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生徒会メンバーの四人は、それから朝礼準備のため揃ってグラウンドの一つに向かってたのだが、その途中で何かを思い出した朝貴が大声を出して立ち止まった。それにつられて他の三人も立ち止まる。
「どしたの、朝貴。」
「す・・・すみません。僕今日、日直で・・・朝教室の鍵取りに行かなきゃいけないの忘れてました!!あの・・・ちょっと遅れても良いですか?す・・すぐ戻ってきますから!」
「いいよー。いってらっしゃーい!」
「会長!ありがとうございます!じゃ、いってきます!」
ぺこーっと頭を下げた朝貴はそのまま校舎へと向かって行った。
そんな彼の姿を清桜はにっとほほ笑んで見送っていた。
「会長、また顔ほころんでるっすよ-?そんなに朝貴好きっすか?」
「淳にはあの子の良さが分かんないんだよ。だまって静香君だいじにしてなよー。あと、さっきの仕返しに静香君に朝貴に浮気してたって言っとくから。」
「それマジ勘弁して下さい!!」
「二人とも、さっさとグラウンド行きますよ。」
「うい。」
「ほーい。」
良介に先導されて、清桜達はグラウンドへと向かった。
その頃朝貴は、職員室で取ってきた鍵を持って自分のクラス1-Bに向かっていた。そして教室に着いて、がちゃんと鍵を開けてドアを開き中に入った。そして鍵を指定の位置に置き、一晩閉ざされていた窓をすべて開放する。朝の新鮮な空気が、こもった空気を押しやって中に入り込む。
「ん~・・・・・きもち・・・。さーって、準備に行かなきゃね。」
最後に日誌を机の上に置いた朝貴は、グラウンドに向かうため教室を出て廊下を歩く。校舎内は走っちゃだめだからね。でも、そんなの守れないことが起きようとは、その時の朝貴は知らないのだった。
この学校の校舎は結構特殊な作りになっており、あちこち入り組んだり、まるで迷路状態なところもあり、なれてない人は迷子になる可能性もある変な校舎だった。入学して3カ月ほどがたってようやく朝貴はなれたところである。そんな廊下を歩いていた時、十字路の廊下に差し掛かって、右側の廊下から足音が聞こえてきた。思わず朝貴はそのほうを見て、ばっと顔をそらせた。
その方から歩いて来ていたのは、ネクタイの色が青色であることから三年生であると思われた。一人は輝かん金髪。もう一人は茶髪だ。そして、その二人が運悪く朝貴の存在に気がついてしまった。
「あっれ、そこにいるのはもしかしてー?」
「お、会計の朝貴くんじゃないか。一人でどうしたんだい?」
「迷子だったりしてー。」
「なるほどなぁ、一年じゃ迷うよな。どうだ、親切な俺らが案内してやるから、ちょっと付き合えよ。」
「だ、大丈夫ですから!別に迷ってなんかないですから!ていうか、その手口この前も一緒でしたけど!!」
「あは、覚えててくれたッぽいよー。」
「まじ。じゃ、もっと忘れられないようなことしてやろうか。」
「っ・・・・。」
そして、朝貴は気がつけば全力疾走していた。
朝貴ピンチです!
捕まればもれなく朝から・・・・
にげてー!朝貴逃げてー!なーんてw
あと、清桜が言ってた静香君っていうのは淳の恋人。もちろん?男の子ですが。