3話 「師匠と弟子・先生と生徒」
誤字などがありましたらお知らせください。
温まれた紅茶を一口含む。……うん。うまい。
風がそよいで人々の声が聞こえる。木々の葉がこすれる音がして、青空に雲が流れる。ここは静かだ。いいよね。こういうの。
にしても______気まずいなー。
なんで黙り込むのお二人さん。そんな感じの話だけれども、話を振ったのは私だけれども!なんか本当ッすみませんッ!!
……どうしよう。この気まずい雰囲気をどうにかしないと。どうすれば!?何か喋ってー!!お願い、プリーズ。胃がイタす。
「こんにちは。お!本当に服が違う。異世界の人だね」
「空気よめや!」
誰やねん!空気よんで!!喋ってほしいとは思ったけれどそんなky発言は求めておらんぞー!
という気持ちを込めて突っ込んで、声の主の方を見る。バルコニーの柵の方を……を?
「なぜ、なにが、どうして、あれして、こうして、だれ」
「落ち着きなさい。レイ」
「深呼吸ですよ」
ナインと領主さんに言われて普通に深呼吸。ここでボケを期待していた、竹内君!(←だれ)そんなことを私はしません!!今は!!!
「ふぅ~。であの人は誰でこの部屋を通らずにどうやってバルコニーにいるのですか」
「あの人は公の弟さんでこの世界で称号持ちという強い人で基本何でもアリです」
「二人ともよくそんな一気に喋ることができますね」
「あれ?僕の存在何気に忘れなれていない?」
何でもアリの強い人ねぇ~。こっちに向かってくる青年は、長身で剣は持っているけれど、天然空気読めない現在おろおろしている。__見えんな。まったく。
白い目で相手を見ているとナインが
「これからレイの剣の師匠です」
「なかなかな驚き」
「え?僕が剣の師匠?」
異世界トリップの次に来そうなサプライズ発言をしてくれた。この国に普通に住むならそもそも剣の必要なくないか。
不思議に思っていると領主さんが代弁してくれた。
「その必要性を私は感じませんが。普通に過ごすのにはいらないかと」
「考えがあってね」
「何それ」
考えって何よ。何か危険なことでもさせようというのか?内容が分からないだけに、こわいな~。これでは二人も納得しないはず。
「そうですか」「じゃぁ仕方がない」
「納得している!?」
頷いているよ、二人とも。えぇー?
困っていると領主さん、またも私の考えを見抜いたかのように疑問の答えを喋ってくれた。エスパー?
「ナインも称号持ちなんですよ。会った最初に言ったでしょう。”隠者”と」
「あーあれ」
「ちなみに僕は”力”です」
「名前何?」
「ひどッ!」
「シーラですよ」
またしても領主さん。やっぱりエスパー?
「ん?」
ナインとシーラさんが領主さんをびっくりした目で見ている。はて。
領主さんは、そんなことを全く気にしていない様子で話を続ける。
「”隠者”は知恵が象徴ですかね」
「あ、だからか」
知恵が象徴なら頭がいいという事だろうし、なんでもアリの人なら「考えがある」だけで納得されるのか。便利だねぇ。
「じゃ、ナインがこの世界のこと教えてくれるわけ?」
「そうです」
「じゃぁナインは先生か」
最強の人たちからの勉強ね。わー私も最強になりそうな気がしてきた。無理だけど。
肩をすくめて甘いものに手を伸ばす。手が空を切る。空っぽの皿。
「だーれー?食べたの」
「「あなたです」」
「わぁお」
あんなにたくさん食べたのか。大食いの称号なら貰えそうな気がする。
大真面目に考えていたら、ナインが手を打った。
「甘いものが無くなったわけだし、レイ。”力”に町案内してもらえば?」
「そうだねぇ~。動かないと太るし」
「いいよ。穴場を教えてあげる」
意見が一致したところで私はイスから立ち上がり、一緒にドアに向かって「おい。なんでバルコニーから行こうとする」「間違えた」歩いた。
「行くさいは服着替えてからね」
「了解」
ナインの忠告を聞いて部屋を出た。
「どうゆうつもりだ。公」
「同じ言葉をお返しします」
「なぜ捨てた名前を教えた」
「異世界の子を何に使うおつもりで」
「……」
「……」
「まぁいい。公よ。貴様が何を考えても構わないが、私は干渉しない。しかし天は見過ごさんぞ」
「弟を何をしようと私は関知しませんが、あのレンという子は少々干渉しますよ」
「__レイはお菓子を全部食べてしまうほどに動揺していたな」
「__これには私もあなたもどうすることもできませんよ」