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屋上でサボリ

「わぁ!!すご〜い!!」


 あの後私たちは屋上に来ていた。屋上に行くと目の前に大空が広がっていてとても綺麗だった。


「そんなに驚くことなかと。いつものことじゃ。」


 雅直はそんなこと気にしてないけど。というか・・・・、


「いつも来てるの?」


「別にいつもじゃなか。」


 じゃぁ何でいつもって言ったんだ?ま、いっか。それより本当に綺麗なんだけど・・・・。前の学校はこんなに屋上綺麗じゃなかったしなぁ。毎日来よっかな。別にテストで100点とればいいことだし。うん、そうしよっと。


「黄花もこっちに来んしゃい。」


 雅直がまた手招きをしたから私は雅直のところへ行った。そこは日陰になっていてちょうど誰からも見えないところだった。私は雅直の隣に座った。


「ねぇ、雅直。」


「なんじゃ?」


「空ってさどこからどこまでが空なんだろうね。」


「どうしたんじゃ?急に。」


「いやさ、皆に聞くと空って上だって言うでしょ?でも、上だったら私たち今、上にいるんだから空にいることになっちゃうじゃん。だから空ってどこからどこまでなのかなぁって思ったわけよ。」


 私がそういうと雅直は少し考えて言った。


「・・・・空っていうのはきっと自分の中のものじゃなか?自分がここからが空だって思ったらそこからが空。一人一人違うんじゃ。だから俺が決めることは出来なか。」


「そっか・・・。じゃぁ雅直の空ってどこから?」


「俺の空は・・・・・・・・・・自分の手が届かないところじゃ。いくら伸ばしても届かないところ。俺と一緒に空もでかくなると。」


「へぇ・・。」


 雅直は笑って言った。その笑顔は闇の中に光があるみたいな感じだった。


「黄花の空はどこからなんじゃ?」


「私はね、空がないの。」


「は?」


 雅直が驚いた顔で私を見てきた。


「だから、空がないの。」


「なんでじゃ?」


「私はこれまでも、これからもきっと輝けないから。」


 雅直は訳が分からないという顔になってきた。


「私の中の空は太陽がいなくちゃいけないの。で、太陽ができたら次は雲。雲の次は風。風の次は月。月の次は星。その5つがないと空が出来ないの。でも私の中には今、何にもないから。だから空がないの。」


 きっと私今、暗い顔してるだろうなぁ・・・・・。

 雅直はなにやら考え始めた。


「じゃぁ、お前さんの太陽と雲と風と月と星ってなんじゃ?」


「私の太陽と雲と風と月と星?」


「あぁ。」


「それはね・・・・・・・太陽がいつも側で笑ってくれている人で、雲が何でも言える人で、風が嫌なことを忘れさせてくれる人で、月が暖かく見守ってくれる人で、星は一緒にいて楽しい人なんだ。後・・・・・・・空は私を受け入れてくれる人・・・だよ・・・・。」


 雅直は、

「そうか・・・。」

 とだけ言った。無理させちゃったかな・・・。


「ごめんね・・・・。」


 私は聞こえないように静かに言った。


「なんか言ったと?」


「ううん。何にも言ってないよ。・・・・なんか眠くなってきちゃった。」


「じゃぁ寝ればよかと。」


「そうだね。おやすみ。」


「あぁ・・・。」


 私は壁によしかかって寝た。そのとき雅直が悲しそうな顔をしていたのも知らずに・・・。














「ぉぃ。黄花。おい。」


「ん〜〜・・・・・。なぁに?」


 私は誰かが呼んでるのを感じゆっくり起きた。


「平気と?」


「何が?」


「泣いてるぜよ・・・・。」


「え?」


 私は急いで目をこすってみた。こすった手を見てみると濡れていた。


「な、なんでだろうね。」


 私はさっき見た夢のせいだとすぐに分かった。

 でも、雅直には言えないや・・・・・。そういえば今何時だろう?


「ねぇ、雅直。今何時?」


「今は・・・後もう少しでお弁当の時間じゃ。」


「そっか。じゃぁ、そろそろ帰ろう。」


「そうじゃな。」


 私と雅直は立ち上がって屋上を出て行った。


  


  ねぇ、今の私には太陽も雲も風も月も星もいないけどいつか出来るんだよね。

  そうでしょ、友里恵。 

  貴方が言ったことは今も覚えてるからね。







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