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Freedom Birth 戦えませんがなんとかなるみたいです  作者: なろといち
第一章 戦えませんがゲームスタート
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15.クエスト報告

「――へぇ、原型師と造形師ですか」


 その途中、ショウとセラスは自分たちの就いたジョブについての話題で盛り上がっていた。


「うん。どれが良いのかよく分からなかったから、向いてるジョブを選んでもらったんだ」


「なるほど……私は使わなかったんで。そんな機能もあったんですね」


「セラスはどうしてプリーストに?」


「お兄……一緒にやるはずだった知り合いに勧められたんです。パーティーに必要だけど、続ける人があまり居ないとかで」


「そうなんだ」


「体よく私を使ってるんですよ。いきなり手伝ってほしいって言ってきたと思ったら、ほったらかしにして自分だけどっか行っちゃうし」


 プンプンッと頬を膨らませたセラスが、棒を掲げて振り回している。

 その姿を見て、ショウは実家にいる妹の姿を思い出したが、それを口にしても体裁は保てなさそうなので、他の話題へ切り替えた。


「一つ目はプリーストで、もうひとつは?」


「二つ目は特に言われてなかったので、プリーストの近くにあった『モンク』にしました」


「モンク? ……どんなジョブなの?」


「私もよく分かってないんですが、一応は戦闘のジョブらしくて、でも会得するのは結構難しいらしいです」


「えっ、それでも選んだの?」


「最初のキャラ設定の時にはそんなこと言われなかったんですけど……その後ギルドの人に言われて初めて知りました」


 セラスの言葉で、サラを思い出したショウは肩を竦めた。


「俺のキャラ設定してくれた人も、妙に人間味に溢れてて変な人だったなぁ」


「ふふっ……そうだったんですね」


 その後も他愛のない会話をしつつ歩いて行くと、行きに感じた時間よりずっと早い体感で街に戻ることができた。

 門を通る前にショウは、ストレージボックスからセラスの分の薬草を取り出す。


「ギルドの中で渡すのもあれだし、ここで渡しておくよ」


「わぁ、これがストレージボックスですか? 確かに、インベントリとも違いますね」


「俺に何かあったら困ると思って、採取したものからしまっておいたんだ。はい、これ」


「ありがとうございます。これで依頼達成、ですね」


「と、その前に報告しに戻らないと」


「あぁ、そうでしたそうでした。それじゃあ、行きましょう」


「お前も、お疲れさん。また外に行くときに出してやるからな」


『モォ』


 渡された薬草をインベントリにしっかりしまって歩き出したセラス。

 ショウは仔牛を収納しながら彼女を追いかけるように門へと向かった。

 出立したときより人出は落ち着いていたものの、それでも注意しないと進みづらい程には通りは賑わっている。

 人の波に流されそうになったセラスをサポートしつつ、ショウたちは冒険者ギルドへ戻って来た。


「リリィさん。ただいま戻りました」


「あぁ、ショウ様! おかえりなさいませ。ご無事でなによりです。薬草の方は見つかりましたか?」


「ええ、なんとか。彼女に手伝ってもらってあやかった感じですが……」


「そちらの?」


 鼻の頭を掻きながらショウが笑うと、リリィは首を傾げて彼の後ろにいたセラスを見る。

 すると笑顔になったリリィが――


「セラス様! なるほど、ショウ様とご一緒だったんですね。安心しました」


「ど、どうも……です」


「?」


 安堵のため息を吐いたリリィへのセラスの返しがどこか歯切れが悪いと感じたが、その場でショウが訊くことは無かった。


「お二人とも、初めてのクエスト、お疲れさまでした。ではこちらにギルド証をお願いします」


 はい、とショウとセラスは二人並んで置かれた石板にギルド証をかざした。


「――はい、確認しました。では依頼成功の報酬をお送りいたしますので、そのままで」


 リリィは自分の前に開かれた画面を操作して、依頼完了の手続きを行う。

 ショウたちにはその裏面が向いており、そこにはゲームのロゴだけが見えていた。


「はい、これで大丈夫です。依頼の報酬、150Jmを振り込ませていただきました」


 そう言ってリリィはショウたちにギルド証を返す。


「ありがとうございます。なかなかいい経験になりました」


 セラスより戦闘に向かないこと、仔牛より薬草を探すのが下手なこと等々、今回のことでショウはほとほと身に染みた。

 初めてのVRMMORPGということで何事も良い刺激になったが、このゲームが自分に向いているのか、ショウは真剣に悩む。


「セラス様も、お疲れさまでした。どうぞ」


「あっ、どうも、です」


「――っ!?」


 セラスへギルド証を手渡したリリィが、彼女の持っていた棍を見て、目を見開いた。

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