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#08 ローレン城で買い物



 ノルマン帝国地方都市オースチンにローレン城を構えるトリッシュ女伯爵の館の食堂でランプの明かりが煌々と燈り、宮廷料理が盛り付けられた大皿の数々が所狭しと並んでおり、アベルの前には水の入ったボールと銀のスプーンとナイフセットとが大小並べてあった。


ただアベルは固まって座っていた。


 長女アナ・トリッシュ14歳と並んで座る長男ピーター・トリッシュ13歳と家族全員が揃ったのを確認して、当主アンナ・フォン・トリッシュ女伯爵39歳が、長女アナ・トリッシュ救出感謝晩餐会の開催を宣言した。


 入り口や壁際には執事や侍女長そして侍女群が立ち次の料理の搬送やワインの注ぎそして空き皿の取り下げなどで忙しく動いていた。


 北方の魔の森で育ったアベルには生まれて初めて食べた料理の数々が出てきて、肉料理や魚料理そしてお菓子や果物は判別できたが料理の名称までは分からなかった。


「アベル様の功績を讃えて宴を開催してますのよ、どうか気楽に楽しんでくださいな」


 そうは言われても正式の食事マナーなど知らないアベルには、壁に控えていた付き添い役の侍女のヘレナがアベルの耳元でささやいてエスコートしてくれた。



 宴も中盤になり昼間の街の賑わいを思い出したアベルがふっと発言した。


「入城した時にこのオースチンの街の賑わいを見てお願いがあるんですが!」

「まあ、なにかしら?アベル殿のお願いならその内容を聞きたいですわ」


「しばらく城下街オースチンに滞在して、これからの冒険旅行に備えて、寝具類・衣料品・家具什器類・武器などの購入のために滞在をしたいのですが、さらに当地の冒険者ギルドで搬送人登録をして身分証明書を取得したいのです」


「もちろん滞在許可しますわ、え!寝具や家具なんてどうやって旅行に持っていくのですか専用の荷馬車ですか?それともあの商人の荷馬車ですの?」


「いいえ、俺の魔法袋に寝具や家具を入れますので」


「まあ、そんなに大きな容量の魔法袋なんて国宝級ですわ!」

(あれ、時空間収納庫を言ったがやっちまったかな)


「是非ともそんな魔法袋を一目見てみたいですわ」

(この話題は腰の収納袋に話をすり替えよう)


 大森林からポッと出てきたコミ障少年に言葉の駆け引きなんて女伯爵の足元にも及ばなかった。

 長男や長女の眼も物珍しい話題にキラキラ輝き出した。


「この魔法の袋は10㎥の容積で、俺が魔の森で空跳びウサギの毛皮から手造りした品なので、あまり話を広げて欲しくないのですが」


「もちろん秘密ですとも、女の口は堅いですわ」

(う~ん、押しが強い・・・)


 アベルは腰の魔法袋の中に手を入れ空間収納庫に繋げて、腰バックの色違えを取り出して白黄黒の3色腰バックをトリッシュ女伯爵に手渡した。



 トリッシュ女伯爵が腰バックに手を入れれば脳内に仕様は表示されるから説明なしでと。

 とてもこの場で時空間収納庫に収納してある箱馬車を見せるわけにはいかないし。


「すごい、3色も揃いですか、あっ、脳内に大きな容積の空の部屋が浮かびますわ! 」

 (ん~これは絶対に欲しがるパターンだな! )


 権力者に珍奇な品を見せるのは猫にマタタビの最悪パターンだ。

 もしかしてこのトリッシュ女伯爵が宮廷の寝業師ならもっと要求されるな。


「この魔法袋の容積では帝都オークションで1個1白金貨(1億円)以上は堅いですわ! 」


「3枚白金貨以上の3色揃いの魔法袋ですか、皇太子アーサー殿下もお喜びですわアベル様~! 」


 見えない蜘蛛の糸がアベルの体を締め上げるのを感じる。


ウェ~、皇太子殿下に3億ギルの献上品か、政局の転換点では必ず利用させて頂きます。


「もちろんトリッシュ女伯爵閣下にその3点はアーサー殿下贈呈分として寄贈いたしますとも、後日、マリ村の移転問題には閣下のお力をお貸し頂けるということで納得いたします」


