*神様のいたずら*
一応これにて最終話となります。
最後はなんかベタな終わり方になりました。
抱きついたまま、僕は初めて誰かに向って怒鳴った。
「清ちゃんの馬鹿」
「夕貴?」
「馬鹿!馬鹿!馬鹿!!」
「夕……」
「こっち振り向かせてなんかあげない!!まだ僕、怒ってるんだからね!?五年たってもまだ許してあげてないからね!!僕に黙って行っちゃって!!連絡待ってたのになかった!!ずっとずっと待ってたのに!!今だって!!何の連絡もしないで帰ってくるなんて!!お出迎えしたかったのに!!馬鹿!清ちゃんのバーカ!!こんな清ちゃん大っきらいだもん!!」
黙ったまま、清ちゃんは僕の言葉をずっと聞いていた。僕も清ちゃんの言葉を待つようにそこで黙った。黙ったまま、清ちゃんに抱きついている。あのころと変わってない、清ちゃん。あ、でもまた少し背が伸びてる気がする。悔しいなぁ。僕4センチくらいしか伸びてないのにな。
「……ごめん……」
消えちゃいそうなくらい、小さな声で清ちゃんはようやく口を開いた。おどろくほどその声が小さくて弱弱しくて、思わずどきっとする。それほど清ちゃんは責任を感じてるんだ。
「でも、俺には何も言えない……。全部言い訳になると思うから……。嫌われても仕方がないと思う。夕貴が怒ってるのは当たり前だし。今日だって、そのまま家に帰ろうと思ってた。いつ夕貴に会いに行くか……会いに行っていいのかずっと悩んでた。夕貴の事考えて、夕貴と行ったことがあるところ回ってた。まさかあの本屋で夕貴が働いてるなんて思わなかった……」
「え……。まさか……僕を此処まで運んできてくれたのって……」
「うん……俺。ちょうど倒れた直後に行ったみたいでさ。知り合いですって答えたら……家まで送ってあげてって、なんかすごい勢いでおばさんに頼まれて。断るわけにもいかないし、夕貴熱出してたし……ほっとけるわけないから……」
なにそれ。何それ偶然?帰ってきて、本屋行ったら、そこは僕の仕事先で?ちょうど倒れたところに出くわしたって……。神様のいたずらなのかな。やばい、すっごく嬉しい。うれしいって言うか、さっきから心臓がうるさい。どうしよう、僕すごく単純だ。だってもう、怒ってたのなんかどうでもよくなっちゃった。
「っ……」
「夕……貴?」
「ずるい、清ちゃん」
「え?」
「そんなこと言われたら……怒れないよ。怒れるわけない……。許せないわけもないよ……。清ちゃん……おかえりなさい」
「夕貴……ただいま」
もういなくならないで。せめて僕に言って行って。それか僕もつれてって。もうあんなさびしいのも、悲しいのもいやだから。二度目はないよ?これが最後だからね。
「38.2……やっぱり寝てないとだめだね」
「うぅ……清ちゃん」
「ん?」
「おでこに手、当てて?清ちゃんの手ひんやりしてて気持ちよかった」
「いいよ」
やさしく笑った貴方の手は、僕の体と心をいやしてくれる。
これからはずっと一緒に居てね。大好きだよ、清ちゃん。
約一年にわたり、この話を読んでいただき、ありがとうございました!
感想、評価、お気に入りをもらう度、周りが引くぐらい喜び、反対にびくびくしてました。
多分読み返したらつじつま合わないんだと思います。読み返せません。たぶん、誤字脱字が埋もれてるはずですから。
実はこのあとにまたあとがき更新します。読んでも読まなくても良い制作秘話です。