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夕焼けに桜咲く  作者: 朝比奈 黎兎
第6章 真冬の町
40/73

*39*


 年も明け、再び変わらぬ学校生活が始まってから数日が経った。まだ冬休みの余韻から覚めないのか、学校内はどこかゆっくりと時間が流れているようにも思えて来る。夕貴は朝貴とともに図書室にいた。いくら身体が驚異的な回復を遂げても、頭の中身はそうは行かないのだ。入院していた2年もの間の勉強はちんぷんかんぷんだった朝貴は、夕貴に特別授業をしてもらっている。


「でね、x=25になってそれで……」

「むむ……なんで25?」

「なんでって……こことここかけてさらにここにこれを代入して……」

「そか、こっちがこうなって……よし、あとは自分でできる!!」

「そう。じゃ、またわかんないとこあったら……」

「いんすーぶんかいってなんだ?」

「……」


 朝貴、物覚え悪いんだよね。一度身につけば忘れないのに。それまでがほんっとに大変なんだ


「なーなー、数学どこまでやればいい?」

「そのページで今日は最後」


 そう夕貴が言った。その言葉に朝貴は、じゃああと3問だなっと嬉しそうに笑顔を見せる。甘いよ、朝貴。数学は終わりだけどまだ国語があるからね。古典の基礎くらい覚えてね。

 静かな図書室の中には、夕貴達以外にも生徒の数はある。受験シーズンのせいか、朝貴の様にひたすらペンを動かす姿が多い。


「そーいえばさ」

「なに?」

「夕貴は清桜に冬休み会った?」

「会ってないよ。でも、なんで?」

「んー、べつに。ならいいや」

「何?気になるよ」

「ねぇねぇ、此処の答えの方が気になるんだけど」

「って、そこさっきと同じだよ!?ひっくしゅ……」

「あれれ?夕貴風邪?」

「わかんないけど……最近さらに冷え込んできてるからそれでかも……」

「お薬あるの?」

「最近は調子良かったからないけど……平気だよ多分。あったかくして寝れば平気……」

「じゃないよねいつも」


 幼少のころから繰り返されてきたやり取りだったためか、朝貴にはすぐにわかってしまう。いつも大丈夫しか言わない夕貴だが、そういうときは必ず体調を崩すか、悪化させるかのどちらかになる


「だ、大丈夫だよ。それに……今週末は出かけたいし……だから絶対風邪ひかないから」

「出かけるの?ひとりで?」

「ううん、清ちゃんと一緒だけど」

「デート?」

「ちっ……違うょ!!僕がほしいものあって、それで買い物行きたいなって思ったんだけど。僕土地勘ないから、一人じゃいけないなって思って。最初は朝貴を誘おうって思ってたんだよ?でも……」

「あはは!今週末は、俺検査だっけ」

「だから無理じゃん。で、静香先輩とかも考えたんだけど、何か気が引けるって言うか。なんか最近静香先輩元気ないし、澪先輩もどこか変だから……。だから清ちゃんに頼んでみたらいいよって言ってくれたんだ。ただそれだけだよ」

「なーんだつまんない!」

「つまんなくないよ。っくしゅ!!うー、朝貴ごめん、今日はこれでおしまいにしよう?」

「ほんとに大丈夫?ホットミルク作ってやるな!」

「ありがと」


 僕は朝貴とともに寮に戻った。


 

お気づきの方もいると思いますが此処で宣伝←


本作とリンクした『和も洋も甘いもの』連載中です。

このお話にもちょくちょく?出てきてる静香先輩と淳のお話です。

近日良介と澪のお話も問う公開しできたらいいなと思ってます。

(タイトル未定ですのでそれが決まり次第ですが……)


本作を一応優先で、ほか2作品はぼちぼち更新してきます。

とかいいつつ、本作があまり進んではいないんですが。

がんばります。

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