*24*
やっとこれで祭りは終わり。夏も終わりです!
長かった…ただそれだけです……
鳥居のすぐそばで二人は並んで立っていた。待っている間、学校生活の事などのたわいない話をしていた。そんな二人に近づいてきたのは、待っていた清桜たちではなかった。
「君たちかわいいね」
「え?」
「高校生くらい?あれこっちの子は中学生っぽいし、もしかして姉妹?」
中……中学生だってぇ……失敬な!!れっきとした高校生だい!!
「あの、迷惑なんですけど?それに待ってる人いるんで」
「つれないなぁ。それに女の子待たせる男なんて最低じゃない?それより俺らと遊ぼうよ、ねぇ」
そう言って一人の男が朝貴の手をつかんだ。
「やっ……離して……」
ヤダヤダ……また連れてかれちゃうよ……。フランスの時みたいに……あんなのヤダぁ……。
「嫌だ……離してっ……」
「そんなふるえなくてもいいじゃん。かわいいなぁ」
「ちょっと、それ以上その子に……っ」
「いいじゃんいいじゃん、祭りなんだしさぁ」
どこがだ。チッ……淳たちはまだなの?でもこれ以上こんなことなってたら朝貴君がかわいそうだし……て、言うかそろそろ泣き出しそうだし……。しかたない、この恰好じゃあんま力はいんないけど、やるしかなさそう。
「あんたら……いい加減にっ……!?」
蹴りだそうと、足に力を入れていた静香は新たな気配を感じてその力を解いた。そしてふっと笑みをこぼす。拉致される恐怖におびえていた朝貴は今にも目のふちから涙をこぼしそうになっていた。振りほどこうにも力が強すぎて無理で、どうにもできない無力さにも泣きたくなっていた。そんな朝貴の肩を後ろから抱き寄せる手が現れた。そして聞き覚えのある声が聞こえる。
「ねぇ、俺の彼女に何してんのかなぁ?」
「そうそう、お前らじゃこの子たちの相手にはなれないとおもうぜ?」
「さっさと立ち去ってよね。ていうか、触んないでよ。きったない手でさぁ」
その声の主たちの気迫に怖気づいたのか、男たちはすぐに立ち去って行った。それを見てようやく落ち着いた朝貴は自分の後ろを振り向いた。
「か……会長……」
「ごめーん、遅くなって。あっはは、朝貴また可愛いから連れてかれそうになってたね。でももう大丈夫だからさ、泣かないの」
「んぅ……」
朝貴の眼のふちにたまった涙を清桜は微笑みながら指で拭った。
「遅いし、清桜も淳も」
「電車こんでたんだよ。つか静香、蹴りいれようとしてたな?」
「ばれてたか。だってあのままじゃ本気で朝貴君連れてかれそうだったし。何よりむかつくしね。でもベストタイミングだったよ」
「静香の蹴りいれられちゃ、ここに死体の山ができてたかもねー」
「こわー」
「え……え……」
「ほら、何も知らない朝貴君が話についてけてない」
「静香はね、うちの学校の空手部主将なんだよ、あんな顔してるけど」
「清桜、あんな顔は余計だよ」
「ほぇ……やっぱり静香先輩すごい……」
「あれー、朝貴俺は―?」
「なんか言いましたか?」
「やっといつもの朝貴に戻ったようですね」
「あ、榊原先輩……ふぎゅぁ!?」
清桜たちとは別に来た良介も来た。だがその時朝貴は誰かに抱きつかれていた。思わず素っ頓狂な声を上げる。
「あ、澪も来たんだ。しかも女装浴衣で」
「べ……別に、着たくて着たわけじゃないし……。ただ良がどうしてもって言うから、だから着ただけだし。違う……良のためでもないんだからね!!」
「ふぎゅぅ!!」
「どうでもいいですけど、それじゃあ朝貴が胃袋吐き出しますよ」
「あ、忘れてた」
「ぷはぁっ!!ていうか、胃袋とかはきませんから!!……えと……はじめまして?」
「檜山澪。2年。好きなものは良とあとちいさくてふわふわしててあったかいの。君とかね」
「え?」
「こらこら、変なこと言わないんですよ。朝貴がはてな頭の上に展開してますよ」
ていうか、さりげなく好きな物の中に榊原先輩って言ってたよね。つまり……うん、そういうことだよね。もうわかってるんだからね。静香先輩の時と同じだね。うん。なんだろこれ、デートですか?デートしに来たんですか?ならみんなで集まる必要ないんじゃないかな―!
「朝貴―!朝貴―!」
「はっ……はい!?」
「何考えごとしてたの?」
「ななななな……なんでもないです。って、あれ……あの四人は……」
「ふた組はこれからデートです。てまぁ、半分そのつもりだったんだろうけど、俺がいいよって言ったからみんな好き勝手に行っちゃった」
「えぇー……」
「俺とじゃいや?」
「っ……」
嫌……じゃないとは思う。いやだってね、さっきのナンパの人っちと会長だったら、断然会長でしょ?知り合いだとかそうじゃないとかだけじゃなくて、なんかよくわからないけど。でも、会長がいいな。
「さっき怖い思いしたんで、なんかおごってください」
「くすっ、いいよ。なんでもおごってあげる。まずなに食べたい?」
「綿あめ食べたいです!」
「じゃ、いこっか」
朝貴に差し出された右手。思わず見上げた朝貴に清桜はやさしくほほ笑んでいる。その瞬間、遠い記憶の断片が思い起こされる。
『ほら――――、そんなとこいると風邪ひくよ?』
「朝貴?」
「!え…あ…手、繋ぐんですか?」
「それぐらいはいいでしょ?おごるんだからさ、ね?それに朝貴迷子になっちゃうと誘拐されちゃいそうだしね」
「ほんとに全部おごってくださいね!ていうか、後半いりません!!」
「ふふふっ」
二人は、人でにぎわう屋店が立ち並ぶ方へと向かっていった。
かわいい子はお持ち帰りされればいい。
いえ何でもありません。
実は空手部主将の静香先輩。
怒らせると一番怖い人だと思います。淳頑張れ!
そして登場、良介の恋人現る。
澪君。素直じゃないけど甘えんぼさんのいい子です。
この三組のそれぞれを交えつつ、でも基本は朝貴と清桜ですね。
ほかふた組で何か話書きたいとか言ってみたりもする。
まぁ、これがどうなるかによりますけどね。
次回から文化祭編です!