3.見知らぬ洞窟
気がつくとそこは洞窟だった。
何故、僕がここに居るのかは分からない。現時点で分かる要素が何一つ見つからない。
僕は死んだと思っていたが違ったようだ。
ただ一つ不思議なことがあった。洞窟は真っ暗なのだ。それなのに…
「暗いようで暗くない?いや…、暗いが何故か分かるのか」
灯りが無いのに周囲が見える、薄暗いとか目が慣れたとかそんなんじゃ無い、真っ暗なのに周りの地形を認識できるのだ。
「でも、明るいほうがいいな」
『十ポイントで 灯り を生成しますか?』
突如、頭の中で抑揚の無い声が響く。
「え?なんなんだ」
『ダンジョンシステムです。灯りを生成できます』
「え、じゃあ、お願いしてもいいですか」
そう答えると洞窟の壁に一つの灯りが現れた。
「おぉ、すごい!これいくらでも作れるのか」
『残高照会、残高は九百九十ポイントです』
なるほど、ポイントがあれば色々できるのか。
「ちなみに、どうやったらポイントは増やせるの?」
『ダンジョンが吸収したエネルギーがポイントへ換算されます』
「んー、エネルギーって何?」
『エネルギーは生命力、魔力などの総称です』
んーー……よくわからない、魔力なんてぜんぜん分からないし、まあいっか。
それより、今知りたいことがあったな。
「なんで、僕はここにいるの?」
『わかりません』
そうかぁ、何でも分かるわけじゃないと。
ただ、おかしなことになっていることはわかる。
いきなり洞窟に居て、頭の中にダンジョンシステムさんが居るという、通常ではありえないことが起きている。