体に鞭を打って
俺は訓練を開始したわけだが、ひとまず足腰を鍛えた。
「ぬおりゃーーー!」
朝から夜まで狩りと睡眠と食事以外はとにかく
走る、走る、走る、走る!!! それも全力疾走した。
「よし、前より速くなった。だが、まだ足りねぇな。」
『努力超成長』のおかげで、スピードはどんどん上がっていった。
それをひとまず一年間続けた。すると、走るのに目が追いつくため、動体視力も上がった。
ただ無心で走り続けた。
ある程度満足しては
今頃アサキ達はもっと速くなってるのではないか
というふうに思い、また上を目指す。
雨の日も、雷を避けながらでも、足がどんなに悲鳴をあげても走った。
さらに次の一年間と半年は、魔法を創り、極めた。
最初の方は魔力量が少なすぎて気絶しまくった。それでもこりずにひたすら魔法をつかっていた。
すると、さすがの『努力超成長』。魔力がどんどん増えた。
時には吐き気が、頭痛が、腹痛が、一晩中続いたが、それでも使った。
この頃からだろう、満足という感覚が少なくなったのは。満足したらそこで終わりだが、俺にはスキルのおかげで終わりなんぞなかったのだ。
そして一年間、ひたすらに刀を鍛えた。魔法で一級品の刀を作ることもできたが、基本木刀だった。
それでも、的確に相手の弱い部分を完璧な角度で速く切れば、岩ですら切ることができた。
木刀をふるい、手にマメができたりふれなくなったら回復魔法で治し、またふるい始める。
それの繰り返しだ。
残りの半年は、魔物を倒しまくった。ほとんどの敵はザコだったが、時にはそこそこ骨のあるやつもいた。
けれど、ピンチになっても負けるということはなかった。
そして、四年ほど経ち、ついに俺は18になった。
「もうそろそろ山を出よう。まだ修行の余地はあるけど、決着をつけたい。たとえこれで負けても、それは仕方がないことだ。その時にまたかんがえよう。」
俺は山をあとにした。