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夕焼けに桜咲く  作者: 朝比奈 黎兎
第6章 真冬の町
42/73

*41*

無駄に長いです。いや、内容はあるので無駄じゃないことを祈ってますが。

あと今回は清桜視点で、場所も近衛家です。時間は3時前後(約束の時間の前後)あたりです。

 

顔を見せろ。まぁ、つまりは家に帰って来いということだろう。それくらい俺にわからないはずがない。なにせもう5年くらい実家には帰ってない。マンションに一人暮らしだ。寮がある学園、長期休暇以外は帰らないから、無駄な持ち物かもしれないが。俺はあの家が嫌いだった。許されるならあの子がいるあっちの家に住みたかった。でもそんなことをあのうるさい親が許すはずもなく仕方なくマンション暮らしを選択した。社会勉強のためだともっともらしいことを言ってだ。むろん、俺はそこそこ一般常識なるものは知ってるし、自分ひとりで暮らすことなど訳もないのだから一人暮らしで得るものなどないのだが。それほどあの家にはいたくないのだ。

 でも、俺はそんな両親には逆らえないでいる。すべては俺の大切な人のせいだ。もちろん彼が悪いとかじゃない。俺がただ一途に思ってるだけ。ずっとそばにいたかった。だけど彼の生い立ちは俺の親にとっては受け入れがたいものらしく、俺は彼との接触を断たれそうになった。でもそんなの嫌に決まってる。だから、俺の進路を親に一存する代わりに、彼に会うことを許された。今時そんなことする親がいるなんて、信じたくもないが実際俺の親がそうなんだ。あの学園に入ったのもすべて親の指図。それでも、彼に会えなくなるのは何事にも変えがたいものだった。でも、俺の進路は生半可なものじゃない。だから少なからず彼と離れないといけなかった。俺は今もあの時の選択を後悔している。

 俺は今、実家にいる。休日に海外から父親が帰ってきた。そしてなぜか顔を見せろという。こんな日に帰ってくるとは……嫌がらせに他ならない。せっかく今日は彼と一緒に出かけられる日なのに。ため息が出そうになるが、何とか押しとどめる。しかし、理解できないのは今の状況だ。当初の俺の考えでは、ただ親に顔を見せれば帰れると思っていた。少し俺の将来その他云々の話をする、としても約束の時間には間に合うはずだった。それが、今現在午後3時半を少し回った。もうすでに30分過ぎてしまっている。いい加減に開放してほしいものだ。そして俺の目の前――――といっても長机を挟んではいる――――には父親、その隣には母親、そして両脇には親戚だろう人物が並んで座っている。そして入口に背を向けて俺が座っているわけで……。なんだよこれは。俺はさっさと夕貴のところに行きたいんだよ。こんなくそ爺と話すことは何もない。あと家は継がないと言っている。


「何をそんなに不機嫌なのだ、清桜」

「いえ、別に」

「そういえば、何やら北條家で動きがあったそうだな」

「そうですか」

「今年、ご子息が黎暁学園に入学されたそうじゃないか」

「ええ、二人・・とも」

「……」


 俺はあえて二人というところを強調した。此処にいる奴らは北條家には子どもは一人だけだと認識している。夕貴の存在は認められていない。いないことにされている。血がつながっていないから。ふざけんなよくそ爺。もともと夕貴の母親が本妻だったんだ。だが、あの人は体が弱くてすぐになくなった。その後あの女が本妻を名乗って婚約したんだ。だからほんとだったら夕貴が本妻の子どもだったんだ。それは朝貴も、俺も、表では強く言えないが、北條家当主で二人の父親も認めている。だがあの女のせいで、当主は強く出れないでいる。全く、あの人が一言認めてくれればいいのに。こいつらも、あの女に良いようにされているだけだ。悪女め。だから俺は女が嫌いなんだ。嫁もらうなら絶対に夕貴だね。


「なぜあの北條家をけがしている子供が黎暁学園に入っているんだ?」

「穢してなどいません。彼も北條家ご子息です」

「戯言を。どうせあ奴の母親が御当主をそそのかしたのだろう?」

「ッ……」


 そんなわけない。そんなことをしたのはむしろ……朝貴の母親だ。あの女は、夕貴たちの父親から違法な手を使って精子を手に入れて、病院で人工授精したんだろう。夕貴の母親の死後、あの女は自分を正妻として認めろと、夕貴たちの父親を脅した。従わねば自分は強制的にはらまされたのだと世間に公表すると言って。あくどい女だと思う。魔女の生まれ変わりなんじゃないかとも思う。


「もう十分です……こんな話を聞かされるならおれはもう帰ります」

「お前、この家を継ぐ気にはなったか?」

「ありません。そんなこと毛頭も思いません。ほかに適任者がいるはずです」

「お前が一番の適任だ」

「俺はいやです。少なくとも、夕貴の存在を認めないお前なんかの会社その他を継ぐ気にはならない」

「どこまでお前はあの餓鬼に執着しているんだ」

「家族よりも、自分自身よりも、俺は夕貴を優先するただそれだけです」


 そう言って俺はその空間から飛び出した。玄関先で、靴を履きつつ携帯で時間を確認する。すでに時刻は午後5時を過ぎていた。俺は玄関のドアを開けずに立ち止まった。もうこんな時間になってしまった。もう夕貴は帰っているだろう。こんな季節だ、そうするに決まっている。


「でも……」


 もし……まだ待っていたら?そんな考えが浮かんできて、俺は玄関から外へ出た。白い雪が空から降ってきていた。雪まで降っているとなればやっぱり帰ってるだろう。そう思うが、謝罪のため彼に電話をかける。コール音が続く。一向に出てこない。しばらくして出たが、それは夕貴ではなく電子的な声だった。


『この電話は電源が入っていないか、電波が届かないところにあるため繋がりません』

「夕貴……?……」


 このまま帰るか。いや、でももしまだあそこにいるとしたら……。

 俺は雪の降る中、駅へと駆けだした。

夕貴は父親と母親をちょうどミックスしたって感じの性格。お父さん、押し弱すぎ。尻に敷かれすぎだし。もうちょっと頑張ろうよって感じ。


清桜は別に朝貴のことが嫌いとかじゃないです。ただあの女(朝貴母)が嫌いなだけです。親が最低なだけで子どもらは悪くないって考えです。

この話、親と子供うまくいってなさすぎですねぇ。


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