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夕焼けに桜咲く  作者: 朝比奈 黎兎
第9章 卒業と夕焼け
60/73

*59*

卒業式ってやっぱりさびしいものですよね。

送られる側も送る側も。

それぞれの思いを胸に

卒業式まであと――――


 校内に何本もある桜の木のつぼみが膨らんできた。陽気もどこか温かさが感じられる。3月に入ったばかりのこの時期は、もうじき行われる最後の行事に向けて、準備が行われていた。それにはもちろん、僕もいつもと同じく大忙し。ううん、いつもと同じじゃない。清ちゃんや榊原先輩はもう生徒会を引退した。つい先日の事。だから今、青葉先輩が生徒会長。そして僕は副会長に任命されて、以前よりも忙しくなった。他の生徒会メンバーは書記になぜか朝貴。そして会計は澪先輩だ。でも、朝貴はいつもどこかふらふらしてるし、澪先輩は一応仕事はしてくれてるけど、半ば強制的に任命されたからふくれっ面なんだよね。来年度大丈夫かな。

 もうすぐ、この学園でも卒業式が行われる。本当は準備なんかしたくないんだ。だって清ちゃんが卒業しちゃう式の準備なんかしたくないよ。まだ、一緒の学校に通っていたかった。

 わかってたんだ。こんな楽しい時間は永遠に続かないって言うのも。


『だって……もう今までとは違っちゃうから……』


 夏祭りに行った時、静香先輩がつぶやいた言葉。静香先輩は、ずっと前からこの時のことを考えてたんだろうな。僕はいつもその時のことしか考えてなかった。だって楽しかったから。今まで味わったことのない毎日が、楽しすぎて。これに終わりがあるなんて思えなかったんだ。でも、もうすぐそれはやってくる。


「おーい、夕貴!どんどんさがってんぞー!!」

「え……うっわ!?」


 今僕は脚立で体育館の壁に、紅白の布を張り付けてたんだ。確かに斜めになってきてる。今は準備に集中しなきゃ。

 4つある体育館のうちの一つは卒業式の会場として、生徒会総出で飾り付けが行われている。おもに生徒会として動いてるのは僕ら4人だけど、他にも各クラスの委員とか、こういう行事の時に手伝いとして加わる数十人。それでもまだ人手は足りないくらいで、僕らは毎日あわただしく動く。


「うし、今日はここまででいいだろ。一応会場はこれで完成だな。あとは式の段取りの打ち合わせと、予行練習だな」

「そうですね。何とか形になってよかったです……」


 式は来週に迫ってきているから、ほんとにぎりぎりなんだよね。そう思いながら、道具を生徒会室に片付ける。

 ふと、会長の席に座って書類に目を通している青葉先輩の姿が目に入った。

 あそこにもう、清ちゃんが座ることはないんだな。それだけじゃない、もう榊原先輩が仕事をさぼってる清ちゃんや青葉先輩を叱ることもない。美味しいお菓子を差し入れてくれる静香先輩も来ない。怖いけど、龍弥先輩もいなくなるんだ。


「おーい、夕貴?そんなに生徒会長やりたいのか?」

「はひ?違いますよ!!僕に会長は……無理ですから……」

「……予想してたのにな。実際に近づいてくると、だめだな」

「え?」

「できれば俺も一緒に卒業したいけど、それは無理だし。そのために中退した、なんて知られたら傷つくのはあいつだろ?もう、こうなるしかないんだよなってな」

「青葉先輩……」

「考えたら今の生徒会メンバー。みんな置いてかれる奴ばっかなんだよな」

「そうですね。僕も澪先輩も朝貴も……みんなそうなんですね……」

「だからさ。俺らは去ってく先輩よりも良い生徒会になってそれで……。笑って送り出してやろうな」

「はい……」

「うし。がんばれよ副会長」

「そういって、清ちゃんみたいな会長になったらだめですからね」

「そりゃねーだろ」

「ふふふっ」


 卒業式まで、あと一週間を切った。


生徒会メンバーはもう、残り組でいいかなと。

ほかに新キャラを出すのもあれかと思いましたので。

旧生徒会メンバーよりも仕事の効率が悪そうな気もしますね。

ハッピーエンド目指して頑張ります!

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