「私の帝室における影響力を見抜くとは流石ですわ。アベル様のその要求は今は無理でも後日、政局が動けば必ずアーサー皇太子を動かして叶えましょう! 」


「では、その政局の時点ではさらに追加でお身内分の魔法袋をお持ちします」

「よく分かってらっしゃる! ほほほほほ・・・」



「その代わりと言ってはなんですが、明日、執事を付けますので城の需品倉庫からお好みの寝具類・衣料品・家具什器類を選んでください、武器庫でもお好きな武器を差し上げます」


 予想外の展開になった、貴族の寝具や調度類に囲まれて野営できるのだ。


「ありがとうございます。街の専門店で購入しょうとしていたので助かります! 」


「お役に立ててよかったですわ、では今度はこちらからお願いがありますの! 」


「ここの領土は元トリッシュ子爵領だったのです。以前隣国にシホン王国がありまして亡夫エルンスト子爵が攻め込み自身の命と引き換えにシホン王を誅したのです。現在、元の国境線に廃砦が残っており、今ではオーガ達の隠れ砦になってしまいました。数度の討伐隊も撃退されました」


「アベル様の今回の実力を見ると軽くオーガ達を殲滅できるのではと思います。どうかご協力お願いできないでしょうか? 」


「分かりました、その依頼をお受けいたしましょう。ただし1つだけ希望があります」

「何でしょうか? 」


「私の侍女の夜刀姫が武技の習得中なので、猛者である家中の騎士の方々に練習試合をお願いしたいのです。各種武技の違う長短の武器を使い訓練をしてやってください、貴重な経験になると思います! 」


