表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/31

俺の勘違い



ヒーローである王子ではなく近衛騎士のキャラクターが好きだなんて気づくわけなくないか!?

いや勝手に勘違いしたのは俺の責任だが…ふつうは主人公に感情移入して読むのでは無いのか…?


それに、、ベルはあの王子が好みじゃないって言った後に俺とあの王子が似ていると……つまり俺のことも好みではないってことだろう。


いやきっと心のどこかではわかってはいた。


ベルが俺の事を好きになってなんかいないと。



それでも理解したくなくて、目を背けようとしていただけだ。




この婚約はそもそも俺の希望だった。


ベルには親たちがノリで決めたらしいと言ったし親たちにもそう口裏を合わせてもらっているが、実際のところは俺がベルに初めて会った時、天使かと思うくらいに可愛い笑顔に一目惚れをし、親に頼み込んことで結ばれたものだった。


ベルは「貴族に生まれた以上親の決めた結婚に逆らうつもりは無い」って言っていたしこれからもそうであると思っていた。


でも俺は彼女の自慢の婚約者になりたかった。

彼女の心も欲しかった。


だからこそ勉強が得意なベルにも負けないよう必死に努力したし、いざと言う時に守れるように剣の鍛錬も欠かさずやった。


女の人は旦那の親と上手くいかずに居心地の悪い思いをすることがあると聞き、あらかじめベルと両親を頻繁に会わせて親睦を深めるよう仕向けた。




それでも…ベルは俺のことは見てはくれなかった。


だからベルの好きな物語の王子を真似すればすこしでも見てくれるんじゃないかって思っていた。


その王子はいつも自信に満ち溢れていて得意げだった。ヒロインにも思ったことをなんでも真っ直ぐ言うような性格だった。

俺はその本を何度も読み完璧な俺様になった。


セシルにははじめ

「なにしてるの?女の子には優しくしなきゃダメだよ?ベルに嫌われちゃうよ?」


と毎日のように言われていたがそのうちたまにしか言わなくなった。



ベルと俺は、次第に会話が前よりも続くようになっていた。

内容は言い争いに近いのかもしれないが、素直に思ったことを言い合える関係になっていたと、俺はそう思っていたんだ。




それも全部間違いだった。


ベルは俺の言葉を嫌だと思っていたらしい。

あの俺がじゃれ合いだと思っていた言い争いは本気のNOだったのだろう。


大事にしたいのに、好きになってもらいたいのに、俺のせいで嫌な思いをさせていた。


婚約破棄を言われた直後は、ベルのために勉強も剣の腕も、家族の関係まで努力してきたのに俺とは幸せになれないって言うのか?

とまで思っていた。



自分でも気が付かないうちになんとも傲慢な男になっていたらしい。





次の日急いでベルの家に押しかけた。


俺は婚約破棄なんてしたくないと言い出そうとした時、反対に、破棄してくれるの!?なんて嬉しそうな顔をしたベルを見るのは苦しかった。



優しくしなくちゃと思っても長年にわたって染み付いた癖はなかなか取れない。

ベルの前ではあの王子のような態度になってしまう。


そして本来は俺の方から必死にお願いをしなくちゃいけない立場であるのにもかかわらず、「俺がベルを恋に落としてやる」なんてわけのわからないことを言ってしまった。





でもベルはデビュタントの時までに優しくしてくれたら婚約を続けてもいいと言ってくれた。


俺は今日から変わるんだ。


俺はベルに好きになってもらう。


デビュタントまであとおよそ1年



なにがなんでもベルの心を動かすんだ…!!





読んでくださりありがとうございます。

評価ボタン押していただけると励みになります、、、。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