*13*
ホテル一階のレストラン。そこに黎暁学園の生徒がひしめき合っていた。その場所の一角にあるテーブルに副会長の良介と書記の淳がすでに帰って来ていて、清桜と朝貴の帰りを待っていた。良介はアイスコーヒーを飲みながらフランスの新聞を読み、淳は早くも夕飯のバイキング一皿目に手をつけていたのだ。そこにとんでもないうわさが流れてきた。
「俺見ちゃった!会長が女の子部屋に連れ込んだの!!」
「ぶーーーーーーーーーーーー!!」
「ごほっごほっ・・・・。」
思わず二人は噴き出した。あの会長が女を連れ込んだ!?
「んなわけあるんすか!?」
「ありえませんが・・・しかし・・・とうとう清桜も・・・。」
「ていうか、朝貴は!?」
「・・・・部屋に行ってみますか・・・。」
二人は急いで清桜と朝貴の部屋へと向かった。エレベーターに乗り、部屋がある階のボタンを押して、ついたら降りて部屋へと走る。そして部屋の前に就いた。
「ていうか・・・入るんすか?もしその・・・あーんな状況になってたら・・・俺いたたまれないっつーか・・・。」
「ですがそれにしては静かですし・・・。清桜!」
良介は戸惑いつつも部屋をノックした。すると中から清桜の返事が聞こえてきて、すんなりとドアが開いた。
「あれ、良介に淳じゃん。どうかした?」
「どうかしたじゃないですよ。清桜、あなたとうとう・・・男から女に?」
「見損なったっすよ?てっきりこのまま朝貴一筋で、いつか朝貴が惚れるほうに俺賭けてたんすよ!?」
「は?え?ちょ・・・なんの話よそれ。俺今でも朝貴一筋だけど?」
「今、下でうわさが流れてたんですよ。」
「噂?」
「会長が女の子部屋に連れ込んでたってやつっす。」
「・・・・・・・・・・・・・・・あぁ。ぷっふふふふ、女の子ねぇ。ぶっ・・・っははははは!!やっぱそう見えちゃうよねぇ。かわいいもんねぇ。ぷっくくく、やば、おっかしい・・・・。二人とも入ってきなよ、今からその女の子にあわせてあげるからさ。ま、今寝ちゃってるけど。」
そういって、清桜は二人を部屋に招き入れた。二人が中に入って、二つあるうちの一つのベットの上ですやすや寝ている人物を覗き込む。黒くて長い髪の毛。薄く施された化粧。どこからどう見ても女の子だ。
「って、やっぱ女の子じゃないっすか。」
「だっから違うっての。大体、そんなことばっか言ってると怒られるよ?この子にさ。うーん・・・うまく取れるかな・・・。」
「取る?」
清桜はそういうとスッと女の子の頭に触れて、髪の毛を思いっきり引っ張った。
「いっ・・・。」
「ちょ・・・清桜!?・・・え・・・?」
清桜の手に握られた、女の子の髪の毛すべて。だが、その女の子の頭にはまだ黒い髪が残っている。まん丸のところどころはねたショートヘアー・・・・。
「あ・・・・朝貴!?」
「女装・・・ですか・・・?」
「ちょっと、わけありでねー。だから言ったじゃん。俺はこの子一筋だって。勝手に勘違いされちゃ困るよー。」
ふりふりと黒いロングヘアーのかつらをふって、良介たちの方向に振り向きながら言った。
「いや・・・だって、これじゃあぱっと見わかんねーっすよ?」
「女顔だと思ってましたけど・・・ここまでとは・・・。」
「でしょでしょ。俺が一番びっくりした。最初見たときは朝貴だなんて思えなかったもん。化粧もそんな濃くないから、元が可愛いってことぶぅっ!?」
「だ―れが、かわいいですかぁぁ!?」
「あ・・・朝貴・・・起きたの?」
清桜の頭に、枕がクリーンヒットした。その枕を抱えて後ろを振り向くと、起きたのか朝貴が眉を吊り上げて不機嫌極まりない顔でこっちを見ていた。
「今起きました。たったいま!人が寝てるからって・・・かわいいかわいいばっか・・・僕男です!かわいくなんかないんです!!って・・・え・・・榊原先輩?・・・青葉先輩?・・・・え・・・・え・・・・ぎゃああああああああああ見ないでください!!帰ってください!!忘れてください――――――!!」
「今さらですか?」
「見ちまったもんはしょうがねーだろ!記念に写メっとくか?」
「いやあああああああああああああああああ!!末代までの恥いい!もうやだああああああ!!」
朝貴の絶叫は10分ほど続き、神業ともいえるほどの動きを見せ、あっという間に着替えたのだった。やけ食いなのか、朝貴がいつもの数倍食べたのは言うまでもない。ただでさえその体に合わないほど異常な量を食べるのにもかかわらずである。
波乱の修学旅行はやっと半分が終わったのです・・・
長いですね・・・。
あ、ばかりで読みにくかったらすみません。