ブラックコーヒーより苦い現実
「うん、今日は言い食材が手に入ったぞ」
安い値段で美味しい料理をつくるのは、俺の仕事のひとつだ。
その日も、食材を買ってパーティーのいる宿に向かっていた。
宿では台所が使えるため本当に助かっている。
食材を自分の部屋においてみんながいるであろうアサキの部屋に入ろうとしたら、大きな笑い声がした。なんだろうと思い、壁に耳を近づけた。
「それにしても、リキヤは良く働くわね」
「ああ、あいつもまあまあには頑張ってるんだろうな。それでも戦えないけどな(笑)」
「ねえ、もうそろそろあいつクビにしない?あいつのせいで、私達のパーティーの周りからの評価も下がってるんですけどー」
「確かにそうね。来週から国からのお金が回ってこなくなるらしいは。」
「そうだな。今は隠せているが、自分の金が本当なら来ていたと知ったら、訴えられかねない。」
「けど、あのときあいつ拾ってよかったよね。その二日後でしょ?配金始まったのって。」
俺はその瞬間、全てを悟った。自分はこのパーティーの何でもない、只の金づるだったのだ。気づいたら、俺は部屋の物を持って宿を飛び出していた。
俺は「紅の刃」のメンバーの性悪さ、それに気づかないでいた自分の頭の悪さと戦闘力の無さに嫌気がさしたのだった。
そして、ひたすら走り続けた。