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夕焼けに桜咲く  作者: 朝比奈 黎兎
第3章 夏休み
19/73

*18*

前回で修学旅行編は終わったので、今回から新しいお話に移ります。

少し遅れてしまいましたが、夏休み編です。

修学旅行が予定以上に長くなってしまったせいですね・・・

さて、終業式も終え朝貴たちは夏休みを迎えた。夏休みなどの長期休暇は諸事情がない限り生徒は全員家に帰ることになっていた。もちろん朝貴も例外ではない。だが、朝貴は乗り気ではなかった。家になど正直帰りたくないのだ。だから今朝も何とか寮に残れないかと先生に頼みに行っていたが帰ることになってしまった。生徒もまばらになった学園の正門前。自分の荷物を詰め込んだ鞄を抱えつつ朝貴は迎えに来る車を待つ。じりじりと照りつけてくる灼熱の太陽がうつむく朝貴の首に痛いほど降り注ぐ。するとヒリヒリし始めていた首筋に冷たい何かが降ってきた。それがあまりにも突然だったため朝貴は思わず間抜けな声を上げた。


「うひょぁ!?」

「あっはは、何その声。てか大丈夫?こんなとこじゃ熱中症になるよ?」

「会長・・・。」


近々に冷えたペットボトル飲料を振りながらいたずらな笑みを浮かべて立っていたのは、この学園の生徒会長の清桜だ。


「まだいたんですか・・・。とっくにもう帰ったのかと・・・。」

「ん、まだ少しやること残ってたからね。やっと終わって今から帰るんだよ。あ、これあげる。水分取った方がいいよ?まだ開けてないから。」


清桜から受け取ったペットボトルは買ったばかりのようで、持っている手から冷気が体中にしみわたる。

「え・・・ありがとうございます・・・。」

「迎え待ってるの?」

「はい・・・もうすぐ来ると思うんですけど・・・。」

「元気ないねぇ。暑いからっていうより、帰りたくない?」

「まぁ・・・。お金あったらホテルでも泊まりたいです・・・。」


あんな家に帰るなら公園で野宿のほうがましだもん。あんな家・・・。いるだけで息苦しくて怖くて泣きたくて。一秒でもいたくないのに、一か月もいなきゃいけないなんて。それこそ地獄だよ。うれしいはずの夏休み。でも、家に帰るせいでそれはもはや地獄の夏休みに他ならないよ。


「・・・・・・・うち来る?」

「え?」

「そんな嫌ならさ。家来ちゃえば?朝貴一人くらい家じゃなんともないしさ。嫌なんでしょ?なら我慢することないじゃん、帰んなきゃいいんだよ?せっかくの夏休みなんだし、ね?」

「・・・・・・・・・・・。」


それは嬉しい。けど、けどさ・・・。


「いえ、帰ります。嫌なのはいやですけど・・・でも・・・帰らないといけないんで・・・。ありがとうございます。」

「そう・・・なら仕方ないね。なんかあったりしたら連絡してね。メールでも電話でもなんでもいいからさ。」

「はい。」

「じゃ、またね。」


なぜか少し困ったように笑いながら、清桜は自分の家へと帰って行った。聞いたところによると彼は迎えは断ったらしい。寄りたいところとかあるし、迎えとかそんなことされるのがいやらしい。彼の姿が見えなくなるまで見送っていた朝貴。その前に一台の車が止まった。黒塗りの高級車・・・ではなく普通の一般的な、白い国産車である。運転席のドアが開き一人の男が降りてくる。


「すみません遅くなって。」

「か・・・河合さん?なんで・・・?」

「いや・・・なんでって、一応君付きなんですけどね・・・。」


彼の名前は河合章吾かわいしょうご。北條家で世話焼きとして働いている。もっぱら朝貴担当である彼は、小さいころから朝貴の面倒を見てきた一人だ。そういう意味で、朝貴は彼の事を兄のように慕っているし、信頼もしている。


「そ・・・じゃなくて・・・てっきりあの人の取り巻きの誰かかなって思ってて・・・・河合さん来てくれるなんて思ってなかっただけで・・・。」

「あの人は今仕事ですよ。で、君の迎えを僕らに押し付けてきたんです。あ、荷物は後ろに積みますから、どうぞ先に乗っていてください。」

「ありがと・・・。」


河合に鞄を渡し、朝貴はペットボトルを持って助手席に乗り込んだ。しばらくして荷物を後ろの席の席に乗せた河合が運転席に乗り込んでエンジンをかけた。そして車は静かに朝貴の自宅へと向かった。


「そのご様子ですと、学校はいやではないんですね。なかなかというか・・・まったく連絡もないので、僕らは心配してたんですよ?」

「ご・・・ごめんなさい。そういえば・・・入学前以来ですね・・・。」

「ですが、今日お会いして安心しました。」

「うん、通えるなんて思ってなかったから、学校って楽しいよ。そういえば・・・初めてだな。普通に学校通うの。」

「そうですね。おからだの方もお元気そうで。」

「うん、風邪もそんなにひかないんだ。」

「それは何よりで。」


車はさらに一般道を進み、そして20分ほどで北條家にたどり着いた。現代では珍しい平屋の日本家屋。厳つい門構え、その向こうには庭が広がり、さらに迷路のように渡り廊下で離れと本家がつながっている。朝貴の自室は離れにある。荷物を持った河合の後ろから朝貴は自室へと向かう。手にしっかりとペットボトルを握りしめていたまま。


そろそろ・・・登場人物紹介を書かねば・・・と思っております。

結構登場人物多いですね。しかもまだ増えます。後4人は出てきます。

近々アップしたいです。

それともう今日はこれ以上アップできそうにないので一話だけです。

また来週です。

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