「ふむ、武技を覚えたいのですね、木製武器なら双方とも怪我はないでしょう。明朝にも会場を用意いたしますわ」

「ありがとうございます」


「朝食を終えてから城内の練兵場までおいで下さい」

「了解しました」



 その後、アベルと夜刀姫は侍女に案内されて来客用の寝室に案内された。

 この部屋はゆったりとした造りで二人が泊まるのに良いように家具や寝台が配置されていた。

 もっとも、夜刀姫は眠る必要もなく、椅子に座り不審番をするのだが・・・



 ◇◆◇



 一晩を過ごして、疲れも取れたが今日の予定は夜刀姫の“能力向上計画”での複数試合だ。

 夜刀姫は見取り能力が高いので木製武器でも間合いや見切りと足さばきを覚える機会は多いだろう。


 彼ら騎士たちが長い年月をかけて汗流して習得してきた武技だ。

申し訳ないがオーガ討伐のためにも夜刀姫の武技の組手標本になってもらう。


 朝食を済ませてから、侍女に案内されて城内の練兵場に夜刀姫とやってきた。

 早朝の練兵場はすでに黒山の人だかりだった、どれだけみんな娯楽に飢えているのかな。


 俺から夜刀姫への指示は1つだけだ。


「試合が始まったら最初の5分間は相手の攻撃パターンを盗め、受け流しで防御するだけにして相手の技を出させて5分間が過ぎたら攻撃技を開始してもよい」


「アベル様、了解しました」



 早朝から5試合消化のスケジュールが伝えられた。


 黒色メイド服に黒革胸覆い姿の夜刀姫と革鎧の第1騎兵隊長とが第1試合で、双方ともに木製片手剣と木製丸盾同志の試合となった。


 一見すると大人と子供の背の違い、体形の違い、性別の違いがある。

なかなかシュールな風景だ。


 審判役は見ただけでベテランと分かる近衛隊長だ。


 第1試合:木製片手剣と丸盾同志の試合


「始め! 」


 審判役近衛隊長の鋭い号令がかかった。


 2人? 1人vs.1体の試合だ。


 10mの距離から互いに歩み寄り、お互いの間合いに入った瞬間。

 第1騎兵隊長の猛烈な攻撃技の“ラッシュ”が夜刀姫を襲った。


 しかし、夜刀姫は常に相手のリーチの先に体があり、隊長の剣先は空を斬り続けていた。


 周囲の兵隊たちの歓声とヤジが一段と上がっていた。

 第1騎兵隊長の顔はもう真っ赤になって足を踏み込み本気の打ち込みが連続していたが、


夜刀姫は一切攻撃せずに軌道上の木剣の横を剣や盾で受け流していた。


 5分間が経過して夜刀姫は攻勢に転じ、隊長の鋭い右手突きを足さばきと半身で左に躱した夜刀姫は右籠手を打ちながらそのまま体を寄せて隊長の喉に剣先を寸止めしていた。


 隊長は右手の剣を取り落として茫然と立ち竦んでいた。スピードがまるで違う。


「ヤトヒメの勝ち! 」


 これには取り囲んで見物していた兵士たちが大いに盛り上がり騒いだ。



 第2試合:木製両手剣同志の試合


 前の試合を見ていた第2騎兵隊長が顔色を変えて木製両手剣握りしめて出てきた。


「始め! 」


 審判役近衛隊長の鋭い号令がかかった。


 両手剣を握り双方ともに10mの距離まで出てきて構えて、そのまま互いに歩み寄る。

 お互いの間合いに入った瞬間。


 第2騎兵隊長はやはり猛烈に突きラッシュから左横なぎと連続技で夜刀姫を連続攻撃していくがまともに剣で受けてもらえず、振りが大きい分余裕で受け流しされていた。


 これも開始5分間が経過すると夜刀姫が攻撃に転じた。

 隊長が全力の斜め右上段から斜めに木剣を振りぬいた時。

 夜刀姫はやはり左に足さばきで身を低めながら出て、凄いスピードで隊長の振りぬいて空いた右胴の脇にたって革胴の横継ぎ目を軽く突いていた。


「ゴッホ! 」


 第2騎兵隊長は前のめりに倒れ込みしきりに咳込んでいた。

 決め手はやはり見切りとスピードが違う。隊長が振りぬいた時には真横にいたくらいだ。


「ヤトヒメの勝ち! 」


 ヒーラーが駆けつけて隊長にヒールを掛けていた。

 これには取り囲んで見物していた兵隊たちも驚き言葉が聞こえなくなった。


 2試合ともに6分間の試合が続いた。



 第3試合:木製槍同志の試合


 双方ともに2m30㎝程度の練習用木製槍を両手で構えて持ち中央で20m離れて対峙した。


「始め! 」


 審判役近衛隊長の号令で第3試合が開始された。

 第3騎兵隊長が相手で騎兵得意の武器だ、これは貴重な対人戦の経験になる!

