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二人の魔法使いは永遠に  作者: どぶネズミ
42/44

第42話 二人の魔法使いは永遠に①

徹夜して書いたので、誤字脱字や、いつも以上に文章がおかしいかもしれません…すみません。

黎明が渋谷の街へ訪れた。雑居ビルの壁は剥がれ、アスファルトの道路はえぐれていたり溶けていたり、割れたガラスの破片が朝日に反射しオレンジに輝いていた。そして、そこには安らかな顔で横たわる島田と、それをじっと見つめる音虎の姿があった。


「これから私…」


音虎は何か言いかけるも思いとどまり、音虎はそのまま島田の頭の横に膝をつき、島田の頬を優しく撫で言った。


「頑張ったね」


すると、足音が音虎へと近づいてきた。


「メシアムは私の一番弟子だった」


その声は、大魔女メルクだった。そして、大魔女メルクの後ろには生き残った十人ほどの魔法使いの姿もあった。


「あの子は本当に優秀な子で、こんなことで死んでいい器じゃなかった」


悲しそうな顔で語る大魔女メルクを見た音虎は、大魔女メルクの目を見て言った。


「だからなに」


「大切な人間を奪っておいて、その言い方は」


すると、音虎は大魔女メルクを鋭い目つきで睨みつけ、涙を流し震えた声で叫んだ。


「ぶち殺してやる‼」


そう叫んだ瞬間、凄まじいほどの地響きと共に立っていられないほど地面が揺れ、青白い稲妻でできた矢が音虎の周りに集まった。それに気が付いた大魔女メルクと魔法使いたちはとっさに浮遊魔法で退避したが、音虎もその倍の速度で追いかけ、一人の魔法使いに稲妻の矢を五本飛ばし、全て命中させた。


他の魔法使いたちはくねくねと不規則に飛び回り、音虎へ反撃する者や、無理だとわかり先に逃げる者がいた。しかし、音虎にとってそれは些細な問題で、攻撃してくる者へはそれを華麗にかわし、稲妻の矢で串刺しに。


逃げる者へは、その者よりも何倍も速いスピードで追いかけ、音虎の小柄な体からは想像できないほど重厚で大きな剣を作り、それを軽々と振り回し、背後から剣のつばの部分手前まで突き刺した。そして、一人、また一人と殺していき、大魔女メルク以外の魔法使い全員を殺すと、一番遠くへ逃げていた大魔女メルクが目に入った。


すると音虎は、体の輪郭が歪むほど、先ほどよりもさらに速く飛び、その影響で音虎が通り過ぎた場所はソニックブームによる爆発音と、周りの雑居ビルや道路が音虎の進行方向へ向けて円柱状に歪んだ。一方大魔女メルクは、音虎がすぐそこまで近づいてきているのにようやく気が付き、振り返り言った。


「これが祖の恩恵か」


その瞬間、音虎が突き出した剣が大魔女メルクの胸元へ突き刺さり、勢い余って気が付けば一〇九よりずっと奥にあるショッピングモールへ衝突し、窓ガラスを突き破ってその奥の壁に、大魔女メルクを刺したままその剣を突き刺した。


そのおかげか大魔女メルクがもがこうとすると、剣の刃が肉に食い込み激痛に襲われるため、動きを封じることができた。


「あんた惨めに」


大魔女メルクは何か言おうとしたが、その瞬間音虎が剣を上下に動かしながらさらに奥へと突き刺したため、激痛に口を封じられた。すると、音虎は低くてかすれた声で言った。


「喋るな、お前の声を聞くと反吐が出る」


大魔女メルクは音虎を馬鹿にしたような声で笑った。


「あんたに脅されても」


「黙れ!」


音虎は声を荒げ、剣をさらに奥へと突き刺した。流石に大魔女メルクと言えど、もう喋る力さえ無くなってしまい、震える手で床に転がった杖を拾い、音虎へ向けた。


だが、音虎は鼻で笑い立ち上がると、大魔女メルクへ背を向け割れた窓ガラスの方へ歩きながら向かい言った。


「私は生きるよ」


音虎はそう言うと、指をパチンと鳴らし言った。


「…の導き」


それを聞いた大魔女メルクは、徐々に恐怖した顔へとなっていき、恐る恐る言った。


「今なんて言った」


「ハルの導き」


すると、大魔女メルクは真っ青な顔で挙動不審にあたりを見回し何かを探し始めた。すると、大魔女メルクから見て右の方から、一人の少女が歩いてきたのが見えた。その少女は黒くてツヤのある長い髪をしていて、白いワンピースを着ていた。


「ありがとう」


音虎は、うつむいて動かなくなった大魔女メルクを背に、割れて大きく穴が開いた窓ガラスから飛び降りた。そして、数秒遅れて翼を広々と広げ、島田がいた方へと飛んで行った。




 音虎は緩やかに降下してきて、一〇九の横にゆっくりと着地した。すると、翼は黄金に輝く光の粒となり、風に乗ってどこかへ行ってしまった。音虎はその光の粒が見えなくなるまで目で追うと、振り返り再び歩き始めた。


周りにはひどい状態で転がる魔法使いの死体があちこちにあったが、音虎は気が付いていないのかそのまま歩き続けていた。すると、道路の右側に細い脇道があり、そこの地面には這いずったような血痕があったのに気が付いた。


音虎はその脇道へ入り血痕をたどると、すぐ近くに右に曲がる道があって、その方へ続いていることがわかりそのまま進んだ。するとそこには、道いっぱいに血痕が広がっていて、その上には絶望した表情で死んでいる銀髪の少女の姿があった。


「エミー」


音虎はそう言うと、何故エミーはこんなになっても助けを求めなかったのか、死を悟ったはずなのになぜこんな人目がないところまで来たのか、考えれば考えるほど表情がなくなっていった。音虎はすぐにその場から離れ、重い足を無理やり動かして島田のもとへ向い言った。


「私、絶対に生きるから」


音虎の歩くスピードが少しずつ速くなっていった。


「もうすぐに諦めたりもしない」


文化村通りの道路一面に無数の緑の芽が姿を現した。


「死にたいなんて決して言わない」


緑の芽は大きくなり、穂をつけた青々とした麦へと成長していた。


「約束したから、そうでしょ、シマちゃん」


豊穣な麦畑が広がっていて、その麦に包まれるように横になっている島田を見て言った。もちろん返事が返ってくることはなかったが、音虎はそのまま島田の横に座り続けて言った。


「愛してる」


そして音虎は大粒の涙を島田の顔に何粒もこぼしながら軽くキスをすると、島田を抱きかかえた。その瞬間、風は一切吹いていないのに麦畑がなびきだし、麦からちらほらと黄金に輝く光の粒が舞い上がってきた。その様子を隅で見ていたアキトは、音虎にもう二度と会えない気がして、思わず叫んだ。


「音虎チャン聞いて!」


音虎の頭がピクリと動いた。


「待ってるから!」


その瞬間、黄金に輝く光の粒があたりを埋め尽くすほど増え舞っていき、次第に音虎が見えなくなるほど光の粒で満たされた。そして、光の粒はすぐに全部どこかへ行ってしまい、そこには割れて溶けたアスファルトの道路があるだけだった。


「い、行っちまった」


一人の組員がそう言うと、柴田はアキトへ向けて言った。


「姉貴、音虎チャン達はどこへ行ってしまったんですか?」


アキトは、二人より一歩前へ出て言った。


「わからない、でも」


アキトの頬から一粒の雫が静かにこぼれた。


「絶対帰ってくる」


読んでくださりありがとうございました!

次の話で完結?かな…

引き継ぎよろしくお願い致します!

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