第44話 二人の魔法使いは永遠に③ ー完ー
アキトたちは、アルミでできた頑丈な箱を大きなトラックから降ろし、箱の中に敷き詰められた調合魔法の瓶を一つ一つ検品し、終わった箱からオフィスビル丸々一戸使った事務所の地下へと運んでいるところだった。
「柴田、地下に置く分は予備として考えるから、上みたくしないで敷き詰めて置いちゃっていいから」
柴田は「はい」と元気よく返事をすると、百人を超える若い男女の組員へ向けて笑顔言った。
「みんな、地下に入れる分に関しては敷き詰めちゃっていいから。あ、あと定時だから順次タイムカード押しちゃってね」
組員たちは本当にそこらへんにいる若者たちで、ヤクザのような風貌をしたものは一人もいなかった。柴田は何とも言えない顔で組員たちを見つめると、ふと我に返り大き目の木箱を担ぎアキトの方へ向かった。
「姉貴、例のブツです」
「あー、確か瓶の射出機か。訓練済みの者は何人いる」
「まだ二十人しか」
「じゃあ明日は射撃場を借りて訓練しよう、今日中に手配してくれ」
柴田はまた元気よく返事をすると、事務所へ戻ろうとした。
「待ってくれ」
柴田は振り返ったが、アキトは何か考えた様子で言った。
「すまん、なんでもない」
柴田は不思議そうな顔をしていたが、すぐに笑顔になると言った。
「なんかあったら、なんでも言ってつかぁさい」
「生まれは広島だっけ」
「あ、すんません」
「ちがうちがう、私は可愛いとおもうぞ」
柴田は頬を少し赤らめると、頭を下げて事務所へ入っていった。アキトも続いて事務所へ入ると、エレベーターへ乗り最上階へと向かった。
エレベーターが最上階へ着くと、アキトは出てすぐ前にある鍵付きの白い鉄扉のドアノブをひねり開けた。そこには通気口や排気管などが入り組んでいて、目の前には屋上に上がるツヤのない鉄製のシマ板でできた階段があった。
アキトは暗い表情でカンカンと足音を立て階段のを登ぼり、屋上へ上がった。屋上にはエアコンなどの空調機の機会がいくつか置いてあって、真ん中には大きなヘリポートがあって、そこには警察庁から譲り受けたAW139というヘリコプターが置いてあった。
「誰も運転できないのにな」
アキトはそう呟くと、配管の隙間をすり抜けて屋上のふちの上に上ると、そこに腰を置きタバコに火をつけた。そこには夕日に包まれる渋谷の街が広がっていて、五年前とは違い高層ビルがいくつも連なっていた。
その景色に見とれながら煙草に口をつけゆっくりと煙を吸った。しかし案の定咽てしまって、しばらく苦しそうに咳をした。咳が落ち着いた頃にはタバコの灰が長くなっていて、アキトの膝に灰が落ちた。
「アッチ、アッチ」
慌てて膝に付いた灰を手で払うも、黒く綺麗だったスーツに灰をこすった跡が残ってしまい、呆れた様子で言った。
「私はとことん情けないな」
すると、下を向きながら静かに涙を流し、鼻をすすりながら言った。
「シマちゃんなら笑いながら無理すんなって茶化してくるんだろうな」
アキトは鼻で笑い続けて言った。
「音虎チャン生きてるのかなぁ」
だが、「我々は魔法使いを一人残さず殲滅しなければならない!」と叫ぶ栗林と、それを称賛する聴衆達のことが脳裏をよぎった。
「仮に生きていても世論がこれだ、魔女狩りにあうか、病んでしまってるんだろうな」
するとアキトは鬼のような形相で苛立ち言った。
「私に…、私に世論を敵にしてでも真実を伝える勇気があれば‼」
そう考えると余計に悲しくなり、余計に涙が流れてきてしまった。その時だった。空襲警報のような音が響き、連なっていた高層ビルの一つが爆発し崩れた。さらに、その崩れた高層ビルから高く舞い上がった砂煙の奥に、万は超えるであろう魔法使いの大群が透けて見えた。
「まだあれだけ潜んでいたのか」
しかし、アキトはそう言うもそれをただ眺めているだけで、微動だにしなかった。するとスマホに着信が入ると、ポケットからスマホを取り出し柴田からの電話だと確認すると、辛そうな表情で画面を眺め、低い声で言った。
「頼りなくてすまん」
そう呟くと電話に出て、はきはきとした元気な声で言った。
「わかってる、訓練済みの人間を呼び戻せ。あ?心配ないよ、労基には私が話をする」
そう言い電話を切ると、スマホを後ろの方へ投げ捨て言った。
「もう無理だ、私には重すぎる」
もう涙は枯れてしまっていて、鼻が赤くなっていた。
「音虎チャンでも生きると言ったのに、私ときたら。皆すまない、頼むから怒らないでくれよ」
そう言うと、持っていた調合魔法の瓶を左手で胸に当て、右手に拳銃を持ち瓶へ向けた。
「ダンッ」
爆発音がした。アキトは後ろへ転がり落ちるも、自分が発砲したわけではないことを確認するとすぐに立ち上がった。
「音虎チャン」
アキトの目線の先には、あの大きな翼を広げ、魔法使いの大群に立ち向かうべくすごいスピードで向かって行く音虎の後ろ姿があった。アキトは驚きと喜びが入り混じった顔で言った。
「生きて…たのか」
すると、聞き覚えのある声が後ろから聞こえた。
「すまない、一人にして」
アキトは目を見開き、口を開き驚きながら後ろへ振り返った。そして、顔が崩れるほどボロボロと涙を流し言った。
「シマちゃん…なんで」
すると、また聞き覚えのある声が聞こえた。
「なんでって…家族だろ?」
アキトは止まる様子もない涙を手でぬぐうと、涙で濡れた髪を風になびかせて言った。
「おせぇよばか」
ーその猫は嘘つきに愛を与えたー
ーそして愛とやらは嘘つきにに嘘を辞めさせたー
ーだが奴らはその愛を砕こうとしたー
ー当然猫は怒り悲しんだー
ーそれでも最後まで愛した二人の魔法使いたちへー
「二人の魔法使いは永遠に」
ここまで読んでくださりありがとうございました!最後にご報告があります!
結論 大幅な添削を行い、再度投稿します。
理由 文章力 ストーリーの構成 キャラクターの薄さ 表現力 など全てにおいて未熟だから
私自身初めての長編小説で、無事描き終えることができました。しかし、私の未熟さと、時間のなさが原因で
こんな作品になってしまいました。申し訳ありません。
ですが、私はこの小説の話自体はとても気に入っているので、もっと良く仕上げたいと強く考えています。
本当はもっと言いたいこともありますが、あまり長くなってしまっても申し訳ないので言い訳はここまででw
私の作品を読んでくださりありがとうございました。読者の方々がいなければ、ここまで書き続けられなかったと思います。今後もこの活動を続けていこうと思いますので、よろしくお願い致します。
添削後の作品も読んでいただけると嬉しいです!
ありがとうございました!