 やはり開始5分間、夜刀姫はひたすら相手の突きの連続技を受け流していた。


 相手の突きの槍頭の速さに充分対応できていて安心した。足さばきも踏み込みも早く的確にリーチの見切りは出来ていた。

 双方ともに円を描くように移動して隊長は攻撃している。これも開始5分間が経過すると夜刀姫が攻撃に転じた。


 夜刀姫は隊長の踏み込んできた正中突きを巻き返して上に跳ね上げて、空いた胴に返しの突きを入れた。


「ヤトヒメの勝ち! 」


 第3騎兵隊長は前に屈みこみ痛みに耐えている。

 ヒーラーが隊長に駆け寄りヒールを掛けていた。


 第4試合:木製ハルバート同志の試合


 双方ともに2m50㎝程度の木製ハルバートを両手に持ち中央で20m離れて対峙した。


「始め! 」


 第4騎兵隊長が相手でやはり騎兵得意の槍斧型武器だ。

 前世の知識では薙刀と考えれば良いのか。

 やはり開始5分間、夜刀姫はひたすら相手の斬り付けの攻撃技を受け流していた。


 先端に槍が付いているので投げつけも要注意だな。

 5分間が経過して隊長の下からの斬り上げに夜刀姫の動きが変化した。

 相手の斬り上げ始めた動きに左に避けながら石突きで相手の右膝を払い右に倒れてきた隊長の首元に斧を載せて停止した。


 音を立てて転倒した隊長が呻き声を上げた。

「ガァ~! 」


 やはりヒーラーが隊長に駆け寄りヒールを掛けていた。


 第5試合:木製両手短剣同志の試合


 第5騎兵隊長が相手で、これは近接戦で速さ重視の白兵戦だな。

 双方ともに40㎝程度の木製短剣2本を両手に持ち中央で10m離れて対峙した。


「始め! 」


 審判役近衛隊長の鋭い号令がかかった。

 10mの距離から互いに歩み寄り、お互いの間合いに入った瞬間。


 第5騎兵隊長の猛烈な攻撃のラッシュが夜刀姫を襲った。

 しかし開始5分間、夜刀姫は受け払いの防御に徹していた。


 5分間が経過して夜刀姫は攻勢に転じ、隊長の鋭い右手突きを足さばきと半身で左に躱した夜刀姫は右籠手を打ちながらそのまま体を寄せて隊長の喉に剣先を寸止めしていた。


「ヤトヒメの勝ち! 」


 いつのまにかトリッシュ女伯爵も観戦していたが、審判の近衛隊長共々納得のいかない顔をしていた。

 5対0でストレートに騎士隊長側の惨敗に終わった。


 審判役の近衛隊長が夜刀姫を見て発言した。


「私と真剣勝負を所望します、寸止めしますので是非とも試合をして頂きたい! 」


 夜刀姫はアベルの顔をみた。


 アベルは腰バックから鋼鉄製丸盾と魔鋼製山刀を取り出して夜刀姫に渡した。


「盾で防御、山刀で攻撃です、最初から攻撃を許可しますが寸止めを忘れずに」


「アベル様、了解しました」


「近衛隊長殿、寸止め条件で真剣試合を了承します」

「アベル殿、感謝する! 」


「領主の私が審判役を務めるわ」


 まるで決闘かよ・・・



 番外試合:真剣勝負


 双方とも防具は付けず近衛隊長は右手に細身剣を左手に短剣を持った。

 夜刀姫は左手に鋼鉄丸盾を握り右手に山刀を持って、中央で10m離れて対峙した。


 トリッシュ女伯爵が審判役の立ち位置に着いた。


「始め! 」



 10mの距離から互いに歩み寄り、お互いの間合いに入った瞬間。

 近衛隊長の猛烈な細身剣の三段突きが夜刀姫を襲った。


 夜刀姫も手硬く盾と山刀で相手の細身剣を受け流していた。

 機会を見て山刀で牽制を打つが相手の短剣で弾かれていた。


 真剣試合を開始して初の攻撃での金属音が響き、観客たちの歓声を引き出していた。


 開始10分間も練兵場で大歓声が響いていたが、決着の潮時は来ていた。

 近衛隊長が踏み込み右細身剣で顔を右横薙ぎと同時に左短剣で水月を打突してきた。


 夜刀姫は冷静に初動を見破り体を開き足さばきで右側に抜けて短剣突きを躱して丸盾で左から襲う細身剣を弾いた、そのまま体を相手に寄せて右山刀を相手の首横で寸止めした。


 寸止めしなかったら近衛隊長の首は空中に跳んでいた。

「ヤトヒメの勝ち! 」


 トリッシュ女伯爵のよく澄んだ判定の声が練兵場に響いた。



 隊長の剣先は空を差して止まり、その眼には納得の色を浮かべていた。


"ウォ~ッ"

 周囲の兵隊たちの歓声が爆発的に上がった。

 最後の近衛隊長との試合は夜刀姫の戦闘スキル向上に貢献したに違いない。


「では休憩後昼食を取り、その後で執事を付けますので、城内の厩舎・需品倉庫・武器庫を巡って頂き気に入った武器防具をお選び下さい」


「ありがとうございます」



 ◇◆◇



 アベルは昼食を取り休んでいると執事のロッシュがアベルを迎えに来た。


「ご予定は城内の需品倉庫・武器庫を廻り旅に必要な物をお選びになる事で変更はございませんか? 」

「ええ、その予定でお願いします」


 

