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そして、時は流れ修学旅行初日。朝貴達は無事パリの空港に降り立った。空は綺麗に晴れて雲ひとつない晴天。空港で解散し後は決められた班ごとで行動する。この黎暁学園はお金持ちがほとんどで、海外旅行なんてしてて当たり前だし、家の事情で何ヶ国語も話せる人もいるから、特に困ることはない。何かあっても高校生なんだし自分で解決しろというなんとも無責任な理由もあるのだ。朝貴達生徒会は、風紀委員と一か所に集められ、先生から二つ三つ話があった後にそれぞれ分かれた。
朝貴達四人は一応他の生徒が良気相な有名観光スポットを巡ることにしていた。そして夕刻近くに来た凱旋門。他の生徒の姿もまばらにだが見える。
「ふあ・・・おっきい。」
「くくっ、朝貴が前に立つとさらにでかさが際立つな!」
「青葉先輩――?それどういう意味ですかぁ?」
「朝貴はちっちゃくて可愛いってことだよ。」
「会長まで!!」
「ですが、まぁ今年はそれでも表立った問題はそれほど起きてないようですね。いまのところは。」
良介がメモを見ながらつぶやく。この人はどこまで真面目なんだろうか。そんな良介のよこにいた清桜がふーんと顎に手を当てつつ言う。
「まぁ、今年は俺らが見張ってるしね。いいよ、昼間問題起こさないならね。夜は・・・まぁ、テキトーに盛らせとけば?」
「清桜・・・貴方会長としての発言ってものがないんですか?」
「ない!俺も盛りたいお年頃なんだよ!ね、朝貴!」
「いやです!」
「あは、会長フラれたっすね!」
「朝貴―!」
「いやったらいやです!!パリジェンヌに盛るでもなんでもしてきたらいいじゃないですか!!」
「パリジェンヌより朝貴。」
「んなわけないでしょう―――――!!」
このひとはっ!このひとはあああああ!!フランスに来てもこうなのぉ!?って・・・・あれ・・・ちょっと待ってよ・・・・確かこの旅行中の部屋割り・・・・。
「榊原先輩!青葉先輩!どっちでもいいんで部屋変わってください――――!!このままじゃ・・・さかられちゃいますぅ!!」
「俺は・・・遠慮しときます。」
「俺もパース!いいじゃん、さかられちまえ!」
「酷い!先輩酷い!」
「酷いのは朝貴だよ-。」
くじ引きなんて誰が決めたんだよおおおおおおおお!!会長とおんなじ部屋なんてそんなの・・・そんなの・・・そんなの・・・・・危険な香りがするよおおおおおお!!!
「んじゃ、そろそろチェックインしないといけないし、俺らその後風紀の奴らと今日のまとめとかいう話し合いあるでしょ?」
「ですね。じゃ、ホテル行きますか。朝貴、いきますよ-?」
「いやです!行きたくない―――――――――――!!」
「駄々っ子行くぞ-!」
「駄々っ子違いますぅ!!」
波乱の修学旅行幕開けです!
あ、ちなみに先に言っておきますと、あの風紀委員長は出てきません。
龍弥の出番はまたのちにありますので。