*16*
明かりを点けていない室内は暗い闇に覆われて来ていた。それが時間の経過を伝えている。だが朝貴は気がつかない。あれからずっと、布団を頭まで被せ暗闇に包まれていたからだ。胸の高まりは静まることを忘れたかのように力強く、大きく動いている。俯せになって、枕に顔を沈ませていた。いつまでも繰り返し思い出される出来事に、彼の気持ちは静まらない。いつもだったらあそこで何するんだと言って、押し返したり、文句言ったり、悪ければ平手打ちくらいはしていただろう。だが、今はそれはできない。沸き上がってきているのが、怒りなのか、悔しさなのか、何なのかはわからない。それをどこかにぶつけることもできない。
そう思いながら、朝貴の意識は次第に薄れ時計の針が9時を指す頃には寝息を立てていた。そこで部屋のドアがノックされる。2回くらい繰り返されたところで、ようやく朝貴の目が覚めた。始めはとても出る気分にはならなかったのだが、無視するわけにもいかず、朝貴はベッドから抜け出し、ドアを開けた。そこに立っていたのは良介だった。
「榊原先輩?」
「その様子だと朝貴も寝てましたね?起こしてしまいましたか。」
「いえ・・・いつの間にか寝ちゃってたみたいで、いいんですけど・・・。」
「そうですか。にしては・・・少し顔赤くないですか?」
「!?」
す・・・・鋭いなぁ・・・。
「な・・・なんでもないですよ!布団頭まで被ってたからそれでですよ!!」
「よく息苦しくなかったですね。そうそう、これ風邪薬です。清桜が起きたらでいいので飲ませてください。」
「ありがとうございます。」
「じゃあ俺は今日の集まり出てきます。朝貴は今日の集まりは出なくていいですから、清桜の看病しててください。
」
「わかりました。」
良介が立ち去り、ドアを閉めて部屋に戻った朝貴はベッドの傍のランプの台の上に薬を置き、自分のベッドにあがった。そして、そのまま横たわる。ばふんと、羽毛いっぱいの枕にあたまを乗せる。
「だって・・・だってさ・・・会長が好きなのは・・・朝貴なんだもんね・・・。だから・・・さっきのも・・・全部・・・朝貴にしたことだから・・・・だから、僕は関係ないんだよ・・・。」
いつも僕はそうだもん。
僕は僕であって僕じゃない。
むしろ僕なんて存在はないに等しいんだ。
今ここにいる意味だってないに等しい。
そう、これはすべてあの人の思惑。
僕はそれに従うだけ。
いつからだろう。
僕が僕を見いだせないのは。
だって朝日は・・・・・・・・・・・・・・・・昇ってくんだよ?
朝貴は病んでるんですかね?
あれ・・・そんなつもりじゃないんですが、どうしてもそうなる人物設定なんですよ・・・orz
徐々にシリアスも入ってくるし・・・
何とか頑張ります。