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彼の変化





「ーーってことがあったのよ!」


次の日、もう1人の幼なじみであるセシルが私の家に訪ねてきてくれたので、さっそく昨日のことを話した。


「信じられる!?俺様がベルを恋に落としてやるだなんて!!」


興奮気味に話す私にセシルは苦笑している。


「リックも面白いこと言うなぁ」


「あのリックが私に優しくなるんですって!ここ数年優しくされた記憶なんか無いのに。顔を合わせればいっつも太ったのか?とか、今回も俺の方が成績上だったな!とか!!ムカつくったら!それにしてもたしかに優しい人が好きって言ったけれど、なんだかおかしな方向に話が進んだ気もする…」


「リックはかなりの不器用だからねえ…」


セシルはいつも落ち着いている。

私とリックが言い争いになってる横でニコニコしながら「まあまあ」って宥めてくれるような青年だった。




「ねえ、ベルはリックが嫌い?」


その言葉に私は少し考える。

嫌い……とまではいかないと思う。


小さい頃は優しかったしよく一緒に遊んだ。


大きくなってからはリックがあんな感じになり、私たちは言い争いが絶えなくなったけれど、それでもなぜか頻繁に家に呼ばれた。

まあそれはリックと会うというよりはリックのご両親とお茶をすることの方が多かったけれども。



ただ、いつも勝ち誇ったような顔で、ふつう女性には言わないようなことを私に平気で言ってくるのがどうにも耐えがたかったのだ。それにいつも上から目線で「この俺と結婚出来るんだ、喜べ。」と言ったような感じなのだ。


お兄様やセシルが特別優しいのだとは分かっている。

けれどやっぱり私はせめて女性として扱ってくれる人と結婚したい。

そう思うことは贅沢なことなのだろうか。


「嫌いではないよ。でも結婚となるとちゃんと女の人扱いしてくれる人がいい。」



まあ婚約破棄を言ったのは正直、物扱いされてムカついて勢いで言った部分もあったかもしれないけれど…。


「リックはベルを女性として扱っていないの?」

「しているように見える?」

「うーん、まあベルにだけ素直ではあるよね」


素直だなんて言えばよく聞こえるけれど、要は遠慮がないのよ……。


項垂れる私にセシルは


「でもじゃあこれからどうなるか楽しみだね。」


なんて笑って言う。






突然バンッという大きな音が響き、その音の発生源であろう扉の方へ目を向けると、そこにはなぜかリックがいた。



「え…ど、どうかした??」

「いや……。」


彼が2日連続私のところに訪ねてくるなんておそらく今まで1度もなかった。

そもそも彼が私の元を訪ねることなんて滅多になかった。

まあ、学園にいたときはほぼ毎日会っていたし、卒業後は仕事の勉強のために忙しそうにしていたから仕方なかったのかもしれないけれど。


本当に気持ちのない婚約なのだなと実感させられて寂しさがあったのも事実だ。


気まずげに私から目をそらすリックの視線の先にはセシルがいた。


「セシルも来てたのか……?」

「うん。仕事の合間によくお茶しに来るよ。可愛いベルと話すのは楽しいからね。」


セシルはたしかによくうちに来る。

ふらっとお菓子を持って遊びに来て、一緒にお茶をして帰るのだ。


「じゃあ俺も今度からはそうしよう。」


そういうなりリックは私たちがついている机の近くにズカズカと歩み寄り傍にあった椅子を私とセシルの間に置き、どかっと椅子に腰をかけた。



くすくす笑うセシルを横目に私は困惑する。


「え、これから頻繁に来るってこと?」

「セシルは良くて俺はダメなのか?婚約者の顔を見に来るだけなのに?」





えええええ、、もしかしてこれがリックなりの優しくなるってことなの!?

少し頬を赤らめながら言うリックは私が知っている彼ではない。

もしや双子でもいるのか?と疑いたくなるくらいだ。いや、彼は年子の弟しかいないのだが。


前までの彼だったらきっと「俺様が来るのは不満か?」とか言うだろう。いや、もしかしたら「俺様が来るなんて光栄に思え!」くらい言うかもしれない。



「だ、ダメでは無いけど…。」

彼の急な変化に戸惑う私がそう言うとリックはほんのすこし頬を弛めて

「良かった。」と言った。


…なんていうか、急に変わりすぎじゃない!?

読んでくださってありがとうございます!

お手数ですが評価ボタンをポチッとしてもらえると嬉しいです。

なかなかうまく文章が書けずもどかしい…!

練習あるのみですね。

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