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夕焼けに桜咲く  作者: 朝比奈 黎兎
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*忘れられない日再び*

季節は巡り

また桜が咲くあの季節がやってくる。


 また、この日が来た。これで僕が経験するのは2度目。あの日を思い出してまた泣きそうになる。だけど、泣くわけにはいかない。僕はやるべきことがあるから。

 今日、僕は黎暁学園を卒業する。

 卒業式は、お別れの日。一緒に過ごしてきた友と別れる時。僕はそんなにいい思い出はない。この日が近付くにつれて、僕の胸は苦しく締め付けられる。でも、時は止まってはくれない。戻ってもくれない。ただ前に進むだけ。僕もそれにつれて、18年生きてきた。


「ここともさよならかー」

「そうだね……」


 朝貴と二人で、生徒会室を眺める。思い出がいっぱい詰まったここも、今日で最後。そう思うと、やっぱり寂しい。

 僕は3年生になって生徒会長になった。僕はあのまま副会長を続ける気だったんだけど、朝貴の推薦と、投票により決まってしまった。正直嫌だった。だって、みんなが僕の事を会長って呼ぶから。会長は僕にとってはあの人だけで。否が応でもあの人を思い出してしまうのが苦しかった。忘れたいわけじゃないけど、悲しかった。青葉先輩も去年会長だったけど、その時僕は青葉先輩っていつも通り呼んでた。青葉先輩も事情を知ってるからそれでいいって言ってくれた。だから、去年は会長の存在を思い浮かべずに済んだ。

 それでも、夜になって布団に入ると悲しくて泣いた。桜を見て泣いて。胸元にあるリングを見て泣いた。あの人の事を思って、笑えなくなった。

 あの人に会えたその時は、笑えるかな。


「夕貴、卒業おめでとう。あと就職も」

「うん……ほんとうは、朝貴のお手伝いするのが普通だろうけど……」


 僕は、あのショッピングモールにある書店に就職が決まった。朝貴は家の仕事を手伝って、将来は継ぐらしい。ほんとは僕もお手伝いしたかったけど、本屋さんもいいなって思って求人を見つけたからお父さんに相談した。そしたらお父さんは、にっこりわらって、『夕貴の好きにしたらいいよ』って言ってくれた。無事内定が決まった時はほんとにうれしかった。

 うれしくて一番先に清ちゃんに教えたかった。けど……できないって気付いて、携帯を思わず握りしめたっけな。


「いいって。まだ俺も父さんの手伝いしながら仕事覚えてかなきゃなんないし。夕貴だったらいつでも俺の秘書になってくれていいからな!」

「うん。……みんな旅立ってった。そして今度は僕達」

「旅立っても、また巣に帰ってくるんだ!」

「あはは、巣ってここ?」

「そう!」

「そうだね、そうだといいね」


 別にここじゃなくてもいい。道端だっていい。いつかまたあなたは帰ってくる。巣だった雛が大人になって帰ってくるように。僕よりもずっとずっとあなたは大人だけど。今以上に成長してまた僕のところにきっと来る。

 その時まで、僕は貴方を想い生きてきます。



いきなり2年も経ちました。

まぁ番外編なので時間の経過は細かいこと気にしないようにしてます。

要は書きたいエピソードを書きます。

出来上がってるシナリオでまだ欠けてないところを優先的に。


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