「では、需品倉庫に参りましょう。寝具類・衣料品・家具什器類を選んで頂きます」


 そのままアベル達は城内裏手の需品倉庫群に歩いていった。

 大きな倉庫が十数棟立ち並んでいた。


「まずは家具什器と寝具類関連の倉庫です」


 倉庫の中に入ると保管中の家具の匂いが立ち込めていた。

 ベットや鏡台、箪笥、コート掛け、椅子、テーブル、絨毯、ソファー、魔法ランプ、浴槽などが所狭ましと並べてあった。


 アベルの必要な数はコンテナ8棟の中に入れる分だけなので、こんな膨大な量ではない。


 シングルベット自体が貴族用になく従者用の寝台で見つけた。手造り寝台木枠は予備用で保管です。堅牢なシングルベットを6台と寝台マット6枚も確保した。


 箪笥は8台、鏡台も4台、そして絨毯も2巻、魔法ランプは庭園にも吊るしたいので屋内用大型が8台と庭園用の色付き小型ランプを20台確保した。


 さすがにこの色付き小型ランプ20台確保の時は執事の目元がピクピクしていた。

 ついでに庭園用の緑のプランターがあったのでこれも10台ほど頂戴した。


 コート掛け、椅子、テーブル、ソファー、は6台ずつ確保と、浴槽はとりあえず2台確保だねぇ。

 衣料類のパジャマや下着、タオル関連は豊富な在庫なので遠慮なく男女別20枚ずつ頂戴した。


 後は羽毛枕、シーツ、毛布、ケトル、羽毛布団上下など寝具セットはベット6台分で夏・冬用物も頂戴した。


 上等な布地を使用して裁縫は丁寧に仕上げてますね。大満足です。

 頂戴する品物が決まり次第に、アベルの空間収納庫に次々と収納していった。

 ロッシュ執事の眼が点になっていたことが愉快だった。


 この充実感は大型量販店効果だね、こまごまと走り回らずに1ケ所でドカンと用途ごとに品揃えが手に入る感じが良かった。

 3億ギル献上効果は効いているな!


 しかもオッタル大公を宮廷から蹴落とす時の女寝業師も手に入ったし、万々歳だ!


 あとはオーガロードの首を城内中庭に飾れば俺の役目は完了だな。

 イベント終了後に領都冒険者ギルドでFランクの搬送人登録をすれば当初予定は終わりだね。


「それではアベル様、最後の武器庫に案内いたします」


 そこからアベル達は城内の騎士団屯所に歩いていった。

 騎士団屯所の敷地の中に武器庫は有った。

 石造りの倉庫で出入り監視の兵士が歩哨していた。

 ロッシュ執事一行に気が付いて敬礼していた。


 アベルと夜刀姫の顔も相手は分かったみたいだった。

 庫内は常時魔法ランプが灯されていて、即時対応できるようになっていた。


 武器の区分ごとに纏めて懸架してあったが、矢・松明とか消耗品類は箱詰めにされていた。


 アベルが欲しいのは夜刀姫が使う本物のハルバート・大斧・両手剣・丸盾・メイス・片手剣・短剣と革鎧と剣帯かな。

 あとは俺用のクロスボウ・短槍・丸盾・片手剣・短剣・革鎧と剣帯だ。



 素人の俺でも使えるクロスボウは足曳方式しかなかった。ボルトは100束頂いた。

 火薬も火縄銃も無く、その他の弓は短弓・長弓・複合弓しか見つからなかった。


 投石紐スリングなど珍しい品もあった。

 上記の武器・防具類を一式頂戴する。見本さえ残れば複製は簡単だ。

 ロッシュ執事に頂戴する武器・防具類を示した後、空間収納庫に収納した。


「街で探す予定の品は全て手に入りました、ありがとうございました」


「はい、早目のオーガ砦討伐をお待ちしております、本日はお疲れさまでした」


 やはり、夕暮れの中キチッと一礼して戻る執事ロッシュは有能だった。





 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


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