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サイバーエデン・オフライン〜サ終したゲームが現実に侵食してきたのでヒロイン達と共に平和のために戦います〜  作者: なろうスパーク
WAVE03「よりによって発情期が来る時期をエロ厳禁の未成年に定義づけたバカはどこのどいつだ」
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3-2

 脳特対(のうとたい)。正式名称、内閣安全保障室・電脳異変災害特設対策室専従班。

 ギャロップ・ハンドマウンドの進言によって虹の日事件をあらかじめ予測していた日本政府が組織した、対セオベイド・セオベイター事件対策組織。

 当初日本政府はこれを本気にしておらず、とりあえず組織と権限だけは与え、ほとんど放置していた。いつぞやのスーパー堤防の前例こそあれど、ゲームのキャラクターが現実に現れて暴れまわるなど誰も信じるワケがない。

 しかし、現に世界時にセオベイド・セオベイターが現れ他国家が混乱に見舞われる中、日本のみはこの脳特対が事前に各所に手を回していた事もあり、スムーズにこの自体に対処する事ができた。

 それもこれも、脳特隊を率いる班長・紅凪の手腕あってこそである。ではここで、彼女の事について簡単に説明しよう。

 

 紅凪(クレナイ・ナギ)。年齢35歳。性別・性自認は見ての通りの女性。

 海外の某有名大学を首席で卒業した後、若くして日本政府の中枢に食い込み、様々な省庁にパイプを持つ才女。その素性には謎が多く、政府公式から発表されているプロフィールですら嘘との噂があり、一説には「日本建国時から国防に携わってきたある一族の末裔なのではないか?」とさえ云われている。

 そんな噂を知る様々な官僚からは、普段のフランクな態度のと比較と、悪く言うと好き勝手している事へのやっかみとして「歩く都市伝説」と呼ばれている。

 無論、それは本人も認知しているが気にはしない。

 ………左腕の指輪から、少なくとも既婚者である事は確かだが、旦那が何者かについても一切が不明である。

 

 

 ***

 

 

 して、ここはそんな脳特隊の実働部隊。発生した事件に対して様々な会議・承認を得ず班長・凪の判断による行動を行う、セオベイター泉九郎太(イズミ・クロータ)を中心とする戦闘部隊「モッツァレラ小隊」の活動拠点・プラットベース。

 巨大な車両のような形状をした列車型宇宙戦艦であり、事件が起きた場所に即座に急行する移動基地にして、モッツァレラ小隊の前線基地だ。

 このプラットベース単体でも日本を制圧できる程の火力と戦力を有し、その気になれば政府を脅して自分が支配者になれる程の力を手に入れた凪。

 

 「はぁ………おかしいなぁ」

 

 しかし、プラットベースのロボットアニメか特撮セットのような無機質でSFチックな廊下を歩く凪の表情はどこか憂鬱げでありため息まで出る。

 理由は、絶対的な力を手に入れようとそれを国益と人道のために使うという彼女の善意と道徳観。それを理解しない大衆にあった。

 

 「私達、いいことしてるハズなんだけどなぁ」

 

 彼女の手にした私物の携帯電話(スマートフォン)には、某動画サイトの動画サムネイルがズラリと並んでいた。

 そのどれもが、メディアで公開されたモッツァレラ小隊の写真を加工した物であり「現実見ないダメ人間軍隊」「男なら一人を愛さんかい!」「ゲームが上手くて国が守れるの?」という派手な見出しで彩られている。中には、ある有名なシューティングゲームのキャラクターのデフォルメ版や合成音声ソフトのキャラクターが目を吊り上げで写真の中の九郎太達を睨んでいた。

 一目で、それがいい感情から作られた動画ではない事がわかる。同時に脳特対が世間からどう思われているのかも。

 

 しかしながら、それに対してこちらから言い返す事は組織として設立したばかりの彼等モッツァレラ小隊のイメージダウンにも繋がりかねない。故に、何を言われようと黙っている。

 ………というのが、これらの誹謗中傷に対する政府の決定であった。

 

 「モッツァレラ小隊のしょくーん、ミーティングを…………」

 

 そんな事を気にしても仕方ない。と、凪はまたも発生したセオベイド・セオベイター絡みのとある事件の対策。そのミーティングのために、普段モッツァレラ小隊の一同が生活しているプラットベースの生活スペースの扉を開けたのだが………

 

 「あっ♡ああんっ♡♡あんっ♡♡弟くんっ♡もっとおぉっ♡♡」

 「やぁん♡♡いいわぁ♡♡クー兄ぃ好きぃっ♡♡」

 

