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夕焼けに桜咲く  作者: 朝比奈 黎兎
第8章 オレンジ色の
54/73

*53*


 本が入ってる紙袋を抱えて、清ちゃんとショッピングモールの中を歩く。おしゃれなアパレルショップとか、雑貨屋さんとか店舗数はかなりあるみたい。一日じゃ全部回れそうにないね。一人じゃ迷子になりそう。


「どこに何の店があるかわかんなくなるねぇ……」

「ほんとだね。迷子になりそう……」

「迷子のお知らせをしまーすって?夕貴迷子になったらちゃんと迷子センター行くんだよ。迎えに行ってあげるから」

「ならないもん!!……朝貴はなりそうだけどね……」

「あぁ……うん、だろうね。そしたらあいつが迎えに行くさ、うん」

「どうして清ちゃん、龍弥先輩と仲悪いの?」

「全部が気に食わないから」


 やめて!そんな笑顔でそんなこと言うのやめて!清ちゃんってあんまり人の事嫌ったりしなさそうなのに、ていうかそんなに嫌ってるの龍弥先輩だけな気がするよ。


「あ……」

(ぎゅるるるるるるる)

「いっ!!」

「ぷははは、食べ物屋さん見ただけでおなかの音なるってどんだけっ……」

「だ……だって……」


 もうお昼時じゃん。それに、すごくいいにおいするし……。わー、ラーメン屋さんに、洋食レストランに、お蕎麦屋さん、ハンバーガーショップ、すごーい。共通の席を囲むようにお店が並んでる。10件はあるけど、全部違うジャンルのお店。


「お昼にしようか」

「うん!」

「ほんと元気になるんだから……。何食べる?」

「全部!」

「……初めてだよそんな答え帰ってくるの」

「だ、だめ?」

「どこか一軒のお店にしてるとうれしいかなーって。頼むの大変だよ。せめて二軒ね?」

「うー、じゃあ、ラーメンとハンバーガー」

「はいはい、頼んでくるから夕貴は席取ってて」

「うん」


 えーと、開いてる席……開いてる席は……あ、あった!

 なんとか、2人用のテーブルを確保。結構こんでるお昼時に、席を取れたのは運が良かったと思う。清ちゃんが戻ってくるまで、さっき買った小説を読むことにする。

 小説を数ページほど読んだところで、清ちゃんがごはんと一緒に戻ってきた。むっ、清ちゃんカルボナーラなんだ。おいしそうだな―……。温泉卵乗っかってる。あれ割って麺に絡めて食べると何とも言えないくらいおいしい……。って、なんでぼくはまた人のご飯を!!


「お待たせ……ってどうかしたの?」

「なんでもない!!なんでもないから!!おなかすいたんだよ!!さ、食べよ!!」

「そう?」


 ぱきっと、割り箸を割ってまずはラーメンから。伸びちゃうと美味しくないからね。ラーメンをすすって……あ、温泉卵割れた。中から美味しい黄身がとろーって……。いやいや、ラーメンの味付け卵で我慢するんだ。こっちも半熟だし。うん、おいしい。あ、フォークでくるくるして……うわー、おいしそ……。そしてそれが清ちゃんの口に……あれ……。なんでぼくの方に向けてくるの?


「清ちゃん?」

「夕貴、ガン見してるから。そんなことしなくてもちゃんと上げるからさ」

「え……」


 そ、そんなに見てたの僕?うわっ、はずかしい。あれは清ちゃんのだって思ってたのにな。う、すごくいいにおいがする。おいしそう。黄身もいっぱい絡まってて……でも……。


「せ、清ちゃんのだからいい。僕これだけあるから……」

「でも食べたいんでしょ?ほら、遠慮せずに、あーん」

「あ……あーんって!!やだっ、恥ずかしいからいい……」

「ほら、早くしないと落ちちゃうよ、あーん」

「う……あ……んあー」

「ふふ、おいしい?」


 僕はそれにもぐもぐしながら頷く。なんでこんな人目に付くところで、男が男にあーんしてもらってるんだろう……。恥ずかしい。顔熱い。でも、おいしい。


「ベーコンも食べる?」

「でも、清ちゃんのなくな……もぐもぐ……」


 別に食べさせてほしくて口あけたわけじゃないのに……。ベーコン厚切りでおいしい。でも、清ちゃんの無くなっちゃいそう。清ちゃんだっておなかすいてるはずなのに。

 ふと、僕の視線が手をつけてないハンバーガーに向く。包み紙を向いてそれを半分こする。そして包み紙に半分包んでそれを清ちゃんのお盆の上に置いた。


「夕貴?」

「僕もらったから……清ちゃんそれじゃ足りないから……。僕満腹でもそれじゃ嬉しくない……から……。だから、ハンバーガーあげる。半分じゃ足りない?なら全部上げるから……。だから、清ちゃんもおなかいっぱいにならなきゃ……うれしくない……から、それはあげるの……」

「っ……」


 清ちゃん口に手を当ててるけど、嫌だったのかな。でも、僕ばっかりもらうのは嫌だからな。うれしいけど、ぼくはいままでいっぱいもらってくるばかりだったから、少しずつお返しできたらいいな。


「はぁー……夕貴、ほんとにかわいい……」

「んぐ?」

「なんでもないよ、ありがとう」

「う、うん」


 面と向かってお礼を言われると、照れちゃうんだけどな。あ、ラーメン伸びちゃうや。



食べ物の話が多い気がしないわけでもないのですが……

夕貴なので仕方がないですね。

あーんしてもらって真っ赤でもぐもぐしてるのはかわいいです。


やっと少しだけど恋人っぽいことしてくれました。

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