1-1 出会い
旅人、牧村レオは今日もあてのない旅を続けていた。
幼い頃に両親を亡くし、それ以来放浪の旅を続けていた彼だが、いい加減今の生活に嫌気がさしていた。
とはいっても、彼の取り柄といえば幼い頃から磨きあげた銃術くらいしかないので、次に行く街に射撃訓練場でもあればと考えていた。
そんな事を思いながら、小さな村に差し掛かった時、後ろから大きな声が聞こえてきた。
「有り金全部置いて行きな!」
−−−−−野党だ。
彼はすぐにそう悟った。
レオ自身野党から襲われるのも珍しくなく、幼い外見と若さから嘗めてかかられることが多かったのだ。
レオはため息を一つつき、面倒臭そうにゆっくりと後ろを振り返った。
と、同時だった。
「キャー!!」
女の叫び声が広い荒野に響き渡った。
どうやら野党が声を掛けた相手はレオではなかったらしい。
見ると野党は、一人の少女に小型のナイフを突きつけていた。
野党は三人、武器はナイフと鈍器。少女は武器すら持っていない。
今にも野党が少女を襲いそうな雰囲気だったので、レオは慌てて駆け寄った。
「ちょっと待て!」
レオがそう叫ぶと野党たちと少女がレオの方を見た。
「あ?何だてめえは。」
「大人三人でか弱い女の子を襲うなんて卑怯にも程があるよ」
「るせぇ!お前らやっちまえ!」
野党たちは武器を構え、レオに一斉に襲い掛かった。
レオは腰に下げた銃を取り出し素早く発砲した。甲高い金属音がなり、野党の手から武器が弾き飛ぶ。
「ぐぉ!」
「さて、次はどこ狙おうか?」
レオは野党に向かって銃を構える。
「ち、ちくしょう!覚えてろ!」
野党たちは一目散に逃げていった。
ふう、と一つため息をつき、レオは少女を見やった。
年齢は自分と同じくらいだろうか。格好は学制服を着ていて、首に季節外れのマフラーを巻いていた。
レオは少女が野党に襲われたショックから怯えているものだと思っていたのだが、そんな素振りはなくむしろ平然としていた。それどころか少女は目を輝かせながらレオを見つめていた。
「ありがとうございました!ほんと助かりました!えーと…」
「・・・あ、僕はレオ」
「レオさんありがとうございます。私はルミです」
溢れんばかりの笑顔でレオに笑いかける少女。レオは顔を赤らめた。
「ところで、さ。ルミちゃんは何でこんなところに一人でいるの?」
レオは照れを紛らわすかのように尋ねた。
「私おつかいの帰りで、あの街に戻る途中なんです。」
彼女が指差した先を見ると、かすかに街の影が見えた。しかし歩いて行けば一日半くらいかかりそうだ。しかし、こんな危険な荒野を少女一人で歩いて来たとは思えない。レオはふと考え込んだ。
そんなレオの様子を察してか、ルミはレオの顔を覗き込んだ。
「どうかしましたか?」
「ん~~~、どうやってここまで来たのかなぁ~と思ってさ。」
「不思議ですか?」
クスクスと笑うルミ。
「後で教えてあげますよ。」
彼女はそう言うとまたニッコリと微笑み後ろを振り返った。
「ホントは今日中に戻る予定だったんですけど、レオさんに助けてもらったお礼もしたいし、そこの村でお茶でもしていきませんか?」
「え・・・うん、いいけど」
「じゃあ行きましょう」
軽快に駆け出すルミ。スキップしながら鼻歌など歌っている。かなり上機嫌のようだ。
そんな彼女を見て、レオは腕組みをしながら歩いていた。
かなりベターな展開ですがすみませんです。