占城条:(占)第三節~第四節
三、螭城、最大城。王「螭蛟」者螭長子也。螭蛟、召十城王曰「吾聞、母沈『鼉蛟錫』於根水。曰『持之者足王』然根水衆鰐鼉。誰持之乎」占蛟曰「我為」而入水。占戻座鼉上。錫亦在手中。兄問、占対曰「我見育於鼉、解鼉言。然鼉不襲我、鰐不寄我。雖鼉鰐衆、何有危」十城之王交讃占曰「君、水王也。我城宜従君」以占得十城。
三、螭城、最も大なる城なり。王、螭蛟は螭の長子なり。螭蛟、十城の王を召して曰はく「吾聞く母根水に鼉蛟錫を沈めたりと。曰く『これを持つは王足る』と。然るに根水鰐鼉衆し。誰かこれを持たんや」と。占蛟曰はく「我なさん」と。而して水に入る。占、鼉上に座して戻る。錫また手中にあり。兄問へば、占対へて曰はく「我、鼉に育てらるれば、鼉言を解す。然れば鼉は我を襲はず、鰐は我に寄らず。鼉鰐衆しといへども、何ぞ危有らんや」と。十城の王交々占を讃へて曰はく「君、水の王なり。我が城宜しく君に従はん」と。以て占、十城を得。
三、螭城は城族のうちで最も大きな国である。王の螭蛟は螭の長男であった。螭蛟は、城族十か国の王を呼び出して「私は、母が根水の底に鼉蛟錫を沈めたと聞いた。そして、『これを持つ人が王にふさわしい』と言ったとも。しかし根水にはワニの類が多い。誰がそんなものを持ってこられるのだろうか」と言った。占蛟は「わたしがしましょう」といった。そうして、水に入っていった。占は、ワニの背中に乗って戻ってきた。その手には錫も握られていた。兄がどうしたのかと質問すると、占は「わたしはワニに育てられたのです。ですからワニの言うことはわかります。そうであるから、言葉のわかるワニは私を襲いませんし、そうでないワニでも(その神通力をおそれて)私には近寄らないのです。ワニの類が多いといっても、どうして危険がありましょうか」と答えた。十城の王は、交互に占を讃えて「あなた様は、水の王だ。(水の霊の子孫である)私たちの国はあなた様に従うのがちょうどよいだろう」と言った。そうして、占は、十城を獲得した。
四、占死後「見」嗣之。見更得丗城。靺城既治六十城。両城十戦、五勝五負。見廿年治国、譲子「移」之。
四、占死したる後、見これを嗣ぐ。見、更に丗城を得。靺城既に六十城を治む。両城、十戦し五勝五負す。見、廿年国を治め、子、移に之を譲る。
四、占が死んだあと、見があとをついだ。見は更に三十の城を獲得した。靺城は既に六十の城を支配していた。両国は十度戦い、五勝五敗であった。見は二十年間国を治めたあと、子の移に王位を譲った。




