4話 「市場」
誤字などがありましたらお知らせください。
イン領主さんの領地の市場。
アンド服装チェンジのミー。
動きやすくされたスカートにブーツ。スカートは制服以外着たことないし、ブーツなんて初めてだね。でも……
「勇者一行の従者みたいな服装だよな~」
「いや。似合っているよ」
「口説こうとしても無駄だぞ」
「口説こうとする理由が見当たらないね」
「お前、なかなかに嫌な奴だな」
「今気が付いたの?」
「今気が付いた」
シーラの野郎、やりおりわ。我が発言にさらりと返しおって!リアクションしろ。リアクションを。
リアクションと言えば目の前の人たちがいい例だね。
屋台にたくさんの人にそして笑い声。日常を楽しんでいる感じがするなぁ……。
「賑やかそうでいいところだね」
「の割には顔色良くないよ?大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫。ちょっと人にあてられただけ」
あんまり人が多いところに行ったことは無いからね。少ししたら治ると思うけど。
噴水のふちに私は座る。やれやれどっこいしょ。
ちなみにここは広場の中央で、私の目の前に市が広がっているという風だね。
うーん。新鮮な光景。あっちでは見慣れない光景だ。
と、私の横にシーラが座る。
「気分がよくなるまでいろいろと教えようか」
「頼んだ」
シーラが左手を出す。その手をさっと振ると金、銀、銅のコインが出てきた。手品だね。
「これがこの世界の通貨」
「了解」
「金が一番高価な奴で次に銀、最後に銅。大概の人たちは銅だけしか持ったことは無い」
「で、貴族とかの偉い人たちが金。商人とかの人たちがその三種類全部を使っている、て感じ?」
「そうそう。よく分かったね」
「そりゃまァ」
漫画とかで知ってますもん。
「銅から銀は100枚、銀から金は50枚で変えることができるよ」
「大きい数だな」
「銅が一番鉱石として安いからね。あんまり高価な金とか使わせたくないんだよ」
「ふぅん」
ま、そんなものか。シーラがコインをなおして、銅のコインを5枚出して屋台の一つを指差す。
「あの屋台の飲み物。すっきりとした味わいだから気分がよくなるかもよ」
「優しいね」
「この世界になれる練習」
「へーい」
コインをもらって屋台の所に行く。少し並んでからコインを渡して、コップをもらった。
中身の色が青い。少し不安になるな……。
眉をよせて戻っていたら、子どもにぶつかりそうになった。足を止めてぶつかるのをさける。危ない、危ない。こぼしたらもったいないし。
戻って座り、試しに一口飲んでみる。
あらいやだ。ほんと、さわやかな口当たり。まるで味の宝石箱やー。__古いか。
飲んでいたらシーラが手を伸ばしてきた。コップを渡す。体よくパシられたぜ!
「__分かっていたの?」
「スリの話?」
「あぁ」
シーラが頷いた。次は私じゃ。コップをもらって飲む。
「目がぎらついていたし、こんなところで金貨を出す阿呆もいたし」
「やっぱり不自然だった?」
「不自然だった」
コップを渡す。
「一般庶民は銅貨だけで生きていく。そんなところに金貨とか出してみろ。貧乏人のいいカモだよ」
「君は平和な暮らしをしている方だと思ったよ。君のもとの世界では」
「平和な国だったよ。法治国家だったし。私は素行は悪かったけれど、悪人たちとは関わり合いが無かったしスリもしていなかった。そんなことしなくても生きていけたからね」
「にしては、こんな世の中に慣れている気がするけれど」
「さァ~なんでだろう」
「……。言いたくなければいいけれど」
「別にそういうわけではないけれども……。まいいか」
最後の一口をシーラに持って行かれた。あー残念。
眉を寄せて空気で怒りを表す。
シーラがこちらを向いて言ったのは
「異世界に来たこと不安に思っている?」
だった。
空気を読まずこの発言。さすがだぜ。
「じゃぁ逆に聞くけれど、シーラが異世界に行ったら不安にならないの?」
「なるな。絶対」
「そういうこと。とはいっても、非日常なんてすぐ慣れるけど」
非日常というのは、いつも自分が置いている日常とは違う日常の事だからね。
同じ日常なんだから数日たてば慣れちゃうよ。
「そうだね。ま、出来る限りお手伝いするよ」
「頼んだ」
私はシーラに向かって笑いかけた。
「えっと、その手は何?」
「おかわり」
そのあと私はシーラにたかりにたかって、全部おごらせました。いい日だー。
シーラは泣いていたけれどそんなことはしらない。
だって……お手伝いするっていたしね。
そのことを満面の笑みでお伝えすると、
「はめられた」
「何を言うのですか、シーラ。この純粋な乙女心は、異世界に来て悲しみに暮れているんですよ」
「……どこが純粋な乙女心だよ」
「えい」
必殺!ひざかっくん!
「うわっ」
そうやって私の初、異世界デビューは終わった。
「いい感じにまとめようとしても無駄だから!」
「ちっ」
結構グダグダになっていますね。すみません……。<(_ _)>