 立ち込める甘ったるい匂いに、水音、艶声、女、男、女。

 おおよその修羅場を経験してきた凪であるが、その道徳的正義の一切に中指を立てるヒメゴトに対しては思考がフリーズせざるを得なかった。

 

 「あんっ♡♡来ちゃうっ♡♡♡来ちゃいますっ♡♡♡」

 「やぁん♡♡あっ、あたしもぉ♡♡♡」

 「「ああぁ〜〜〜〜〜〜〜んっ♡♡♡♡♡♡♡」」

 

 やがて乙葉とミーニャが淫靡な叫びを上げ、快感の頂きを迎える。

 後に残るは汁と湯気、そして2人の美少女(セオベイド)の女体を貪り尽くし、その乳房に埋もれて息をする九郎太。

 

 「はぁ、はぁ、はぁ…………ん?」

 「あっ」

 

 そしてふと、九郎太と凪の視線が重なる。

 しばしの静寂。気まずさの極みとも言うべき、身体は熱く心に寒気が走る状況を破ったのは、以外にも九郎太。して、その第一声は………

 

 「何見てんだ、見せもんじゃねーですよ」

 「だったら見せるなッッッ!!!!!」

 

 凪は思った。こんな事をしているから悪評垂れ流されるんだと。

 

 

 ***

 

 

 さて、モッツァレラ小隊の3人が真っ昼間から3Pハーレム痴態に興じていた理由は、前回の人質救出作戦において乙葉が人質を抱きとめた事による九郎太の嫉妬が原因らしい。

 ナンノコッチャ?と思った凪であるが、必然的に人質=他の男が乙葉の胸を触る事になったからとの事。

 

 「なんて心の狭い男なのかしら」

 「そこがクー兄ぃのカワイイ所でもあるのよ」

 

 そして、ここにはもう一人。この度加入………モッツァレラ小隊的には再会した新メンバーにして、もう一つの厄ネタであるミーニャ・ドロッセル女史。

 あの事件の後、空港を襲撃したミーニャは逆に「国家犯罪者ニコライを追ってきた英雄」世論が広がり、国際情勢を見て政府の判断て犯罪者として糾弾するよりも、英雄として迎え入れた方が長期的に見ても国としてもモッツァレラ小隊としても得。という国の判断であった。

 

 「ミーニャちゃん………少し弟くんにくっつきすぎですよ?」

 「えー?ゲームの時からずっとこんなんだったじゃーん♪きゃはははっ♡」

 「むぅ………」

 

 しかしながら、眼の前でこんな三流のなろう小説のようなラブコメ展開を見せられると、凪としても彼等を叩く国民の気持ちがわかるように思える。

 

 「ストップストップ、人前だよ」

 

 そんな事を考えていると九郎太自身が自分からミーニャを引き離した。

 

 「えー?あたしもっとクー兄ぃとベタベタしたぁーい」

 「そういう事してるとまたネットで叩かれるんだよ」

 

 九郎太自信から漏れたその一言に凪は驚いたが、間を置いてそれもそうかと納得し、そして感心した。

 彼は、女性向けコミックで浅ましい欲望と幼稚さをズケズケと突きつけられて論破されるゲス男ではなく、実在の人間なのだ。

 自身の立場が世間からどう見られるか?それぐらい考えて自制しようとするだけの脳は持ち合わせているし、批判されて傷つく心だってあるのだ。

 

 「叩かれる?クー兄ぃ何も悪いことしてないのに?」

 「してなくてもだよ。冴えない男の周りにカワイイ女の子がいっぱい居て、なおかつそれが何の努力もしてないで得たものだとしたら、みんな許さないでしょ」

 

 故に、こういう社会的な常識を持った自己分析が出来ている。

 の………だが、それはあくまで日本の人間社会によるものであり、種としての出発点から違うセオベイドの二人にはいまいち理解できないらしく、ミーニャも乙葉も?と言いたげに首をかしげている。

 

 「………わかりにくい?」

 「わからない……ですね。私達セオベイドにはない感情です」

 「そーよそーよ、クー兄ぃは悪い事なにもしてない、むしろ平和を守ってる立場なのに、なんであたし達とイチャついちゃダメなわけぇ〜?」

 「いやそもそも、男なら一人を愛するべきで……」

 「あたしや乙姉やママ囲ってたクー兄ぃが今更言う?てゆーか、ウチらみたいなハーレムやってる人なんてSEOにはいくらでもいたじゃないのよ」

 「それは、そうだけど………」

 

 困った顔の乙葉に、目に見えてブーブーと不満顔のミーニャ。こんな所で異種間の価値観の相違という「VAJLLA(アニメ映画のバジュラ)」のような問題にぶつかるとは!と、頭を抱える九郎太。

