残念。


 ナインが咳払いをして、話し始める。


「ごほん。ではエールシア王国について。エールシア王国は、王族がこの国の象徴として存在し、臣下が政治を進めていくようになっています。とはいえ、国の大事の時には最終的な武力と権力は国王が持っています。現王では学力に重みを置いているようですよ。ちなみに長男が一名おります。治世は、日々安定の方向に向かっています。魔物が多く、人害よりそちらの方がひどいかと。あと創造神を信仰しております。その創造神が、称号持ちを決めているのですが……寝ないでください」


「ほぼどうでもいい情報まで混ざっているよ」

 

 何よ。王様に長男がいるって。知らんがな。もう疲れたよ。パト●ッシュ。


「通常ではいりませんね。ほぼ。教えなくても知ることになるでしょうし。しかし……」


「ほら。いらない」


「__しかし必要かもしれない、という要素がレイにはあって」


「言わないだろうけど聞こう。要素って何」


「言わなくてもわかるでしょうが言います。教えません」


「そう」


「そうです」


 ”要素・・”ねぇ~。あるとしたら異世界ぐらいか。けれどもそれは、関係ないだろうし。なんだろうな。


 入れなおされた紅茶を飲みながら、考え込んだ。沈黙が下りる。

「さて、では続きをしましょうか」


「くそ!騙せられなかったか!」


「あんなので話をそらそうとしても無駄ですよ」


「んにゃろう~!」


「続きですが__」





「もうヤダ寝たいよーーー!!!!」


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