 今後の事もあるし、どうにか人前でくっつく事はやめてほしいが、その為にはどう納得させたらいいかを思い悩む九郎太。そんな時助け船を出したのは、この茶番を間近で見ていた凪だった。

 

 「辛口レビュー動画の作り方、知ってる?」

 

 突然の一言に、ミーニャと乙葉は勿論九郎太の注目も凪に集まる。

 辛口レビューというと色々あるが、彼等が聞いて浮かぶのは、動画サイトに乱立するような駄作のアニメやなろう小説をあげつらう、よく言えばクソに対する正義の鉄槌。悪く言えば他人の作品を書き手ごと人格否定する誹謗中傷。そんなもの。

 

 「書き手を糾弾し読み手を嗤う………作り手の表現や趣味の問題点をやり玉に上げて視聴者の溜飲を下げて、こんなものを楽しんでいる読み手は負け犬の底辺だとする事で視聴者にささやかな優越感を与える、これが大衆の快楽原則に一番合うのよ」

 「なんですかそれ………でも、心当たりはあります」

 

 詭弁だろと思った九郎太ではあるが、確かに彼の認識している辛口レビューというのは総じて批評とは名ばかりの罵倒の大喜利であったし、何より九郎太自身もその罵倒の渦中にある人物である。

 そも、日本サーバーのチャンプとして君臨していた頃から、乙葉達ハーレムを引き連れた九郎太に対して社会的道徳を振りかざした誹謗を飛ばす者達は何人もいた。まるで、何の犯罪も違反もしていない九郎太がゲーム内で美少女を侍らせている事そのものが、許されざる大罪だというかのように。

 

 「本邦は特に、自分より下に見える連中が幸せになるのが許せなくて、それをぶち壊しにするのが気持ちいいの。努力もせずにだとか、内容が軽いだとか聞こえのいい事は言っても基本はそれよ」

 

 ようは嫉妬である。ついでに言うと、スパイト行動と呼ばれる本能的な意地悪もそこに加わり、この誰も幸せになれない蟻地獄はできている。

 

 「そして今回の仕事も、そういった人間の持つ愚かさが招いた事件に関する事よ」

 「あ、仕事の話だったんですね」

 「世間話のためだけに来るわけないでしょ」

 

 そう言って凪がスッと出したのは、彼らが仕事で使う一枚の電子タブレット。政府公用のガチガチのセキュリティで固められたそれには、日本のある海岸線と、そこで起きているある事案についての記載があった。

 

 「難民?アメリカから?」

 「今反セオベイド勢力との戦争やってるでしょ?それで一時的に日本で預かってほしいって人達」

 

 つまりは戦火から逃れてきた、教科書で見るような典型的な難民達。

 普通に東京湾から入国すればいいのでは?と思ったが、民族的な理由で大々的な行動は取れず、適当な海岸から隠れるように入国するしかないとの事。

 

 「民族的って、大丈夫なんですか?その人達」

 「政府は会議の結果、問題ないって結論を出したわ。ビザやら何やらも公的に発行してるし」

 「だから心配なんでしょーが!」

 

 こう言うとレイシストのようだが、ネットの民でもある九郎太にはこの手の人々はどうも疑った目で見てしまう。

 それも問題だが、資料にはそんな考えも吹っ飛ぶような、あるとんでもない情報が記載されていた。

 

 「ん………あっ!!」

 「?、ミーニャちゃん?」

 「乙姉ぇ!クー兄ぃ!これ見てこれ!!」

 「え………あっ!!」

 

 タブレットの中をミーニャが指さした事で、九郎太も乙葉も今回の任務の重要性に気づいた。

 それは単なる難民保護ではない。彼らが日本の国土に来るために使った手段、それに問題がある。

 

 サン・ジョルジョ級二番艦「サン・マルコ」。

 2006年夏にレバノンベイルートから避難する民間人をキプロス島ラルナカまで輸送したというエピソードを持つ、イタリア海軍の保有する強襲揚陸艦。

 それが、難民達を乗せて件の海岸に乗り付けていた。

 当然ながら今回の案件でイタリアが海軍を動かしたという情報も声明もなく、そのサン・マルコも今はイタリアの領海内にいる。では、この艦は何なのか?

 

 「ようやく気づいたわね」

 「ああ、きっとそうだ。ここには、ここには"いる"………!」

 

 謎のサン・マルコ。その正体こそ彼らモッツアレラ小隊に関する重要な事実。

 

 「…………"ママ"が来てるんだ!!」

 

 姉、乙葉。妹、ミーニャ。それに続くモッツアレラ小隊の四人目が、今まさに日本にやってきたのである。

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